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SS-NA5ES 開発者インタビュー

02 こだわりの音を求めた妥協なき開発から誕生したスピーカー

02 こだわりの音を求めた妥協なき開発から誕生したスピーカー

◎目指す音を追求するための試行錯誤

質問

目指す音にたどり着くまでには手間と時間が掛かりますね。

加来

トゥイーターは「SS-NA2ES」と同じものを「SS-NA5ES」用に調整して使っていますが、ウーファーの開発は大変でした。音楽を聴いているときの低域の違和感をなくそうとすると、どうしてもスピーカーに無理が掛かってしまいます。小さい口径のユニットで振幅を取らなければいけないため、それに伴って不都合が色々と出てきてしまうのです。その解決のために、数々のユニットを試作していきました。

アコースティックマネージャー | 加来欣志

質問

「さまざまな試行錯誤があったと思いますが、具体的に苦労した点を教えてください。

加来

当初は「SS-NA2ES」と同じスパイラル・プレス・ペーパー・コーンを使用する予定だったのですが、2011年春にアルミ板の振動板へと変更しました。もともとミッドレンジ用に作られていたため、ウーファー用に作り直したのですが、スパイラル・プレス・ペーパー・コーンは、渦巻き状に溝をプレスしているため、ウーファーの強い振動に対して強度的に弱く、理想的な低音再生ができなかったのです。そこで、軽くて強度のあるアルミに変更しました。結果的には力強い低音再生が出来ましたし、「ARシリーズ」や「SS-NA2ES」のウーファーと同じアルミ素材を採用することで音色の統一感も出せたと思います。 実は発売前に完成した試作機と、最終的に発売された製品は音づくりの点で微妙ではありますが違いがあります。一度は、スピーカーとして発売できるまでの音に仕上げたのですが、どうしても納得できない部分があり、ウーファーの型を起し直すというヒヤヒヤものの荒療治をやりました。気持ち的には、山の頂上に登頂して周りを見回したら、実は登るべき山ではなかったことに気づいて、下山の決断をして、本来登るべき山を目指して登り直したみたいなものです。下山しない選択肢もあったと思うのですが、今思えば登り直してよかったと思っています。登り直した山の頂上はすばらしかったですから。 ユニットを製作してくれている欧州のメーカーからも、「この時期に下山するの! これまでに大量な試作を重ねてきたのだからもう勘弁してくれ、ギブアップ」だと言われました(笑)。でも、色々と説明をして最終的には対応していただけました。製品が完成した後、わざわざ海外から音を聞きに来てくれて、そこで彼らもやってよかったと納得してくれたときは、本当にうれしかったです。

質問

エンクロージャーのこだわりについてもお聞かせください。

加来

エンクロージャーの制作は、「ARシリーズ」や「SS-NA2ES」と同じく日本の木工職人さんにお願いしています。私たちは、「メイド・イン・ジャパン」という言葉にこだわっているわけではありません。あくまでもつくりたいものを具現化できる人たちにお願いしようとすると結果的に、日本の木工技術にたどり着くということです。木と木を組み合わせるにあたって、木組みや勘合方法やその精度、接着剤の量にいたるすべてにおいて細部まで完成度を追求しています。

左「SS-AR1」 右「ARシリーズ」は世界各国で高い評価を得ている

質問

最後に、今後ソニーのハイファイスピーカーが目指していく音について教えてください。

加来

ソニーのスピーカーが目指しているのは、「心地よい音」の実現です。演奏者の想い、演奏会場の空気感をも感じられる「心地よい音」を、家庭で再現したいというコンセプトを、今後も深く追及していきたいと思っています。演奏者を含めたつくり手の想いまでを素直に再現するスピーカーでありたいと思います。ソニーの音はこうだ!なんておこがましい話ではなく、お気に入りのアーティストがもっと近くに感じられるような、そんなスピーカーをつくりたいと思います。音楽を愛するすべての人に楽しんでいただけるスピーカーを追求し続けていきますので、楽しみにしていただければと思います。

専門誌(Stereo Sound)のグランプリを「SS-NA5ES」が受賞

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