美ら海のさまざまなお魚を、大型スクリーンで体感いただけます。まるで沖縄の海の中にいるかのような、臨場感をお楽しみいただけます。期間中随時開催します。
独自のフィルターを通して、世界中の海を撮り続けている水中写真家 鍵井靖章さん。時に吸い込まれるような「海の宇宙」や、包み込まれるような優しい色使いの「夢色」で、見る人に幻想的な物語を感じさせてくれます。
2017年7月31日(月)から8月13日(日)までの14日間、ソニーストア各店で行われる「Sony Aquarium 2017」。
そこでは、鍵井さんがソニー製デジタル一眼カメラ『α7S II』で撮った写真を展示。大画面の4Kテレビに映し出される沖縄・美ら海の美景をお楽しみいただけます。
イベント期間中、ソニーストア銀座および、ソニーストア福岡天神では、鍵井さんによるトークイベントも実施。ここでは、それに先立ち、鍵井さんに水中写真の魅力と、『α7S II』の使い心地について語っていただきました。
水中写真家 鍵井靖章(かぎい やすあき)
大学在学中に水中写真家・伊藤勝敏氏に師事し、水中写真をはじめる。以後、オーストラリア、伊豆、モルディブでダイビングガイド業に従事しながら、撮影に取り組む。1998年にオーストラリアで撮影したミナミセミクジラの繁殖・交尾シーンで「アニマ賞(平凡社)」を受賞。それを機に帰国し独立。2006年8月鎌倉に移住。葉山の海をホームグラウンドとしつつ、世界の海を飛び回っている。
――鍵井さんの写真集などを見ているだけで、その素晴らしさは充分伝わってくるのですが、ダイビングや水中写真撮影の楽しさとはどういうところにあるのでしょうか?
鍵井:ダイビングは少しハードルの高い趣味だと思うのですが、皆さん、普通に海には行かれたことがありますよね。誰しも、打ち寄せる波を見てきれいだなと思ったり、水着に着替えてビーチで遊んだりしたことがあるはず。
でも、水面の“その先”の世界がどうなっているのかを知っている人はあまり多くはありません。実は、水面の下には、陸上では考えも及ばないような、見たこともないような世界が拡がっているのです。ちょっとした好奇心と勇気をもって、水面という「魔法の扉」を開けば、そんな非日常の世界を味わうことができるんですよ。
――非日常の世界とは具体的にはどういったものなのでしょうか?
鍵井:
まず、ジンベイザメであったり、マンタであったり、陸上ではなかなか近づけないような大きな生き物に簡単に出会えます。面白いのが、そんな巨大生物に遭遇したにもかかわらず、意外に衝撃がないこと。心がもう別世界にいるという認識になっているので、地上だったら慌てふためいてしまうようなことでも、すんなり受け入れられてしまうんですよ。
また、ウミウシやクラゲのような、不思議な色や造形の生き物に出会えることも、ダイビングならではの魅力。それらを写真に収めたいと考えるのは自然な感情だと思いますね。
――鍵井さんが、水中写真を撮り始めたきっかけを教えてください。
鍵井: 僕は二十歳の頃、兵庫県の川西市に住んでいたのですが、市内の百貨店のギャラリーで、後に師匠となる水中写真家・伊藤勝敏さんが写真展をやっていたんです。それを見て大感激して押しかけ弟子になったのが水中写真を始めたきっかけ。ちなみに実はその当時の僕は一眼レフも持っていませんでしたし、ダイビングもしたことがありませんでした。……若いってすごいですよね(笑)。
――水中写真のどういったところに感激したのですか?
鍵井: 最も惹かれたのは、海の宇宙的な部分ですね。無音の世界であることや、独特の浮遊感に宇宙を感じたんです。また、そこで出会う生物もどこか異星人的と言うか……。海に潜り始めた当時、海底で透明なエビに出会って感動したんですが、地上にはそんな生き物いませんよね。そういったすべてのことに憧れを感じてしまいました。
――鍵井さんの水中写真というと「夢色」という表現が有名ですが、こうした世界観はどういったところから生まれたのでしょうか。
鍵井:
一番最初は水中生物の生態写真という一番地味なところから始めて、90年代にモルディブに拠点を移してからはワイドな海中写真を撮るようになって、そこでやっと名前を知っていただけるようになりました。でも、やっぱりそれってダイビングをやっている人たちの間では、という注釈が付くんですよ。
そんな中、ある編集者の方からより多くの人に写真を見ていただくためのアドバイスを受けて、2012年に鮮やかな色彩を前面に押し出した水中写真集『海中散歩』を出版。それをさらにもっと柔らかにしたものが翌年の『夢色の海』(共にPIE International刊)となります。
この2作品は、若い女性を中心にダイビングをしたことのない方にも喜んでいただけたようですね。「私は海は苦手なんですけど、夢色の海は好きです」なんてメッセージをいただいたり、この写真集をきっかけにダイビングを始めたという人が現れたり、そうした声が、とても励みになりました。今年4月に発売した最新作『不思議の国の海』(PIE International刊)もその流れに連なる作品です。
――段階を経て「夢色」という境地に至っていったんですね。
鍵井: はい。ただ、実はそれと並行して、全く違う切り口で写真集を作っているんです。それが2013年に出版した『ダンゴウオ -海の底から見た震災と再生-』(新潮社刊)。2011年の東日本大震災の3週間後に、東北の海に潜りに行き、沈んだ家だとか、転覆した漁船だとかを撮影したのですが、そこには悲しい海底が拡がっていました。この写真集は以降、定期的に訪れて撮りためたものをまとめたものなのですが、何度も現地を訪れ、深く関わり始めた結果、本当の海とはなんだろうと思い始めるように。海が癒しを与えてくれるのと同時に、たくさんの方の命を奪っていく存在でもあるということを再認識しました。その後、足繁く被災地の海に潜るほど、もっと夢の世界を描き出せないかと考えるようになり、『夢色の海』の表現が完成したという経緯があります。白と黒の対比のように、夢色の海と、被災地の海が対比になっていて、それが当時の僕の写真を成立させていました。
――なるほど……。「夢色」にはそうした想いも込められているんですね。
鍵井: その上で、この9月に出す次の写真集はどちらとも違った内容になる予定。もう少し男性的というか、僕が初めて水中写真を見たときに感じた、宇宙のイメージを持った、本当の海が写っている写真集を、集大成的な作品として作成中です。「夢色」のファンの方の期待とはまた違う海中の世界を表現していますので、こちらもぜひご覧いただければ。
――とても基本的な質問になるのですが、そもそもダイビングをする人たちの間で、水中写真を撮るというのは一般的なことなのでしょうか?
鍵井: はい、普通のことです。みんなやってますよ。最近は水中撮影に対応したコンパクトカメラが充実していますからね。皆さん、僕らの仕事がなくなってしまうんじゃないかってくらい上手です(笑)。
――デジタル一眼カメラを使っている人はそんなに多くないのですか?
鍵井: いえいえ、全体の2〜3割くらいの人が一眼カメラを使っていますよ。やっぱり自分を表現したいという人はこちらにきます。見ている世界をそのまま撮影できる一眼カメラの方が、思いを表現しやすいですから。ストロボの付いた大きな防水ケースを抱えて海に潜っています。
――「自分を表現」するにはどうすれば良いのでしょうか?
鍵井:
まずはただ、自分がきれいだと思った光景を撮るだけで良いと思います。それ自体が立派な「表現」ですから。慣れてきたら徐々に、マクロレンズを使って、強調したいところを浮き立たせるなどといったテクニックを駆使していくと良いでしょう。
その際、効果的なのは、とにかく真似ること。ほかの人のテクニックを盗むのは良い勉強になると思います。
――では「夢色」をどうすれば真似できるかを教えていただけませんか?(笑)
鍵井: 「夢色」は原則としてストロボを使わないので、まずは太陽の光を充分に感じることから始めましょう。つまり、自然と撮影場所は浅めのエリアということになります。そして、もう1つのコツが白い砂地を舞台にすること。それだけでだいぶ「夢色」っぽくなりますよ。後は背景を青色に抜くとかかな……実はそんなに難しいことはやっていないんです(笑)。
ちなみに僕は、今日は「夢色」を撮ろうと決めたら、頭の中を「夢色」モードにして、それ以外のことは考えないようにしています。その方が良い被写体や構図が見つかるんですよ。ここは「夢色」に、ここはドキュメンタリーっぽく、みたいな 感じに、あれもこれもと欲張るのは、私にはできません。
撮りたい写真を決めたら、あとは海の中での魚たちとの出会いに任せて、その瞬間を 撮影するだけ、です。
――良い被写体や構図について、もう少しヒントをいただけますか?
鍵井: 僕は写真を撮るときに「物語」を重視しています。海の中って、いろいろな生き物が共に生きている場所。例えば、お魚として生まれてきたのに全く泳げないカエルウオと、元気に泳ぎ回るキンギョハナダイが1つの画面に入っているだけで、見た人に物語を感じさせることができますよね。
――本当だ。性格は全然違うのに仲の良い友達みたいに見えます。
鍵井: 全く種類の異なる魚が一緒に泳いでいるところを見ていると、海が国境のない世界だという言葉が本当だなと思えてきませんか?
――そのほかに、身につけた方が良いテクニックはありますか?
鍵井: 知識や経験とそれに基づく予測力も大事です。私はもう20年以上、海に潜っているので、長年の経験などから、魚の生息地が何となくわかります。また、マンタが前ひれをだらんとしている時はリラックスしているので接近を許してくれるが、くるっと丸めているときは逃げてしまう直前だとか、そういうことも知識として知っています。やはり、被写体となる生き物の生態を知っておくことは大事です。
――テクニック以外のことで、鍵井さんが心がけていることがありましたら教えてください。
鍵井: 一般的に水中撮影は、被写体の魚が逃げたり、隠れてしまったら終わり、ということになっています。でも僕は、目の前にいる魚が、撮影が終わった後も、変わらずそこにいてくれるように撮りたいんです。近付きすぎたり、何度もストロボを光らせることで、魚は確実にストレスを感じています。これをできるだけゼロに近づけたい。心がけているというより、目標ですね。そうできたらうれしいな、と。超高感度な『α7S II』はストロボをたかずに撮れますから、そういう意味では理想的ですね。
――今回、Sony Aquarium 2017のために『α7S II』と共に、沖縄・美ら海に潜っていただきました。まずは『α7S II』を選ばれた理由から教えてください。
鍵井: 今、「夢色」のもう1つ先の世界を表現したいと考えています。それは、これまでマクロレンズで撮ることの多かった「夢色」写真を、ワイドで表現するというものなのですが、そのためにはどうしても高感度が必要。それで『α7S II』を選びました。
――使ってみていかがでしたか?
鍵井: 高感度特性については想像していた通りの素晴らしいものでしたが、それ以上に驚かされたのが、ホワイトバランス設定の「水中オート」モード。水中で適正にホワイトバランスを取るのはかなり難しいんですが、このモードを試してみたところ、適正に、素早く求める色を出してくれました。
――他に気がついたことはありますか?
鍵井: 僕自身はあまり動画は撮らないのですが、周りのムービーを中心に活動されている方の間で、このカメラを使っている人を多く見かけるようになりました。聞いた話だと、4K動画撮影時の暗部の描写に優れているのだとか……。
――沖縄・美ら海の魅力についても教えてください。これまで鍵井さんが潜ってきた世界中の海と比べて、どういったところが際立っているのでしょうか?
鍵井:
沖縄にはいろいろな島があって、その島ごとに見せてくれる光景が大きく変わります。その多様性が最大の魅力でしょう。今回は石垣島で撮影したのですが、大きなマンタや、ギンガメアジの大きな群れと出会えるなど、ダイバーが会いたいと思う魚がすべて見られる海なんです。まさに、ダイビングをもっと好きになれる海。宣伝っぽく聞こえるかも知れませんが(笑)、これ、本音です。
また、何よりも島のダイビングスタッフの皆さんが、海のことを誇りに思っていて、隅々まで知り尽くしているのが素晴らしい。僕たちを海に導いてくれる案内役の豊富な知識と経験をお借りして、島の魅力を満喫することができます。
――被写体となる自然そのものも、撮影をサポートしてくださるスタッフの皆さんも、 双方ハイレベルなんですね。人気があるのもうなずけます。
鍵井:
残念なことに、去年、地球温暖化の影響を受けて珊瑚礁が白化現象を起こしてしまい、大変な問題になりました。でも、今年、実際に現地にいってみたら、すべてを失ったわけではなく、白化現象にも負けず、あるいは乗り越えて、美しく群生している珊瑚礁と出会うことができました。これは本当にうれしかったですね。
先ほどお話しした東日本大震災被災地の海のお話とも関連するんですが、沖縄の海の様子は、沖縄の歴史と密接に関わっています。戦争だとか環境破壊とかが、海の姿に大きく影響を及ぼすのです。毎年のように沖縄の海に潜っていると、そうした歴史の動きをありありと体感することができ、海がただ美しいだけの癒やしの空間ではないことが分かります。
――さて、今回、石垣島の海で撮影された写真の中では、この写真が最もお気に入りということですが、それはなぜですか?
鍵井:
『α7S II』にワイドレンズを装着して撮りました。これまでワイド撮影時には必須だったストロボをたかずに、感度を上げることで「夢色」に仕上げています。
また、構図もとてもこだわった部分。画面一杯にお魚が泳いでいるので、どこにアクセントを置くかとても悩んだのですが、背景の中央部分に白を挿入することで、躍動感のある絵にできたのではないかと思います。ちなみにこれはホワイトバランス設定を「水中オート」にして撮ったのですが、普通のカメラの設定、もしくは、ホワイトバランスがオートの設定だったら、これが真っ青になってしまっていたはずです。
――最後に読者に、改めてダイビングと水中写真撮影の醍醐味について、メッセージをお願いします。
鍵井:
ダイビングはとてもお金のかかる趣味で、おいそれとはおすすめできない面もあるのですが、一度体験すると、価値観ががらりと変わるほどの衝撃があります。ダイビングが無理という場合は、もっとお手軽にシュノーケリングなどでも良いので、海中世界を覗いてみてほしいですね。海の中にはこれほどたくさんの生き物がいるということを知ってほしい。ぜひ、海に遊びに来てください!
海を見て感じることが、年齢や経験を重ねて行くにつれて変わっていくのを感じています。40代の今と、20代の海に潜り始めた当時の僕とでは確実に見ているものが違う。やがて僕が60代になった時、どんなふうに海を見ているのかがすごく楽しみです。そして沖縄を初め、世界の海がいつまでも平和で美しい世界であることを願います。
※水中撮影には、
・デジタル一眼カメラ α7S II
・デジタル一眼カメラ α [Eマウント]用レンズ(単焦点) SEL28F20 FE 28mm F2
・デジタル一眼カメラ α [Eマウント]用レンズ(フィッシュアイコンバーター) SEL057FEC FE 28mm F2用
を使っていただきました。
※本ページに掲載している情報は2017年7月現在の情報であり、予告なく変更される場合がございます。
ファインダー越しに独自のフィルターを通して、世界中の海を撮り続けている水中写真家 鍵井靖章さん。その彼の作風は、私たちが知っている海中景観を変えていく。それは時に吸い込まれるようなまるで「海の宇宙」であったり、包み込まれるような優しい色使いの「夢色」であったり、見る人に幻想的な物語を感じさせてくれる。ソニーストアでは、鍵井さんの作品を4K大画面で観賞いただける展示や、トークショーを開催します。
開催場所:ソニーストア福岡天神 カメラコーナー
2017年8月12日(土)14:30〜15:30/16:30〜17:30
※申込はこちら、のボタンからお申し込みください
申込はこちら
全国のソニーストアで、「Sony Aquarium 2017」に関するイベントを開催します。
各店舗で開催内容が違いますので、各直営店舗のページをご確認ください。
美ら海のさまざまなお魚を、大型スクリーンで体感いただけます。まるで沖縄の海の中にいるかのような、臨場感をお楽しみいただけます。期間中随時開催します。
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開催期間:2017年8月
1日(火)〜5日(土)、7日(月)、8日(火) 12:00〜/13:00〜/15:00〜
11日(金)〜13日(日) 14:00〜
取材協力
DIVING SHOP NANA
〒240-0112 神奈川県三浦郡葉山町堀内647
http://www.nana-dive.net/index.html
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