これまで2回に渡って、インテリアコーディネートのポイントを教えてくれたインテリアスタイリストの窪川勝哉さん。
今回は、前回とは対照的に、趣味のモノを前面に押し出したコーディネート術を教えていただきます。まずは、ゴルフが趣味という方のご自宅のリビングを想定し、窪川さんに趣味のモノに囲まれた部屋をスタイリングしてもらいました。
オフタイムは好きなモノに囲まれて過ごしたい……、そう考える方も多いのでは? 仕事を終えての帰宅後、整然とした仕事場とは真逆の、趣味のモノに囲まれた空間の中でくつろげば、心身をリセットでき、明日への活力も湧いてくるはずです。
そんな部屋のコーディネートで気を付けたいのが、単なる“モノがあふれた乱雑な空間”にしないこと。
「乱雑な雰囲気を抑えたいなら、レザーのチェアや、ウッドのサイドテーブルなど、素材感のあるアイテムをそろえていくといいですよ。素材感のあるアイテムは部屋に配置した際、趣味のモノを溶け込ませやすいんです」
逆に、モノトーンやグレースケールのテーブルに何かモノを置くと、必要以上にその存在感が引き立ってしまいます。対して、素材感のあるアイテムは“包容力”があるため、さまざまなモノを合わせやすいのです。
「まず、ゴルフバッグのような大柄なアイテムは、特別な工夫をせず、ただ置いておくだけでサマになります」
皆さん、ご自身でカッコいいと思われるバッグを所有されているはずなので、それを“飾る”感覚で配置するようにするといいでしょう。
「あと、お気に入りのクラブがあれば、それを数本、壁に飾っておくのもいいですね。例えば、パターを掛けておけば、思いついた時にパッとつかんで、パッティングの練習などができますから」
ゴルフバッグのような大物とは対照的に、小物類を飾るのは案外難しいものです。
「小物類は、いったん箱などにしまってから収納するようといいでしょう。小さくて細かいモノを、目に触れる場所にカッコ良くディスプレイするのは難しいのです。ごちゃごちゃとした雰囲気や、雑然としたイメージを出さないために、まずはボックスなどの中に収めましょう」
そうした、細々としたアイテムを収めたボックスの収納に便利なのが、シェルフです。窪川さんが教えてくれたのは、よく見掛ける棚スタイルではなく、脚立のような形状をしたハシゴ状のもの。
「壁に立て掛けるだけでOKのシェルフは、設置場所を気軽に変えられるのがポイントです。また、素材として使われるスチールは、レザーやウッドで統一したインテリアとも好相性なのです。趣味のアイテムを飾るのに最適ですよ」
ご覧のように、シェルフは飾り棚としても活用できます。細々としたモノは、デザイン性に優れたボックスごと収納しましょう。そのままシェルフに置けば、すぐに取り出せて便利です。
また、引き立てたいアイテムのそばに、温かみのある色の光を放つライトを置けば、部屋の中でのアクセントになります。
「コーディネートに合わせて、今回は照明も、質感のあるスチール仕様をセレクトしてみました。光が透過しにくいシェードなので、部屋全体ではなく、手元だけを照らしてくれます」
好きなモノを前面に押し出した趣味の空間。それだけに、ひと工夫プラスして、趣味の世界をより楽しめるスペースに仕立てたいところです。
「そういう場合は、壁掛けタイプのテレビを選んでみてはいかがでしょう? ラックが不要な壁掛けタイプのテレビなら、趣味のためのギアをどんどん壁に掛けたり、ラックに並べたりできますし、そうすることで、ソファとテレビとの間のスペースも確保できます。また、あらかじめ撮っておいた動画をテレビに映し出すなどすれば、そのスペースでスイングの練習もできますよ」
テレビに欠かせないブルーレイレコーダーなどは、先ほどご紹介したシェルフに配置することができます。最新のレコーダーは、テレビと無線LANで接続することで、録画しておいた番組などをワイヤレスで再生できるのです。
「また、もしも自転車が趣味だという方なら、自転車の壁掛けもオススメです。テレビと同様、床に置いておくよりも部屋の広さ感が高まります。オブジェとしても、自転車はいいアイテムですね」
窪川さんいわく、実はシンプルな部屋づくりよりも難易度が高いという、オリジナリティを前面に押し出したインテリアコーディネート。幼い頃に夢見た秘密基地のように、趣味のギアに囲まれた暮らしは、それだけで充実した気分にしてくれるものですし、その分、豊かな発想も湧いてきそうです。
DUENDE/WALL RACK(22,000円/税抜)
DUENDE/WALL TARY(3,300円/税抜)
●マークスインターナショナル ◆03-6861-4511
RE_STANDARD/モールデッドパルプボックス S(1,200円/税抜)
●ハイタイド ◆03-3716-3711
【識者プロフィール】
インテリアスタイリスト
窪川勝哉
インテリアのみならず、クルマや家電、ステーショナリーなど、プロダクト全般に造詣が深いインテリアスタイリスト。雑誌やTV番組など、メディアでのスタイリングだけでなく、ウインドウディスプレイやマンションのモデルルーム、イベントのデコレーションなども手掛ける。2011年に渡英。1年半のロンドン滞在を終え、2013年から再び東京に拠点を移して活動中
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