商品情報・ストア Sony's feature 『グランツーリスモSPORT』プロデューサーが語る、精緻を極めた色と光の表現。

『グランツーリスモSPORT』プロデューサーが語る、
精緻を極めた色と光の表現。

『グランツーリスモシリーズ』は、美しい映像とリアルなドライビングフィールにより、多くのゲームファンだけでなく、普段はゲームをしないクルマやカーレースのマニアまでをも魅了し続けてきました。その7作目となる最新作『グランツーリスモSPORT』は、最先端の映像技術を駆使し、最もリアルに肉薄する表現を実現。プレーヤーを壮大な「クルマの旅」へと導いてくれます。今回はシリーズを通して『グランツーリスモ』の世界をプロデュースする山内一典さんに、飽くなきリアリティーへのこだわりを聞いてきました。

※今回のインタビューの一部を、動画でもご覧いただけます(本ページ最終部をご覧ください)

ポリフォニー・デジタル 『グランツーリスモ』シリーズプロデューサー
山内一典さん

全世界での累計出荷本数が7600万本を超えるドライビング&カーライフシミュレーター『グランツーリスモ』シリーズのプロデューサー。2001年から日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員。2010年以降、ニュルブルクリンク24時間レースには、ドライバーとして参戦している。

『グランツーリスモ』が追求する
「光」のリアリティー

『グランツーリスモSPORT』のプロデューサーである山内一典さんに、まずは歴代のシリーズと比較しながら、今作のポイントを聞きました。

「初代『グランツーリスモ』が発売されたのは1997年でした。当時は、初めて3Dグラフィックスを使ったドライビングシミュレーションとして登場しました。僕の感覚で言うと、その時以来の、新しい表現の世界へ踏み込んだタイトルが『グランツーリスモSPORT』なんです。これまでは、放送や記録されたメディアから再生される映像は、コンピューターが映像を生成するビデオゲームよりも、クオリティーの面では常に上位にありました。それが、今作の開発段階で、ビデオゲームの生成された映像が、記録された映像のリアリティーを上回るかもしれないな、という予感が生まれました」

今作はこれまでとは「別次元の表現力を備えることができた」と考えている山内さん。ではなぜ『グランツーリスモSPORT』は映像表現上、大きなステップを踏むことができたのでしょうか。

「最初の作品を作った時から、一貫しているテーマがあります。それは”光”です。光とは、クルマが走るコースの背景を彩る山間から昇る朝陽や、町並みに沈む夕陽、車体に映りこむ光です。陽の光が影響を与える森羅万象を、いかに表現するかということに心血を注いできたのです。しかしこの光を表現するのには、どうしても情報量が多くなるんです。今作では、PlayStation®4が持つハードウェアのパワーを最大限引き出しながら、さらにHDR(→Keyword01)というフォーマットが加わり、光の表現の幅が格段に広がったことも大きかったですね」

Keyword01:HDR

HDRとはHigh Dynamic Rangeの略。従来のSDR(Standard Dynamic Range)に比べてより広い明るさの幅を表現できる技術。人間の眼は、暗い部分から明るい部分まで細かく認識できます。従来の映像機器では、では、明るいところがただ白いだけ、暗いところがただ黒いだけになってしまい映像として認識できなくなります。あるいは、現実の明るさとは異なる明るさに変換することで表現していました。HDR規格とこれに対応したTVの登場によってこのような問題がなくなり、自然界の光を階調豊かに、かつ正確な明るさで表現できるようになりました。

繊細な光の表現を求めて──HDRへの挑戦

『グランツーリスモSPORT』の映像進化を語る上で外せないキーワードとなるHDRフォーマット。微細なグラデーションを描く漆黒の闇。その中を走り抜けるクルマのヘッドライトが照らし出す光は、現実世界と同じような眩しさを感じられるような、リアルな光の表現を可能にします。

「僕らが『グランツーリスモ』を作り始めた頃、あるいは僕自身が写真を撮り始めた中学生の頃、その頃から画像や映像には、特定のリミットが存在したわけです。そのリミットがずいぶん久しぶりに、引き上げられた。これは、良いチャンスだなぁと思いましたね。HDRは、これまでの映像表現、あるいは画像の表現を超える可能性を持った技術です。しかもそれがコンピュータグラフィックスとすごく親和性が高い、ということも分かっていました。だから、HDRというのは非常に興味深いテーマとして取り組みました」

しかし『グランツーリスモ』をこの新フォーマットに対応させることは、開発者にとっては新たなチャレンジ。乗り越えなければならない壁が幾重にもありました。

「HDRに対応するということは、世の中に溢れている光を、内部的に全て正確に計算する必要があります。そして内部的に計算するためには、世の中にあるもの全てをキャプチャーする段階から、きっちりと正しい色、正しい輝度で取り込む必要があります。しかし、『グランツーリスモSPORT』の開発がスタートしたのは、だいたい4年前のこと。その頃HDRで作られた画像すら世の中にはほとんどありませんでした*。ですからHDRについて深く学習しながら、世の中のあらゆるものをHDRフォーマットでキャプチャーするところから作っていきました。開発スタート時には、対応する撮影機材すらなかったので、ソニーと協力しながら、機材選定にも取り組みました。まさにゼロからの試行錯誤ですので、苦労したところはたくさんあるんですが、同時に楽しんだところでもありましたね」


*ディスプレイ表示におけるのHDR規格に対応した画像

フェラーリの赤が正確に表現できるようになった
ワイドカラー対応

HDRの他にも、既存の映像からリミットが大幅に引き上げられているものがあります。それが色域。どれだけの色を再現できるかという規格です。『グランツーリスモSPORT』では、この色域について、BT.2020という最新のワイドカラー(→Keyword2)規格に対応しました。これは従来のsRGB(BT.709)と比べて、表現できる色域が64%も拡大しています。人間の眼が認識できる色の大半を、表現できるようになったのです。

「例えばフェラーリの赤とか、あるいはマクラーレンのオレンジだとか、自動車にはかなり鮮やかな、彩度の高い色が塗装に使われています。けれど、そういった色は従来のカラースケール、sRGBの外側にあったんですね。ですから正しくそういった色を表現できなかったんです。

実際これまで、僕らもシリーズを作っていく中で、例えばフェラーリの赤が正確に出せないなぁ、ということは感じていたわけです。それがHDRになって、ワイドカラーに対応したことで、かなり正確に色を再現できるようになったのです」

Keyword02:ワイドカラー

現在のテレビ放送などでは物体色の約74.4%を再現できる「BT.709」という国際規格が採用されている。一方4K/8K解像度のテレビが満たすべき仕様についての国際規格「BT.2020」」では、世の中に存在する物体色の99.9%を再現可能とされている。この色域が広い=ワイドカラーに対応することで、これまで表現できなかったクルマの色を表現できるようになったと山内氏は語る。

『グランツーリスモSPORT』の世界をキャプチャーする
「α」とのコラボレーション

広いダイナミックレンジの表示を可能にするHDRや、広色域な表現を可能にするBT.2020。映像表現の壁を打ち破る、新たなフォーマットが確立されたことで、眩しい光を眩しいと感じさせ、光の変化によって移り変わる微細なグラデーションをも、表現できるようになりました。これら新フォーマットを武器とし、よりリアルな“光”をゲームの中に再現することが、『グランツーリスモSPORT』を開発するアーティストやエンジニアたちに課せられたのです。リミットが格段に引き上げられたことで、山内さん率いる開発メンバーが、やらなくてはならないことも格段に増えました。そのひとつが、HDRやBT.2020の映像を作り出すには、その元となる広いダイナミックレンジかつ高色域の画像データをどう作り出すかでした。

「僕らがHDR、あるいはBT.2020のワイドカラー規格に準じた『グランツーリスモ』を作るにあたって、(ディスプレイ表示において)HDR規格に対応した画像データが世界にほとんどなかった、という話はさきほどしました。同時に、それをキャプチャーする最適なデバイスもなかったんですよね。

そこで、ソニーのデジタルイメージング開発を担当する方々とお会いし、希望をお伝えしたんです。そうして調べてもらうと、既存のソニーの一眼カメラシステム「α7R」「α7RⅡ」のハードウェアは高画素でありつつダイナミックレンジが広いため、僕らのやりたいことができるということが分かりました。そこで、「α7R」「α7RⅡ」が撮影した画像を元にCGを生成する、『グランツーリスモ』制作専用のソフトウェアを開発しました。「α」が、世の中の森羅万象をキャプチャーすることになったのです」

映像表現の新世界を切り拓く「最新のプロトタイプ」

森羅万象の光を表現する新たな術を探求した結果、『グランツーリスモSPORT』という今までにないほど、突出したリアリティーを持つ作品が誕生しました。しかし、山内さんの理想は、まだまだ先にあるのだといいます。

「『グランツーリスモ』の理想は、もっともっと遠くのところにあります。 今、やるべきことは、手に入るハードウェアや、今できることでまずはトライすることだったのだと思います。こうした経験を積んでいくことで、未来のもっと良いハードウェアやソフトウェアに繋がっていきます。僕らに必要だったのは、技術の壁の前で足踏みすることではなく、理想を目指して“始める”ことだったんです」

では、あくまでも今回は、スタート地点ということなのでしょうか?

「そう思います。HDR、あるいはワイドカラーという新しい表現の枠組みは、いままさに出来上がったばかりです。僕らが作った『グランツーリスモSPORT』は、その枠の中での、言ってみれば一番新しいプロトタイプなんですね。今後、HDRやワイドカラーといったものを、どのように映像表現に活かしていくのか、あるいはどのくらい伸びしろがあるのかというのは、僕らも含めて、映像を作る人の大きなテーマになってくるだろうと思いますね」

今回、山内さんはHDR、ワイドカラー、4K 60fps(→Keyword3 & 4)など新たな映像規格に真正面から取り組んできた話を、淡々と語ってくれました。そうして完成したのが、『グランツーリスモSPORT』の高画質映像です。そして、その映像の最終チェック用機材として山内さんが選んだのが、ソニーのテレビ史上最高画質4K液晶テレビ ブラビア『Z9Dシリーズ』

次回は、山内さんが初めてブラビア『Z9Dシリーズ』に『グランツーリスモSPORT』を映した時のインプレッションや、なぜブラビアを選んだかについて、その秘密を語っていただきます。

ご紹介した『グランツーリスモSPORT』はPlayStation®4でお楽しみいただけます。

※HDRをブラビアで視聴する際にはブラビアのHDMI信号フォーマットの設定変更が必要です。

Keyword03:4K

フルハイビジョンが水平1920×垂直1080画素なのに対し、4Kでは水平/垂直が各2倍の3840×2160画素、約829万画素の解像度を備える映像機器。フルハイビジョンの4倍の解像度となり、映像の精細感が向上する。

Keyword04:60fps

fpsとはframe per secondの略。例えば60fpsでは、1秒間に60フレーム(枚)の静止画を使って動画として表現している。そのため4Kの高解像度でかつ60fpsではかなり映像が滑らかで自然に感じられる。

今回の山内一典さんインタビューの一部を、
下記より動画でご覧いただけます。

おすすめ記事

『グランツーリスモSPORT』プロデューサーが語る開発に必要不可欠だったブラビア

多くのファンを魅了し続ける『グランツーリスモ』シリーズ。今回はそのプロデューサーである山内一典さんに、最新作『グランツーリスモSPORT』の開発にあたり必要不可欠であったブラビアの存在について、その画質エンジニアと共に語っていただきました。

4K有機ELテレビ ブラビア『A1シリーズ』のある暮らし。

4K有機ELテレビ ブラビア『A1シリーズ』は、ソニー最新の高画質・高音質技術、そしてデザインが結集したテレビです。実際にどのようなオーナーが、どのように活用しているのか。『A1シリーズ』をいち早く使っているという、東京都日野市在住の60代男性・F様にお話を伺いました。

ピーター・バラカンさんが語るブラビアと音楽の楽しみ方(前編)

ブロードキャスター”のピーター・バラカンさんにブラビアとサウンドバーの画質や音質、デザイン、実際に使った感想などをお話しいただきました。

食育インストラクター和田明日香さんのブラビアでの動画の楽しみ方(前編)

ブラビアで見られるインターネット動画、ハンディカムやブルーレイディスクレコーダーを使った動画の楽しみ方を、3児の母であり、食育インストラクターの和田明日香さんにお話しいただきました。
カテゴリー
    タグ