商品情報・ストアヘッドホン The Headphones Park 開発者インタビュー XBA-N3/XBA-N1 開発者インタビュー

Engineer's Interview XBA-N3/XBA-N1 開発者インタビュー

目指したのは、音質の向上と装着性の両立

V&S商品設計部門 機構設計部 機構設計4課 アコースティックエンジニア桑原英二さん

2014年秋に発売されたハイブリッドドライバー搭載のXBA-A3/A2/A1。ダイナミックドライバーユニットとバランスド・アーマチュア・ドライバーユニットを組み合わせたその音質は、ユーザーからの評価も高く、「XBA-A3/A2/A1のシリーズは、音質としてはひとつの完成形だったと自信を持っています。」と、新製品であるXBA-N3/N1の音響設計を担当した桑原氏は話す。「ただ、後継となる製品を2016年秋に発売するという予定が立ったとき、新製品なので音質を向上させることはもちろんなのですが、加えて装着性を向上させたいという思いが強くありました。(桑原氏)」XBA-A3はHDハイブリッド3ウェイドライバーという構成が特長で、それが高音質を実現したポイントではあるが、インナーイヤーレシーバーに3基のドライバーを組み込むとどうしても筐体が大きくなってしまう。その大きな筐体を安定して装着するために、ケーブルを上に出した耳かけタイプとしたのだが、このスタイルを苦手とするユーザーもいるようだ。そこで今回の製品では、ケーブルを下に出した一般的なインナーイヤーレシーバーの形状で筐体を小さく仕上げ、装着感を安定させるというコンセプトで筐体の設計を開始したという。

では、どうすれば、音質を落とさずに、小さなインナーイヤーレシーバーとしてまとめられるのか?「装着性の観点では、ドライバーの数を減らすことで設計できる形状の幅が広がり、より装着カバー率の高いものを作ることができます。3ウェイドライバーの製品を発売した直後から、非常に難易度は高いですが、ドライバーの数を減らしつつ、かつ音質を向上させることに挑戦し続けていました。(桑原氏)」

ドライバーユニットの数が減っても音質は向上

XBA-A3の後継モデルであるXBA-N3

新シリーズはXBA-N3/N1の2モデル構成だ。上位モデルだったXBA-A3の後継製品がXBA-N3で、XBA-A2/A1の後継がXBA-N1となる。
従来のXBA-A3/A2/A1は、製品によって3ウェイと2ウェイという違いがあったが、XBA-N3/N1はどちらも2ウェイ構成の「HDハイブリッドドライバーシステム」だ。新しい「HDハイブリッドドライバーシステム」では、ダイナミックドライバーユニットが低音域から中音域をメインとするフルレンジの役割を、バランスド・アーマチュア・ドライバーユニットが高音域を担当するトゥイーターの役割を受け持っている。つまり今まで低音域と中音域で2つのドライバーユニットを使用していたところを、1つのドライバーユニットでカバーしていることになる。 もちろん妥協の産物としてドライバーユニットの数を減らしたわけではない。進化した新開発ドライバーユニットにより、さらなる高音質化が可能となったのだ。

XBA-N3/N1では新開発の小型高感度9mmダイナミックドライバーを採用。外磁型磁気回路を採用し、振動板形状を最適化することで、高感度で低音域の駆動力に優れたドライバーユニットに仕上がっている。
「XBA-A3のダイナミックドライバーユニットは16mm、XBA-A2は12mm、XBA-N3/N1はさらに小さな9mmの小型ドライバーユニットですが、従来の16mmよりも優れた低音域と感度を実現しています。このダイナミックドライバーユニットを開発できたことが、筐体を大幅に小型化できた大きなポイントです。(桑原氏)」

(左)XBA-N3搭載のダイナミックドライバーユニット、(右)XBA-N1搭載のダイナミックドライバーユニット

新開発されたダイナミックドライバーユニットは、サイズ的にはXBA-N3とXBA-N1とも9mmで共通、どちらも外磁型磁気回路を採用しているが、XBA-N3では振動板の素材として、内部損失が高く理想的な特性を備えるLCPを採用。「振動板の素材として多く採用されているPETに対し、LCPは材料としてかなり高価なため、特に音質に拘った高級モデルにのみ採用しています。これによりXBA-N3では、入力信号に対して忠実で色付けの少ない、とてもクリアな音を聴くことができます。(桑原氏)」

新開発されたのはダイナミックドライバーユニットだけではない。バランスド・アーマチュア・ドライバーユニットもXBA-N3/N1のために今回開発されたもので、従来のXBA-A3/A2/A1搭載のユニットに比べて小型化されている。具体的には体積比でマイナス約30%(従来比)となっており、こちらも筐体の小型化に大きく貢献した。今回はバランスド・アーマチュア・ドライバーユニットをトゥイーターとして使っているため、高音域の再生能力が重要。一般的にはドライバーユニットを小型化すると振動板面積が減少するため感度が低くなりがちなのだが、XBA-N3/N1のバランスド・アーマチュア・ドライバーユニットは従来ユニットと同レベルを維持しつつ小型化に成功したという。その理由を桑原氏は「このバランスド・アーマチュア・ドライバーユニットは日本国内の自社工場で高精度な自動生産技術により作られています。具体的には、マグネットとアーマチュアのギャップをミクロン単位で調整し、限界まで狭めることで小型化しつつ感度を保つことに成功しました。また、バランスド・アーマチュア・ドライバーユニットだけに限らず、XBA-N3/N1では多くの日本製部品を採用しています。小型化と高音質化を両立できた理由のひとつですね。」と話す。

(左)XBA-N3/N1搭載のバランスド・アーマチュア・ドライバーユニット、(右)従来のバランスド・アーマチュア・ドライバーユニット

XBA-N3とXBA-N1が採用しているダイナミックドライバーユニット/バランスド・アーマチュア・ドライバーユニットは、更なる高音質化のために技術を極限まで追求し、今回のシリーズ用に特化して作られている。ドライバーユニットを自社開発しているソニーならではといえるだろう。

XBA-N3だけに搭載される新技術、サウンドスペースコントロール

サウンドスペースコントロールにより、小型化と高音質化の両方を実現している

「一般的なインナーイヤーレシーバーの構造の場合、1基のドライバーで理想的な音質を追求するのは難しいのですが、サウンドスペースコントロールにより可能になりました。これを搭載すると、低音域と中音域でそれぞれ独立した調整・最適化ができます。以前はウーファー用のダイナミックドライバーユニットとフルレンジ用のバランスド・アーマチュア・ドライバーユニットを使ってバランスを調整していた帯域を、1基のダイナミックドライバーユニットでカバーしつつ更に音質も向上させることに成功しました。ただ、サウンドスペースコントロールは複雑な機構で、その設置は容易ではありません。様々な切り口で検討し、今の形に落ち着きました。ダイナミックドライバーユニットの小型化と、バランスド・アーマチュア・ドライバーユニットの数を減らし生まれた空間に、サウンドスペースコントロールを組み込む。理想的な形で小型化と高音質化を実現できた、というわけです。サウンドスペースコントロールを搭載したN3では、広い音場と原音の持つ音色の美しさ、多彩な表現をありのままに感じていただけるかと思います。(桑原氏)」

ダイナミックなサウンドを楽しむことができるXBA-N1

また、XBA-N1にはサウンドスペースコントロールは搭載されないものの、前述のとおり各ドライバーユニットが進化しており、ハイブリッドシリーズとしての高品位な音質にしっかりとチューニングされている。また、音質の傾向としては、下位モデルだからXBA-A1に近いというわけではなく、どちらかと言えばXBA-A2の遺伝子を受け継いだような、元気で迫力のある派手目のサウンドを楽しめるよう、仕上げられているそうだ。

追求した装着性の向上

V&S商品設計部門 機構設計部 機構設計1課 メカニカルマネジャー松尾大輔さん

では、目標としてきた装着性の向上は具体的にどのように実現したのか。
「XBA-A3はそのサイズから、安定して装着させるために耳かけ型としましたが、どうしても装着に時間がかかりがちです。また、わたし自身がそうですが、めがねをかけていると装着しづらく感じることもあります。耳かけ型にもメリットがあることは十分にわかったうえで、今回は誰でも装着しやすい、ケーブルを下に出した一般的な形にしようと決めていました。」と、機構設計担当でありプロジェクトリーダーの松尾氏は話す。

ケーブル下出しの一般的なインナーイヤーレシーバーにするとしても、安定性に欠けるのでは困る。安定性に影響を及ぼす要素は、イヤーピースからハウジング背面やケーブルまでの距離だ。この距離が長くなるほど安定性に欠け、逆に短くできればケーブルを引っ張ったときなどの負荷にも耐えられ、ズレにくくなる。「まず、距離を短くするためには2つのドライバーユニットを奥行方向に重ならないよう配置する必要があります。そして、耳の凹凸形状に収まる最適なレイアウトをさまざまな試作やフィッティングテストを繰り返すことで決定しました。その結果XBA-N3はXBA-A3に比べてイヤーピースからハウジング背面までの距離を7mmほど短くすることができ、重量的にも約30%軽くなっているので、耳かけでなくとも十分に安定します。(松尾氏)」

手前がXBA-N3/N1に同梱の新開発トリプルコンフォートイヤーピース、奥がXBA-A3/A2/A1に同梱されているシリコンフォームイヤーピース

XBA-N3とXBA-N1ではサウンドスペースコントロールの有無という違いがあり、細かい形状にも異なる部分はあるものの、装着感に影響を与える最大外径や重量はほぼ共通だ。細かいところではXBA-N1に比べ、XBA-N3ではサウンドスペースコントロールの搭載によりドライバー背面の奥行きが1.5mmほど深くなっているというが、装着感が悪くならないよう、ぎりぎりまで肉を削ぎ落としたようなフォルムにまとめているのだ。

また、イヤーピースによって、更に装着性の向上を図るべく、遮音性や耳当たりなどを従来のシリコンフォームイヤーピースから改善した、新開発のトリプルコンフォートイヤーピースも製品に付属する。「お客さまにとってベストな装着感を追求し、楽しんでいただければと思います。」と松尾氏は話す。

ハイブリッドドライバーという仕組みの完成形

ダイナミックドライバーユニットとバランスド・アーマチュア・ドライバーユニット。そして、それらを組み合わせることでそれぞれの特性を活かし、高音質を目指したハイブリッドドライバーシステム。今後の進化や方向性が気になるところだが、桑原氏は「現時点でお話できることとしては、ハイブリッドドライバーシステムでは2基のドライバーユニットを使ったこのHDハイブリッドドライバーシステムが理想的な形、ひとつの到達点だと感じています。」と話す。

製品として完成したXBA-N3/N1を前に、ユーザーへのメッセージを聞いてみよう。
「自信をもってお勧めできる製品として仕上がりました。XBA-N3は、XBA-A3のファンやユーザーはもちろん、高音質を徹底して追求されるお客さまに、ぜひとも店頭で手に取って圧倒的な高音質を体感していただきたいですね。XBA-N1は、比較的手頃な価格帯ですが、本格的な音質を実現できています。高音質なインナーイヤーレシーバーに興味を持ち始めた方にもお勧めします。どちらも店頭でぜひ聴いてみてください。(桑原氏)」
「XBA-N3/N1のどちらも、音質はもちろんですが、装着感にもものすごくこだわって作り上げました。ぜひ体験していただけたらと思います。(松尾氏)」

取材:藤本健

商品情報

  • 密閉型インナーイヤーレシーバー

    XBA-N3

    原音そのままの美しい音楽表現と高い装着性を両立

  • 密閉型インナーイヤーレシーバー

    XBA-N1

    豊かな広帯域再生と高い装着性を両立

RELATED CONTENTS 関連コンテンツ

  • ハイレゾ対応Xperiaで極上の音楽体験を
  • 月刊 「大人のソニー」
  • ソニーストア
  • Walkman
  • ヘッドホンの歴史
カタログPDFダウンロード
ヘッドホン サイトマップ