商品情報・ストアヘッドホン The Headphones Park 開発者インタビュー MDR-1000X 開発者インタビュー PART2

Engineer’s Interview MDR-1000X 開発者インタビュー

音楽再生機を簡単にコントロールできる操作性

ハウジングの外面にタッチセンサーがある

――やはり外での利用がメインになるかと思いますが、スマートフォンなどとの連携についてはいかがでしょうか。

井出 ハウジングの外面がタッチセンサーになっていて、接続した音楽再生機の操作ができます。例えば、ハウジングに触れた指を横に滑らせると曲の送り戻しができ、ダブルタップすれば再生/停止ができます。また、タッチセンサーの長押しでSiriやGoogle Nowといった音声アシスタント機能の起動ができ、さらに電話の着信にもダブルタップで出られます。このセンサーに基本操作を集約することで、ボタン類を極力減らすことができたため、デザイン的にもメリットがありました。

「着け心地」のために、軽さを追求した機構設計

――先ほど着けさせていただいたときに「軽いな」と、あらためて思いました。軽さのために注力されたことは。

横山 基本的に、ヘッドバンドが軽ければ軽いほど、着けたときのバランスが安定します。装着時に頭を振ってみると分かりますが、ヘッドバンドが重いとグラついてしまいます。そのため、ヘッドバンドの構造を徹底的に検証し、構造を見直しました。パーツの軽量化やコンパクト化を図る際に、材料を変えたり、形状や構造を工夫しながら、できるだけ薄く、軽く、それでいて十分な強度が担保できるものを、何度も試作を繰り返して完成させました。

“凝縮された一体感”で、高品質を演出するデザイン

ボタンは3か所のみ。滑らかなパーツのつなぎ目もよくわかる

――薄く軽くを目指していく中で、デザインとのせめぎ合いもあったのではないかと思うのですが。

横山 MDR-1000Xは、第一にノイズキャンセリング性能を重視しています。また、音質にも妥協は許されないため、構造上の制約が多くありました。デザイナーと何度も議論をしながら機能とデザインを両立する製品に仕上がりました。今回のデザインにおけるテーマは「凝縮・圧縮」です。必要な要素が一体感を持ち、隙間や段差が少ない造形を目指しました。素材・形状ともに一体に見えるハウジング部分とメタリックの質感でつながるヘッドバンド部分の2つをコンパクトに感じる造形にまとめています。コンセプトを実現するために、設計側には筐体を小さくすることが求められました。電気回路の設計者とも協力し、基板面積が小さくなるよう、パターンや信号線の引き回しを検討し、配置も工夫してコンパクトに収まるよう何度も検討を繰り返しました。ボタンの配置や形状なども使いやすいが外観を損ねないよう工夫しています。

例えば、ハウジングとハンガーのつなぎ目の段差が少ないため、遠くから見たときに全体が1つの塊に見える。各要素が「凝縮された一体感」を生み出しています。また、ハウジングの外面に合成皮革を貼っているのですが、それによって「全体の質感」にも一体感が生まれている。さらには、操作するときの“音”にまでこだわっています。例えば、ハウジングのタッチセンサーを擦ったときには、なるべく音が立たず、音楽を邪魔しないように配慮しています。タッチ面の粗さや材質によっては「シュッ、シュッ」という擦れ音が大きいのですが、指の滑りのよい合成皮革を貼ることで音が抑えられています。そしてデザイン性も上がる。これもデザイナーの提案です。

カラーは、ブラックとグレージュの2色設定

――本体のカラー設定に、エレガントな色があって新鮮です。メタル感も高品位な印象です。

横山 グレーとベージュの中間色「グレーベージュ」というカラーですね。これまで、ノイズキャンセリング機能をもったヘッドホンは男性向けという印象で、デザイン的に武骨なものが多かった。今回は、もっと女性にも違和感なく着けていただきたいと考え、こういう色を設定しました。これによって、女性にも注目していただけると非常にうれしいです。そして、ヘッドバンドのメタリックな質感と、ハウジングを中心としたマットな質感が、コントラストではなく、むしろ一体感を生み出していると考えています。

利用シーンを考え、ユーザーを思って

専用ケースに収納した状態

――ユーザーの使い勝手を考えて盛り込んだ機能も見逃せないですね。

横山 携帯性にも考慮しました。デザイン性を重視し、目立たない構造にしていますが、ハウジングを内側へ折りたためる可動部があって、コンパクトにケースへ収納できます。製品の保護がケースの目的ですが、ケースへの収まりが良くなるよう、ヘッドホン本体の形状も工夫しています。

――このような機構をもたせることで、音に影響はないのですか。

横山 可動部が増えることは、余計な音を生む原因にはなりえます。しかし、MDR-1000Xでは静音設計によって音がしない、邪魔をしないものになっています。いまお話しした折りたたみ機構部分を動かしてみてください。静かですよね。 機構を入れないほうが、設計上も楽です。しかし、設計は大変でも、ユーザーのことを考えると、折りたためた方が便利です。その上で不要な雑音が出ないよう、細部まで追い込んだ設計をすることにこだわっています。

――では、あらためてMDR-1000Xを「こう使ってもらえたら」といった、ユーザーへのメッセージはありますか。

井出 まずは、業界最高クラス(※)のノイズキャンセリング性能を実感していただきたいのですが、音質の良さも、ぜひ確かめてほしいと思います。ノイズキャンセリングヘッドホンは、信号処理をして音にいろいろな加工をしているため「音質が悪い」というイメージをお持ちの方が多いと感じています。しかし、このMDR-1000Xはソニーのワイヤレスヘッドホンのフラッグシップにふさわしい、非常に良い音に仕上がったと思っています。
※ノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2016年9月1日時点、ソニー調べ。JEITA基準に則る。

横山 ノイズキャンセリング性能、音質はもちろんのこと、長時間つけていても疲れにくいよう装着時の快適性にもこだわりました。また、携帯性も良くなっていますので、いろいろな場所へ持ち運んで、永く使っていただけたら嬉しいです。

松本 新しく 「外音取り込み」機能を搭載したことで、音楽の楽しみ方が、より広がったと思います。携帯性もいいですし、さまざまな機会で、いろんな環境の中、ご自分に合った音楽の楽しみ方をしてもらいたいです。

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商品情報

ワイヤレスノイズキャンセリングステレオヘッドセット

MDR-1000X

周囲の騒音から解放され、こだわりの高音質に浸る。新次元ワイヤレス

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