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世界最速のAF速度と
高速連写を求めて。
RX100 V開発者インタビュー

設計プロジェクトリーダー ファン カイエイ
AF担当 種岡一仁
イメージセンサー担当 関 健三郎
フロントエンドLSI担当 小笠原 貴

α Universe editorial team

1型センサーの高画質を極めたRX100 IVの発売から2年。ボディサイズはそのままに、世界トップクラスの高速AF/高速連写を身に付け登場したRX100 Vはどのようにして生まれたのか。開発に携わった4人のメンバーにお話しを伺った。

開発陣のなかからインタビューに答えてくれた4人。左からフロントエンドLSI担当 小笠原さん、AF担当 種岡さん、設計プロジェクトリーダー ファンさん、イメージセンサー担当 関さん。

プロ、ハイアマチュアの要望を満たす
真のプレミアムコンパクトを目指して

設計プロジェクトリーダー ファン カイエイ

――まず、開発をスタートした経緯を教えてください。 ファン:RX100シリーズは、ポケットサイズのプレミアムなコンパクトデジタルカメラとして、これまでにお客様それぞれの、さまざまな撮影スタイルに合わせて4機種を送りだしてきました。市場調査によると、直近のRX100 IVを所有する、または興味を持っているお客様のうち約7割の方が一眼カメラを持っていて、その中でも約3割の方がフルサイズのカメラを所有していることが分かりました。そこで「RX100 V」を開発するにあたってメインターゲットとして想定したのは「高画質なサブカメラを求める一眼カメラをお使いのお客様」でした。1台目のカメラとして、ハイエンドクラスのカメラをすでに持っています。そんなお客様が、サブカメラに何を求めているのでしょうか? サブといえども「高画質であること」がまず最初に上がって、AFや連写などの性能に関することが続きました。

こうしたお客様の要望に応えるために私たちが目指したのは、レンズ交換式一眼カメラの性能に負けないポテンシャルを持ったカメラを作ること。具体的には、高画質はもちろんのこと0.05秒の高速AF、AF・AE追従可能な24コマ/秒の高速連写をこのコンパクトサイズの中に達成することが目標になりました。

――いつ頃から開発はスタートしたのですか。 技術要素により一概には言えないのですが、開発に時間のかかる半導体などは何年も前からスタートしています。企画部や関連部署のエンジニアと話して仕様を詰めていきました。市場から好評を得ているRX100シリーズですから「RX100 V」に対する期待の大きさも伝わってきていました。ネットではお客様たちが「RX100 Vはこんなスペックになるに違いない」ってワクワクしている様子がうかがえました。同じ頃、実は私たちもワクワクしながらいろんな議論を繰り返していきました。

「世界最速」を目指して
少しずつ磨きこまれていったAF速度

AF担当 種岡 一仁

――世界最速のAFシステムはどのように誕生したのですか。 種岡:まず最初に「0.05秒の高速AFの実現」と言われたときは、正直、無理かなって思いました(笑)。僕らソフトウェア側の工夫だけではきびしいと感じたので、さっそくハードウェア側の担当者に相談しました。レンズがどれだけ速く動いて、最適なポイントで止まって撮影できるのか。レンズのモーターの実力を限界まで引き出す実験をしてもらいました。結果、こちらが要求する短い時間で動いて止まる、そして撮影する能力を安定的に発揮できることがわかりました。僕らはレンズの動かし方に関するアルゴリズムを一新すると共に、処理時間も細かく詰めていって高速化を図りました。

――ソフトとハードの両方から高速化のアプローチをしたんですね。 種岡:そうですね。ひとつ言えるのは、レンズ一体型だからこそ、このレンズのポテンシャルを最大限まで引き出す専用のアルゴリズムを追求できたということです。撮影動作に入ってからピントを合わせるまでの時間が0.05秒と今までじゃ考えられないくらい短いので「どこにピントを合わせるかを決める」、「レンズをその位置に動かす、そして止める」「撮影する」という一連の動作を実現するためにレンズ制御のソフトウエアは一新しました。だから、実はRX100 IVとも動かし方は全く違います。

撮像エリアの約65%の範囲に315点像面位相差センサーを配置

――AFエリアとAFポイントも大幅にアップしていますね。 従来のコントラストAF(25点)に加えて、315点の像面位相差AFセンサーが新たに配置されたことは、僕らを大いに悩ませた課題の1つです。2つのAF方式を併用するファストハイブリッドAFになったことで、ピント合わせが難しい小さな被写体や動く被写体も、画面の広い範囲で精度高く捉えられるようになるわけですが、AFの制御に必要な演算量は飛躍的に増えました。 ファン:「子どもがブランコに乗っているとき、すぐに瞳にピントが合って撮影できるようにしてください」って僕が具体的な要望を出したんですけど。 種岡:それって、一番難しいんですよね(笑)。315点分の情報が得られますが、そのどこに子どもの瞳があるのか、明るさの変化などを読み取って総合的な計算で瞬時に動きを予測して、残りの時間でレンズを動かして止めて撮影する。そのために、どれだけのアルゴリズムが必要になるか。初めての挑戦なので楽しい作業でしたが、やはり0.05秒っていう要求されているスピードを実現するのは苦労しました。

――ご自身の中で、こだわった部分や意識したことはありますか。 種岡:一眼ユーザーを想定していましたので、サブカメラにAF性能を求めるんだったら、やる以上は一眼と同じような性能にしなくてはいけない、という意識がありました。このボディサイズにすべてを収めるということに関しては、やはり光学性能が優先になります。その中でもレンズやモーターは限界ギリギリの実力を引き出してきているので、制御としてはそのポテンシャルを発揮できるようにチューニングしていった感じです。

かつてないスピードで
決定的な瞬間を逃さず撮影するために

イメージセンサー担当 関 健三郎

――センサー周りでRX100 IVからの変更点を教えてください。 関:従来のイメージセンサーでは、0.05秒の高速AFやAF・AE追従24コマ/秒の高速連写を実現するのは難しいので、新しく像面位相差AFセンサーを搭載したイメージセンサーを開発しました。一番の課題は、1型センサーに315点の像面位相差AFセンサーを搭載すること。ファストハイブリッドAFはα6000シリーズにすでに搭載されていましたが、1型イメージセンサーでα6000シリーズと同等の高い性能を引きだすことは、難しいところでした。試作品を何種類も作って、どの型が効率的に光を取り込められるか探っていきました。細かいチューニングの世界ですね。

AF・AE追従で最高約24コマ/秒の高速連写を実現

――連写速度もRX100 IVの16コマ/秒から24コマ/秒へとアップしていますね。 関:新しいイメージセンサーの最大の長所はAF・AE追従 で24コマ/秒の高速性です。例えば、一発目でAFを合わせて、以降はAF固定で30fps連写や60fps連写を実現しているカメラはありますが、AF・AE連動のここまで連写ができるカメラはこのサイズでは他にないです。その特性を引き出すために、AFを追従させるソフトウェアは種岡さんの部署で、高速処理を実現する新しいLSIは後述する小笠原さんの部署で作ってもらいました。AF・AEと連動した24コマ/秒の高速連写が実現したのも、チームワークの賜物です。自分で言うのもおこがましいですが、RX100 IVとほぼ同じサイズにこれだけのスペックを搭載できたことは、相当にすごいことだと自負しています。

RX100 Vの高速性能を支える新しいシステム
高画質化にも貢献するフロントエンドLSI

フロントエンドLSI担当 小笠原 貴

――新しいシステムを開発するに至った経緯を教えてください。 小笠原: RX100シリーズにはBIONZ Xというコアシステムがあって、カメラの画像処理などを行っています。今回、新しいイメージセンサーが入り膨大な情報量を扱うことになって、同時に0.05秒の高速AFや24コマ/秒の高速連写の実現も求められるようになりました。膨大な情報量を今までより高速で処理しなければならないという問題をクリアするために、コアシステムであるBIONZ Xをサポートする目的で新しいIC「フロントエンドLSI」を開発しました。 フロントエンドLSIは、AFの高速化だけではなく高画質化にも効果を発揮し、システムとしてアルゴリズムを最適化することで、高感度時における解像感の向上を実現しています。新しいシステムにより画像処理のスピードが高速になったことで、24コマ/秒の高速連写時でも、ノイズを抑えて20Mを超える高解像の撮影ができるようになりました。また、24コマ/秒の高速連写で150枚を一気に撮影しても、即時再生できる。「連写ができてもすぐに再生できなければ意味がない」というニーズにしっかり応えています。

ファン:24コマ/秒の高速連写と即時再生は、プライオリティの最上位でした。そして、高速連写かつノイズを抑える。これは、フロントエンドLSIによる信号の高速処理とソフトの最適化なくしてはできませんでした。RX100 IVとRX100 Vの基板を比較してみてください。IVのサイズと同じなのに、VにはBIONZ Xに加えフロントエンドLSIがしっかり入っています。これは大変な作業でした。IVで使っていた部品をさらに小さくしたり効率化してフロントエンドLSIのスペースを作りました。ちょっと残念だったのが、本体の重さが1g増えて299gになったこと。本当は、重量は変えたくなかったのですが、強度を増すためにやむをえず……。でも、300gは越えていません(笑)。

右がRX100 IVの基板。左がRX100 Vの基板。指で示しているのが、今回追加されたフロントエンドLSI

動画撮影でも求められたAF
バッファの増加は撮影時間の延長を可能にした

動画撮影時にも対応するファストハイブリッドAF

――動画軸での進化したポイントを教えてください。 種岡:動画を撮るユーザーはたくさんいらっしゃいますが、今までの機種は、「AFが遅い」といったご意見をいただくことが多々ありました。RX100 Vは、動画もファストハイブリッドAFで撮れるので、AFの性能は大幅に改善しています。より厳密なピント合わせが要求される4K動画撮影でも、高精度で高追従なフォーカシングが可能になりましたし、動画撮影時のAF駆動速度設定やAF追従感度設定にも対応しているので、撮影シーンや撮影者の表現意図に合わせたフォーカシングを実現します。作品の意図に沿って、びゅっと瞬間的にピントを合せることも、じわっとピントを合わせることも自由に設定できるわけです。

AF駆動の速度設定やAF追従感度設定にも対応しているので、撮影シーンや撮影者の表現意図に合わせたフォーカシングを実現する。

ファン:お客様の要望に応えるかたちで、スローモーションの撮影可能時間も約2倍に増えました。RX100 IVでは画質優先モードで約2秒しか撮影できませんでしたが、RX100 Vでは倍の約4秒になっています。例えばピッチャーが投げてバッターが打つまでの過程を、ちょうど撮れる感じです。

地道なフィールドテストが
高いAF精度を支えた

実際のフィールドテストの様子

――RX100 Vの開発を続けるなかで印象に残っているエピソードを教えてください。 種岡:繰り返しになりますが、受け取る情報が多くなった分、どこにピントを合わせればいいのかというアルゴリズムを組むのがかなり大変でした。開発後半では、試作機でフィールドテストを繰り返し行いました。週末も開発スタッフが試作機を持ち帰って、それぞれフィールドテストを行ってくれました。ファンさんに自転車に乗ってもらって連写のテストしたこともありました。 一同:あった、あった。 ファン:みんな忙しくて、僕がやるしかなかった(笑)。 種岡:それで、こんなケースでピントが甘くなったとか、連写の何コマ目から追えなくなったといったことをフィードバックしてもらって。僕の部署でその都度アルゴリズムを書き加える。それこそ、締め切りの前日まで調整をしていました。でもその甲斐があり、とくにフォーカスのスピードと精度が上がりました。24コマ/秒の高速連写をしてもピントがちゃんときていて、ノイズはなく、解像度も高い。目指しているものが完成しました。 ファン: RX100 Vは動く被写体を高いレベルで捉えられるようになり、どんなシーンにも対応できるオールインワンのカメラになりました。AFの性能が一眼カメラのレベルになっても、サイズは今までどおりのコンパクトサイズ。ポケットに入る一眼カメラっていう感覚です。 関:実際に触ると、スペック情報を目で見る以上の感動があると思います。高速連写は、タタタタタタッタって、ホント、速いです(笑)。この連写音を聞くと「本当に撮影できているの?」と思うはず。連続撮影しているときの表示は、ほとんど動画と同じですよ。

――RX100 Vでどんなシーンを撮影して欲しいですか。 ファン:ダンクシュートなどスポーツの決定的瞬間も逃さないくらいなので、不規則に走り回るペットの写真を撮ってみてほしいですね。もちろん、ブランコに乗った子どもの撮影もばっちりできると思います(笑)。電子シャッターにすればシャッター音を消せるので、例えばお子さまのバレエの発表会など、室内でのイベント撮影も気にせずにできます。 関:僕を含めて、開発スタッフの面々は、子どもを撮影する機会が増えたんじゃないですか。「おまかせオート」でも十分に撮れますが、慣れてくると自分が楽しく撮れる設定を追い求めたり。僕は、Sモードで、500分の1秒より早いシャッタースピードになるように設定して、駆けまわる子どもの動きをぴたりと止める撮影をよくしてます。そんな風に、いろいろ触って自分が楽しく撮れる設定というのを探して使ってほしいですね。 種岡:僕は、フォーカスモードを動いている被写体に合わせ続ける「AF-C」にして、フォーカスエリアを「フレキシブルスポット」に設定しているんですが、これで高速連写すると、たくさんの子どもがごちゃごちゃ遊んでいる公園でも、自分の子どもだけを追えます。24コマ/秒の高速連写で撮影をすると、僕でも今までは撮れなかった子どもの一瞬の表情が撮れるようになりました。もっと連写を日常的に使ってほしいですね。

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