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ナショナルジオグラフィック プロジェクトクルー
打田武史氏・星川洋嗣氏
a project with NATIONAL GEOGRAPHIC 道東編 Vol.3/3

極寒の道東が舞台となったCM撮影。
ネイチャーフォトグラファー柏倉氏を追い続けた
制作クルーに雪の中での撮影秘話などを
伺いました。

α Universe editorial team

ナショナルジオグラフィック
プロジェクトクルーによるCM撮影現場に迫る。

舞台は真夏の西表島から、極寒の道東へ。前回とはまったく違う環境の中、道東でも極限の1枚を探し求めたネイチャーフォトグラファー・柏倉陽介氏。CM撮影に関わったクルーも一面銀世界の極寒の地を進む。その過酷な条件の中でどのように撮影に挑んだのか、まずはメイキング・ムービーをご覧ください。

打田武史/監督 1979年生まれ。株式会社TRUCK Film Design代表。企画・演出・撮影・編集・映像プロデュースまで、幅広く映像制作に携わる。CM、MV、ファッションPV、ドキュメンタリー作品等、様々なジャンルの作品を演出し、監督とカメラマンを兼務することも多い。コンポジット、CGも得意とする。ナショナルジオグラフィックのプロジェクトでは、2012年から毎年、多数の企画・演出を手掛けている。
http;//TRUCK-CO.COM/

星川洋嗣/フォトグラファー 1981年生まれ。2001年「株式会社ポインター」に入社。撮影およびビジュアルコンテンツの企画制作を行う。2014年に独立し、フリーランス期間を経て、2015年「Monster Smith」を設立。ナショナルジオグラフィックのプロジェクト2014年:α7s「想像を超えた表現」篇にてカメラマンを務めた。CMやMVなど動画撮影、広告写真やCDジャケットなどのスチール撮影など幅広い分野で活躍している。

真っ白な世界で描き出す、印象的な光と影。

――今回は、どのような画を撮りたいと思い、撮影に臨まれたのでしょうか。

打田:雪の世界って真っ白っていうイメージがありますよね。でも、白一色の中にも心を揺さぶる光景が必ずあると思っていて。どんな表現ができるだろう、と考えた時、光と影、つまり、コントラストが印象的に写るような世界を撮れるのではないかと思ったんです。そんな、極寒の道東でしか見ることができない光と影があると信じて、撮影に臨みました。
ほぼ全編を通して、そんなシーンがたくさん撮れました。とくに大雪山がすごかったですね。山を引きで撮ったシーンでは、太陽の光で凹凸のある地面に美しい影ができて。大自然が描き出すコントラストを印象的に表現できたと思っています。

大雪山を登る柏倉氏を引きの画で捉えた。(CM 00:20) CMはこちら

星川:雪の中のコントラストは白と黒の世界になるので、白飛びや黒つぶれに関しては気にしながら撮影しました。今回も、前回の西表島同様にカメラはα7S IIを使用したので、白飛び、黒つぶれさせずに白黒の陰影の世界を描き切るという面では信頼感があったんです。1日目に雪山で撮って、チェックして「これならイケる」と確信が持てました。

厳しい寒さの中で出会った「極限」の瞬間。

――撮影の中で、柏倉さんのテーマ同様「極限」を感じたシーンはありましたか?
打田:大雪山での吹雪のシーンですね。冒頭で、柏倉さんの顔に雪が吹きつけるシーンがあるんですけど、マイナス20℃の世界ですからヒゲも凍ってしまって。CMは60秒の世界なので、厳選した中では柏倉さんの横顔の表情も印象的に捉えられたと思っています。あの表情、すごく好きなんですよね。表情が「極限」を物語っている感じがして。

凍ったヒゲや鼻先の水滴が極限を物語っている。(CM 00:13)

星川:僕は、本編にも流れている「キタキツネ」の写真でしょうか。あれはこういう場所に行かないと撮れない作品ですよね。野生動物って、本当に近づくことができないんですよ。警戒心が強いから人数を最小限にして、だいぶ離れたところから時間をかけて近づいて行って。ようやく近づいて撮ることができた、夕日に照らされたキタキツネの写真は奇跡的な1枚だと思います。

柏倉氏とキタキツネが対峙するシーン。(CM 00:45)

雪の世界で陰影を表現するためにS-Log3を選んだ。

――今回もα7S IIで撮影されたそうですが、選んだ理由を教えてください。

星川:サイズの小ささは本当に武器ですね。雪で足元が不安定な中で、取り回しのいいサイズ感はとても魅力です。今回の撮影ではガンマカーブがS-Log3に対応している点も決め手になりました。S-Log3で幅広い輝度をカバーできるので、露出を都度考えなくても撮影に集中できたのはありがたかった。こういう現場ではあまり余裕がないので、機能面で助けてもらえた部分はありますね。
打田:白が飛んでしまうような一面雪の世界で影を表現するためには、陰影の階調をつぶさずしっかりと表現しなければなりません。だからS-Log3を選択することにしました。S-Log3はS-Log2よりも明暗部領域での表現力がさらに高く、後からグレーディングすることでかなりのところまで表現できてしまいますから。星川さんが適正な露出で撮ってくれていたので、今回はかなりこだわって、グレーディングを追い込むことができました。

手ブレ補正機能は止めることがすべてではない。

――足元が不安定だったということですが、撮影も苦労したのではありませんか?
星川:基本、手持ち撮影の時は5軸ボディ内手ブレ補正を付けっぱなしにしていたので、そのあたりもα7S IIの機能に助けてもらった感じですね。
打田:雪が吹き付けている柏倉さんの横顔も、αを構えてキタキツネを撮っているところも手持ちですね。

α6500を構えるラストシーンも手持ちで撮影。(CM 00:50)

星川:手ブレ補正の使い方って、ブレを軽減させることがすべてではないんです。僕の場合、「スライダーがなくてもスムーズに動かせる」という部分ですごく重宝していて、今回もいろいろな場面でそういう使い方をしました。5軸ボディ内手ブレ補正がなかったらスムーズに動かせずにガタついてしまう。だから、ガタつきを抑えるために活用している。動きが自然に見える使い方ができる、というのが僕にとっては一番大きいですね。

星川:映像を観ていただけるとわかると思いますが、実は、アップの時とかも意識して止まりすぎないようにしているんです。止まってしまうと臨場感が出ませんから。極論を言えば、手ブレが気になるなら三脚や一脚を立ててしまえばいいんです。でも、それでは「表現」とはいえないと思っているので。
打田:このシリーズでは、フォトグラファーが撮影している時にカメラ、つまり商品がわかるように撮ることも重要です。今までは三脚を使って撮っていましたが、α7S IIで5軸ボディ内手ブレ補正が搭載されてからは敢えて手持ちで撮影することも多くなりました。商品だけにしっかり撮らないといけないし、ロゴ周りってすごくシビアなんですが、毎回三脚で撮影できるわけではない。時間も限られていて、雪の上で三脚を立てられない状況の中、手持ちでマストカットが撮れるんですよ!柏倉さんも僕たちを過度に意識しなくていい。これってCMの現場で考えると、すごいことなんです。そういう意味でもα7S IIは革命的なカメラですね。

手持ち撮影でも「G」のロゴをしっかり捉えている。(CM 00:29)

狙いたい部分を明確に切り取る70-200mmの
Gマスターレンズ。

――CM撮影で使用したレンズを教えていただけますか?

星川:24-70mm(SEL2470GM)、70-200mm(SEL70200GM)、85mm(SEL85F14GM)とFE 70-300mm F4.5-5.6 G OSS(SEL70300G)。メインはGマスターレンズです。ボディは3台使っていて、1台は常に「RONIN-M」にセットアップしたまま。残り2台に
70-200mmと24-70mmを着けっぱなしにしていました。
Gマスターの24-70mmはきれいな画が撮れるな、と前回から感じていました。センサーサイズが大きい部分を使っているので、やっぱり相性がいいんでしょうね。70-200mmは個人的に好きなレンズなので、動物だけでなくいろいろなシーンで使っています。画を整理しやすいですし、自分の狙いたい部分を明確に切り取って印象的に見せられるところが気に入っています。
打田:キタキツネのところはワンチャンスだったので、3台で同時に狙いました。さすがにこの時は緊張しましたね。3台体制もα7S IIの小ささだからできたこと。重装備になってしまうとそれだけで機材が大変なことになってしまいますから。
星川:3台とも全部レンズが違うんですよ。画角とか、寄り感とか、どれが一番感情に刺さるかわからないじゃないですか。それが一気に撮れちゃうのは大きい。そこが臨場感に繋った要因かもしれませんね。

楽しくて仕方がなかったグレーディング作業。

――力を入れたというグレーディングの話もお聞かせいただけますか?

打田:正直、こんなにS-Log3のグレーディングがおもしろいのかと思いました。ハイライトの微妙な部分もグレーディングでグイグイ出てきたので、どんどん出してやろうと。14ストップの再現域の広さを実感しました。これは18%グレーの適正露出からハイライト側に+6段、シャドー側に-8段までカバーしているということだそうですが、凄いことですよね。シネマカメラであればRAWデータで撮れるカメラとしてREDとか、ALEXA等がありますが、どれもすごく階調が豊かで素晴らしいんですが、αの14ストップも負けてないと僕は思っていて。今回は、グレーディングの作業がすごく楽しかった!
星川:雪の照り返しに対してもかなり強いな、という印象ですね。あそこまで表現しようとすると、最初にPLフィルターを着けることが前提になると思うんですけど。それがなくてもあそこまで出せるのはすごい。
打田:今回は、ソニー純正のS-Log3のLUTをあえて使わずにやってみました。どれが一番おもしろい画になるか、いろいろマニュアルで試してみたんです。裸のS-Log3のデータから細かくこだわってグレーディングしてみたら、すごいことになって。なかでも大雪山のシーンが一番楽しかったですね。
星川:グレーディングした映像を観て、自分がイメージしたもの、表現したいものにすごく近くなっていて驚きました。空にしても、雪のトーンにしても、僕が感じていたものが表現できているなと。さらに、寒さや厳しさまで伝わるような雰囲気に仕上がったと思います。

――なかでも、とくにこだわった点があったら教えてください。
打田:今回、こだわったのは時間の流れです。観ている映像って、それぞれにイメージがあると思うんですよ。「朝」はこうあるべきだとか、「昼間」がこうあるべきだ、みたいなものが絶対にある。それって、実は肉眼で見ているのとは違うものなんですよね。自分のイメージがあって、グレーディングでそこに近づける。けっして肉眼の世界を再現するわけではないんです。
S-Log3では、自分が思い描いたイメージをしっかり表現できるんです。早朝、テントのシーンから始まって、だんだん時間が経過して、日中の大雪山に行き、日が沈みかける頃にクマに出会って。最後にサンセットでキタキツネに出会う。その時間の流れを自分の持っているイメージに的確に寄せつつ、ドキュメンタリーとしてしっかり表現できたと思っています。

さらなる完成度を求めて
〜監督がエディターに求めるもの〜

――最終的な編集作業までの流れと、エディターの主な作業を教えていただけますか?
打田:まずは、オフライン作業時にLUTを当てたり、グレーティングしたりして作り込んだ映像をオフライン試写に持っていきます。その後、本編集の時に打ち合わせして、ダヴィンチ(ブラックマジックデザイン社のDaVinci Resolve)を使って裸の白素材から色味を作り直してもらい、最後の編集作業に入る、というのがおおよその流れです。
田中:僕は、グレーディングされたものを受け取って、監督と一緒に最終の調整をするのが主な仕事になります。僕はロケには同行していませんが、映像を観ると、まるで現場に行ったかのような臨場感がありますね。たぶん、雪山の質感とかに微妙なニュアンスが残っていて、雪山の凹凸や、雪が崩れていく様子を認識できたから、臨場感がある映像に繋がっているんだと思います。

さらに、S-Logや機動力もα7S IIというカメラの魅力じゃないかと。しかも今回は3台体制ですよね。もっと高価な大きいカメラだとそこまでの機動力がないから、今回のような作品を撮るのは困難だったと思います。
打田:確かにそうですね。大きいカメラでは絶対撮れないですね。威圧感があるから動物にも近づけないし、ロケの日数も1日のカット数も減るだろうし。
――今回のCMでは、具体的にどのシーンで編集作業が活きていますか?
田中:不要な部分の消し込みや、商品のよりキレイな見え方、というところでしょうか。その部分に関しては、監督からのリクエストが多かったように思います。
打田:ありましたね。例えば流氷のところ。バックショットの柏倉さんが映った後に、α7R IIを構えているシーンがあるじゃないですか。あれは14ストップで撮っているので、明るくもできるし締めることもできるんです。そこはイメージの世界になってくるので、光の使い方にこだわりました。メインの商品であるカメラを浮き立たせるための適正な明るさ、露出ってどんな感じかな、と。あのシーンはマスターモニターを見ながら田中さんと念入りに相談したところです。
このCMは、大前提としてカメラの魅力を伝えるための映像でもあります。だから、そこはブレたらいけない。ブレないためには、どういう風に露出をもっていくのか、編集の段階でもすごく意識しました。
田中:流氷のシーンもそうですが、グレーディングの時に監督に「ここのカットはこうしたい」というリクエストを細かく聞いて、それに近づけていくのがエディターの仕事です。より理想の映像に仕上げるための職人という感じですね。

VFXコンポジター/株式会社レイ
田中 朝幸

1978年生まれ。2003年「株式会社レイ」入社。オンラインエディターとして、TV-CM、MV、映画等の合成、最終仕上げを担当。2015年にはカナダのVFXスタジオ「Hydraulx」でハリウッド映画のプロジェクトに参加、2016年に「株式会社レイ」に復帰。

凍った湖の上で、雪の中に埋もれて。
〜道東での撮影秘話〜

――最後に、今回の撮影で思い出に残っているエピソードを聞かせていただけますか?
星川:雪の中での撮影は本当に大変でした。自分が埋まっちゃうことも多くて。埋まったままカメラを回して、動けなくなったこともありました。でも、少ない人数のクルーだったので周りには誰もいなくて、1人で這い上がらなきゃならない。これは辛かったし、淋しかった(笑)。

打田:CMでは使われていませんが、大鷲も撮影したんですよ。その時、凍った湖の上を歩いたんですけど、あれは貴重な経験でした。柏倉さんは大鷲を追ってどんどん進んで行っちゃうし、氷が割れないかとヒヤヒヤしましたね。僕らが凍った湖を歩いている途中に、スノーモービルが氷の上を走っていったので、それを見て安心しましたけど。
星川:僕なんか、あまりの寒さに指がなくなるかと思うくらいだったのに、柏倉さんは全然平気そうで。僕らは泥棒みたいな完全防備のスタイルなのに、柏倉さん、襟元が開いてるし(笑)。
打田:強いですよね。本当に無敵。また、こんな機会があったら、どんなに過酷な環境でも柏倉さんを追い続けたいと思います。

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