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ハイブリッド人形アニメーションで
発揮されるα7S IIの真価
『とう と きょう』 PIECE OF TOKYO Vol.3/3

α Universe editorial team

TVCM・WEBなど、あらゆる広告コンテンツの戦略・企画制作を手掛ける「TYO」。社名は、航空会社の業界団体が「東京」を表すために用いる都市コード「TYO」に由来している。 その、「東京」を看板に掲げた会社が手掛けているのが自主制作コンテンツ「PIECE OF TOKYO」だ。東京の魅力を国内外に発信していくというこのプロジェクトも、この冬に第3弾『とう と きょう』が完成。 この作品は、日本屈指のアニメーション作家である合田経郎氏が監督を務めていて、舞台は下町・谷根千(谷中、根津、千駄木の略)。その撮影でα7S IIが使われている。下町という独特な空間でα7S IIの実力が活かされたシーンとは。そしてこの作品を手掛けた意図とは。制作を担当したクリエイティブ・ディレクター松氏と監督の合田氏、カメラマンの尾道氏に、作品とカメラの魅力について語ってもらった。まずは作品をご覧いただきたい。

クリエイティブ・ディレクター
松 宏彰氏
1969年神戸市生まれ。TVCMをはじめとする広告映像の企画・演出からWEB、アニメなどを幅広く手がける。WEB広告「WWF I」で2002年カンヌ国際広告祭サイバー部門金賞を受賞。世界各国で上映された押井守監修作品 「東京スキャナー」では監督を、天野喜孝氏の画集をアニメ化した「やさいのようせい N.Y.SALAD」では脚本・総合演出を務め、国内外で数多くの賞を獲得。最新作「ナマハゲ、東京に現る。」がWebにて公開中。

ディレクター&キャラクターデザイン
株式会社TYO ドワーフ事業部
合田経郎氏
1967年東京都生まれ。日本映画学校卒業後、1990年まで株式会社電通プロックス(電通テック)に在籍。以後、6年間のフリーランスを経て、1996年に株式会社ティー・ワイ・オーへ入社、企画演出部に所属する。2003年株式会社ドワーフを立ち上げ、アニメーション作家へと転身。「どーもくん」や「こまねこ」などコマ撮り作品を制作する傍ら、イラストレーション、絵本の執筆など創作活動は多岐に渡る。

カメラマン
尾道幸治氏
1971年京都府生まれ、滋賀育ち。京都造形芸術大学大学院を卒業。在学中、伊藤高志監督、松本俊夫監督に師事し実験映像、アニメーション、劇映画を制作する。卒業後オンラインエディターを経験。TYOテクニカルランチ CRANKに所属し、2012年に岩井俊二監督の劇場映画「Vampire」の撮影を担当。最近はムービーに加えてスチール作品も多く手がけ、写真集「鎌倉少女」を発刊予定。

昔から変わらない路地裏を舞台に
キャラクターが駆けまわる。

――「PIECE OF TOKYO」の第3弾はコマ撮りアニメーションですが、なぜこのような手法で作品を作ったのですか?

松:「PIECE OF TOKYO」は、東京の魅力をクリエイティブな視点や感性で切り取り、映像で表現するというコンセプトで進めているプロジェクトです。第1弾の『東巨女子』では街のランドスケープ、広い視野で見た「東京」がテーマでした。第2弾の『東京音℃』は人のエモーションを、街の音やビートで「温度」として表現した世界。3つ目の「東京」を描くとしたら、もっとミクロな世界を表現できる「路地裏」が舞台に挙がった。合田監督のアイディアでもあるんですが、路地裏にクローズアップすることで、新しい「東京」の見方ができるんじゃないかなと思ったんです。 さらに、ぜひ合田さんに作って欲しかったというのもあり、コマ撮りアニメーションにしたというのも理由のひとつ。「東京」という街と、合田監督のキャラクターの世界観がマッチングするとどう見えるのか、すごく興味があったんです。

――第3弾の作品『とう と きょう』では東京の路地裏が舞台になっていますが、その理由は? 合田:今までの2作品は、どちらかというとクールやポップという言葉が似合う横文字の「TOKYO」をイメージさせますよね。だから、3作目は江戸の頃から繋がっているような、変わらない部分の「東京」を舞台にしたいと思いました。それを象徴するのが路地裏だったんです。住宅がひしめきあっている狭い空間でも、おもしろい東京の魅力を表現できるんじゃないかと。昔から変わらないものと、どんどん変わっていくもののコントラストを見せてもおもしろそうだし。 今回は自主制作ということもあって、初心に戻って「映像で遊びたい」っていう気持ちがあったんです。キャラクターとカメラを持って、楽しく、まじめに、遊べるようなものを撮りたいと思ったのも、路地裏を選んだ理由のひとつですね。

ロケハンやテスト撮影でも軽快に動ける α7S IIは本番前から大活躍でした。

――今回は撮影だけでなく合成や編集にも時間がかかると思いますが、完成までの工程を簡単に教えていただけますか? 合田:まずはキャラクターの構想。生まれたのは一昨年くらいだったと思います。最初はお稲荷さんの狐をモチーフにしたキャラクターだったんですけど、「東京」という漢字でいろいろ遊んでいたら、「これ、顔になるんじゃないかな」と思って、今の形が完成しました。狐から鬼に変わっていったという感じですね。

「とう」と「きょう」の人形をチェックする合田監督。コマ撮り用、ロケ撮影用の2種類を作った。

松:本番の撮影の前に、ロケハンやテスト撮影も行いました。キャラクターの仕掛けを動かす人の位置なども考えて、撮りたい画が撮れるのか、いろいろテストが必要だったんです。
α7S IIは小さくて軽い、そして機動性もあるので、狭い空間が多い路地裏でのロケハンやテスト撮影でも気軽に持っていけるのが魅力です。しかも本番でも同じカメラを使うので、微妙な違いなどもなく予定通りに撮影することができました。テスト撮影はデジタル一眼カメラで、本番は大きいカメラで、とやっていたら時間もかかって、こうはならなかったと思います。 合田:そういう事前のリサーチをしっかりしたので、ロケが3日間、コマ撮りの撮影が2週間で済みました。それでも、仮編集で合成するところまで含めると3カ月くらいはかかりましたね。さらにグレーディングや仕上げに1カ月半くらいはかかりました。 松:ロケ撮影の様子を収めた写真があるのでご覧ください。

こんなに薄暗い路地裏でもノーライティングで撮影できました。
外部モニターを付けてもコンパクト。路地裏は狭いので助かりました。
人形の動きに合わせて撮影する尾道カメラマン。
免振台車を使うことで、狭い道やでこぼこ道でもレールを敷かずに効率よく撮影できました。

静止画も動画も同じカメラとレンズ。
だから、合成もスムーズにできた。

――コマ撮りアニメーションはどのように撮影されるのですか?

尾道:今回は動画でロケを、静止画でコマ撮りを撮影しました。どちらもα7S IIで、レンズは「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」の1本で通しています。カメラとレンズを変えずに、1台で静止画のコマ撮りと動画のロケ撮影ができるのはとても便利。プロ用のムービーカメラでコマ撮りができるものは意外と少ないです。以前、コマ撮りアニメーションを撮ったときは、動画で撮影した素材から1フレームを取り出すという作業が必要でした。しかも、動画なのでスチールのようにシャッタースピードを遅くすることもできず、1/30秒以上でしか撮影できないので、結果、明るさを確保するためにライトも大きくなってしまいます。そうなるとスタジオでの撮影時はライトの数も増えて大がかりなライティングになってしまいます。でもα7S IIは動画も静止画も撮れるハイブリッドカメラなのでどちらの撮影でも使え、また高感度性能を活かして低照度の撮影環境下ではカメラ側で補うことができました。 また、合成もので4K映像じゃないのは至難の技。このキャラクターで心配だったのが、キャラクター「とう」と「きょう」の服のフカフカの部分。ここがちゃんとマスク抜きできるのか、という点はすごく心配だったんですけど、実際はちゃんと抜けたので、4K映像が撮れるαは大きい存在です。 あとは、今回のコマ撮りパートは静止画と動画が組み合わさっていくので、静止画も4Kの動画に合わせた画質で撮影しました。 静止画であればより高画質で撮れるのですが、ベースが違うと粒子感が変わってしまうので、静止画、動画共に画質を合わせるようにしました。

取材当日はグレーディング作業が行われていた。この後、マスク抜き作業に移る。

――今回、パワーズームレンズをお使いになったそうですね?

尾道:はい。このレンズ、すごく好きなんです。実は候補の中には他のレンズもあったんですが、それらは一切使わず、この「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」1本だけで撮りました。デジタル一眼カメラで動画が撮れるモデルはたくさんあるんですけど、装着できるレンズは基本スチール用です。この「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」は、ボケ味もよくシャープネスも映画のような雰囲気で撮れ、レンズの重量もさほど重くなく、そこが選びのポイントになりました。あとは28-135mmという焦点距離。他はワイド側が足りなかったりズームが足りなかったりするのですが、28-135mmっていうのは絶妙で。この1本ですべてカバーできると確信したので、この1本で通すことに決めました。しかも、静止画・動画それぞれに必要な性能をもったパワーズームレンズでこの小ささ。狭いところを行き来するロケでも、この小ささに何度も助けられました。

キャラクターの動きや合成でも苦労が。 最高の仕上がりを目指して試行錯誤の連続。

――なかでもとくに思い入れのあるシーンや、印象に残っているシーンはありますか? 松:ひとつは、「とう」と「きょう」が追いかけっこをしているところ。カメラがずっと走り回っているのは、合田さんの作品ではあまりない画だなと思って、そこに新しさを感じました。もうひとつは「とう」が念を送るときに見せる、気合いが入った目つきですね(笑)。 合田:僕も追いかけっこは楽しかったですね。急カーブを曲がって走っていくシーンがあるんですけど、ただ走るんじゃなくて、ドリフトしてほしいと人形を操作する若手にお願いしたんです。操作する機械の下に鉄板を敷いて滑りやすくしたり、試行錯誤を繰り返して見事なドリフトを見せてくれました。 尾道:僕は何気ないシーンなんですけど、俯瞰のシーンに思い入れがあります。本当に脚立が立てられるか、立てられないかぐらいの狭い路地がクランクになっているところでしたが、監督が「ここは俯瞰で」と。普通だったらイントレ(鉄製パイプを使った足場)や脚立を立てるので、大きいカメラだと持ち上げるのも大変なんです。でも、α7S IIはひょいっと上げて撮れたので、このカメラでしか撮れない画が撮れたなという実感があります。路地裏で大きいカメラで撮るとなると人数も時間も必要なんですが、パパッと撮って移動できました。α7S IIは効率よく撮影することにも貢献してくれたと思います。

脚立を使った撮影シーン。最小限のスペースで撮影できたのは、小さくて軽いα7S IIだからこそ。

プロとアマチュアの差がなくなってきた今、 互いに刺激し合い高めていくことも大切。

――デジタル一眼カメラの動画性能が上がってきている今の時代において、プロの映像制作はどのように変わっていくと思われますか? 尾道:プロとアマチュアは機材の差というのもあったんですが、それがもうムービーの業界ではなくなってきています。昔は特別なものだったカメラが、今はスマートフォンでも撮れて日常的に使えるものになっている。さらにインスタグラムなどの発表する場もある。多分、アマチュアでも奇跡的な画っていうのは撮れると思うんですよ。でもそれは、何枚か撮った中の1枚。プロは、アマチュアが何枚撮って1枚しかなかった画を高確率に撮影することができるのだと思います。 さらに再現性ですね。監督からこういう画を撮ってくださいって言われたら、アマチュアは多分迷ってしまうと思います。プロならば、「こうしたら撮れるんじゃないですか」という提案ができる。そこが一番の違いだと思います。

合田:プロとアマチュアの差がなくなっていくのは「ヤバイ」と思いつつも、僕はどこかワクワクしてるところもあるんです。悲しい感じもしますが、たくさんの人が刺激し合って、映像なり、好きなものを見せあって互いに高め合っていくのも楽しいことだと思っています。

――最後に、第3弾『とう と きょう』の撮影を終えて、伝えたいことがありましたらひと言お願いします。 松:今回、東京の下町として有名な谷根千でロケをしたんですけど、みなさん、ものすごく親切にしてくれました。普通、街で撮影していると「ジャマだからどいてよ」、「こっち映さないでよ」って言われることもあるんです。もちろん、僕らも気を付けながら撮っているのですが、街ぐるみで応援、協力してくれている感じがして。もちろん、キャラクターが可愛いっていうのもあるんですけど、みんなニコニコしながら寄ってきてくれるんです。そんな親しみのある街の雰囲気も、映像から感じてもらえるとうれしいです。 合田:「とう」と「きょう」は、昔から長い間、下町を遊び場にしているという設定です。遊び場としては変わらないけれど、街は少しずつ変わっていきます。路地裏をけもの道のように家と家の間を走り抜けたりして絶えず遊びながらも、人からは見えないんですが、ちょっと人にも影響を与えながら、ずっと長い間生きてきた「とう」と「きょう」。最後に2人でスカイツリーのある街並みを見ているシーンがあるんですけれども、それをキレイだなと思っているのか、ちょっと奇妙だな、と思っているのか。それがどっちなんだろうというのを、映像を観る人も一緒に考えながら観てほしいと思います。

「観てね!」と念を送る、「とう」と「きょう」。

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