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ネイチャー&ワイルドライフ
フォトグラファー 野村哲也氏

究極の絶景 〜地球の息吹を求めて〜(ハワイ島編)

α Universe editorial team

全世界の踏破を目標に、滞在する国々で出会う自然や動物、人を撮り続ける野村哲也氏。今回は、同氏がハワイ島において出会った溶岩流を中心に、その撮影シーンを記録した動画と、背景エピソードをご紹介いただく。

野村哲也/ネイチャー&ワイルドライフフォトグラファー 1974年、岐阜県生まれ。“地球の息吹”をテーマに、北極、南米、南極などに被写体を追い求める。2007年末から南米チリのパタゴニア、2010年から富士山&熱海、2012年から南アフリカ&イースター島と2年ごとに住処を変える移住生活を開始。現在までの渡航先は120カ国以上に及び、世界193カ国踏破を目指す。秘境ガイドやTV出演、マスコミのアテンドなどに携わり、国内では写真を織り交ぜた講演活動を精力的に続けている。著書は多数で、13作目となる最新刊は「ナミブ砂海 世界でいちばん美しい砂漠(福音館書店)」
http://www.glacierblue.org/

ハワイ島の南東部に位置する火山国立公園、その中心にプオオ火山が聳えている。

2017年1月、プオオは突然火山活動を活発化させ、大量の溶岩を流し始めた。それらは森を焼き、急斜面を下り、地下の溶岩トンネル(ラバ・チューブ)をくぐり抜けていく。そして海へ出る瞬間、トンネルから勢いよく噴き出して落下する。英語だと「ラバ・ホース(溶岩の管)」と呼ばれ、現地の火山学者をして「ハワイ島の歴史上、こんな溶鉱炉のように溶岩が見えたことは一度もない」と言わしめる現象である。

これまで私は、テーマを「地球の息吹」に絞り、世界120カ国以上のネイチャー&ワイルドライフを今まで撮り続けてきたが、火山には全くと言っていいほど縁がなかった。どれだけ活発化した火山でも、自分が訪れる頃には何故か終息してしまうのだ。南米パタゴニアに2年間移住していた時の裏山「カルブコ火山」も、帰国後すぐに大噴火を起こした。
「火山を撮りたい。それも流れる溶岩を間近で見てみたい」
長年思い続けてきた夢を、今回ようやく叶えるチャンスがやってきた。

成田からホノルルに飛び、国内線でハワイ島のコナへ。そこから車を飛ばして2時間半で火山国立公園の入口へ到着した。向かうのはプオオ火山の麓斜面。足元に広がる漆黒の溶岩台地は隆起、浸食、褶曲を繰り返し、冷え固まったもの。それらはまるで自然が作り上げた巨大なリボンのよう。真昼の太陽光に照らされると、多様な鉱物を含んだ表面が七色に光り輝いた。

歩き始めて2時間半、台地から昇る白煙に近づいて行くと、辺りは陽炎の世界となり、そこ、ここから蒸気が上がる。おそるおそる隙間を覗いてみると、線香花火色の溶岩が流れていくのが見えた。有毒ガスも含まれているのだろう。咳き込んだり、突然目の奥が痛くなったり、大量の涙が溢れ出ることも。
夕方から夜にかけては、溶岩が最も美しくなる時間帯。三脚にα7R IIを固定してタイムラプス撮影を始めるが、あまりの熱さに三脚の先が溶けてしまった。一緒に行ったムービーカメラマンは、ハイキングシューズではなく、用意周到に安全靴を履いてきたのが裏目に。つま先に入った鉄板が靴全体を熱し、接着剤が溶けて靴底がベロベロにめくれてしまった。 背負ってきた大量の撮影機材は、台地が釜のように熱せられているため、何処に置くこともできない。肩がきしむ中、日が沈むと、徐々に溶岩が妖しく発光する。そんな中、とても助かったのが、辺りが真っ暗闇になるまで、手持ちで撮影を続けられたこと。それはαの圧倒的な高感度性能と、光学式5軸ボディ内手ブレ補正のお陰だった。

翌朝は、船に乗って海側から溶岩に迫る。
まるで大昔、ポリネシアの人たちが渡ってきた時代にタイムスリップしたかのようだ。夜空には天の川、北斗七星、南十字星とオールスターのそろい踏み。波をかき分けて進んで行くと、漆黒の闇の中、オレンジ色の閃光が見えた。

溶岩の滝だ。海へ落ちた瞬間、水蒸気爆発のように全てが砕け散り、弾ける。 どんどん近づくと、やがて焦げたような臭いが。そして突然ファインダーで覗いていた像が見えなくなった。ヘッドランプでカメラを照らすと、レンズが一気に押し寄せた蒸気によって曇ってしまうほどであった。
溶岩の滝は留まることなく落ち、海面を焦がし続けた。現地で溶岩は火の神様「ペレ」の髪の毛と形容され、時に溶岩の中にペレ自身が姿を現すこともあると信じられている。露出を補正すると、「ラバ・ホース(溶岩の管)」の血管模様がクッキリと映り込んだ。

船上からその圧倒的な光景を見つめていると、鮮烈なイメージが湧いてきた。
「火山という子宮から生まれた溶岩、それらが斜面を縦横無尽に流れ、やがて溶岩トンネルを通り、海へホース状になって落下していく。溶岩の通り道は火山が子供を産むための「産道」となり、海と交わることで蒸気と共に、新たな命が産み出されていく。島とは、子孫たちが母なる火山を守っている姿。そして島や大陸は、母なる海という羊水の中に浮かぶ子供たちであり、そこに生きる我々もまた、地球の子供として今を生かして貰っているのだ」
無意識にシャッターがきれた。
液晶画面に、火の神様「ペレ」が浮かび上がったような気がした。

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