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写真家 ハービー・山口 氏 Sony World Photography Awards2017年度日本部門賞 講評

ハービー・山口氏

ソニーワールドフォトグラフィーアワード(SWPA)はその名称が示す通り、全世界から応募される写真作品から優秀なものが選ばれる、とてもスケールの大きい国際的な写真コンクールです。2017年の応募点数は22万点に及びます。 こうした全世界から応募された作品は、主催者のWPOの本部が置かれているロンドンで審査されます。 この日本部門賞とは、日本から一般公募部門に応募された作品がロンドンで審査された後、審査員が優秀と認めた100枚を日本に戻してもらい、その中で特に優秀なものを改めて表彰するというものです。

ハービー・山口/写真家 1950年、東京都出身。 パンクロックやニューウエーブのムーブメントに遭遇し、デビュー前のボーイ・ジョージとルームシェアをするなど、ロンドンの最もエキサイティングだった時代を体験する。そうした中で撮影された、生きたロンドンの写真が高く評価された。帰国後も福山雅治など、国内アーティストとのコラボレーションをしながら、常に市井の人々にカメラを向け続けている。
大阪芸術大学、九州産業大学客員教授
 審査員:CAPA、デジタルカメラマガジン、アサヒカメラ
 受賞歴:2011年度日本写真協会賞作家賞

本年度その100点の中から上位3点を選びました。

© Homare Hamada, courtesy of Sony World
Photography Awards 2017
日本部門賞1位 浜田誉 「こうのとりの軌跡」 α77 II,Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA,22mm,F4,366秒,ISO100
受賞者コメント:これは種子島から打ち上げられたロケットの軌跡を撮影したものです。実は当日まで打ち上げの事をすっかり忘れており友達に撮影に行こうと誘われて撮りに行った物でした。一回も撮影した事がない場所でその場でセッティングしての一発撮りでしたが、シャッターを切り終わった後に表示された写真を見て友達と二人で凄く興奮したのを覚えています。このような賞を受賞でき、あの日誘ってくれた大切な友達には感謝しております。

1位の『こうのとりの軌跡』と題された浜田 誉さんの作品です。
ロケットが打ち上げられた精悍な光景が素晴らしい構図で撮られています。種子島からは離れた鹿児島県の本土から撮影されています。よくロケハンされているので、仮にロケットが写っていなくても風景写真として成立するクオリティーを持っています。その優れた風景写真の中に、人類の未来を示唆するロケットの光跡が見事な弧を描いています。光跡の先端が下降している様に見えますが、地球の自転などの関係でこの様に見えるわけですね。人類の希望とも言える力強いロケットの打ち上げがとても美しく印象的に捉えられています。

© Natsumi Handa, courtesy of Sony World Photography Awards 2017
2位 半田菜摘 「Freezing」 24mm F13,1/60秒,ISO640
受賞者コメント:十勝川の氷の一部は太平洋に流れ出た後、しけで砂浜に打ち上げられます。透明度の高い大きな氷を見つけたので、旦那に氷の後ろに回ってもらい、まるで凍った人間が漂着したかのような作品に仕上げました。氷越しの旦那の顔は歪み変形していました。終始笑いの絶えない撮影でした。

2位の『Freezing』です。
これも普段見慣れない不思議な光景です。まるで氷の中に人物が閉じ込められている様に見えますが、実はこの氷の後ろに人物がポーズをとっているのです。こうした透明度の高い氷の塊が現れるこの現象は、この地方では有名だそうです。作者はこの自然現象を風景として撮影しに現地に向かったそうですが、撮影条件が揃わず、急遽ご主人をモデルとして、氷の中に閉じ込められた様に見せるアイデアを思いつきました。撮影は細心の注意を払い、ご主人の体が氷からはみ出さない様に徹底したとのことです。そうした強いこだわりが強い作品を生む下地となりました。美しさとユーモアが合体した作品です。

© Akito Tatsumi, courtesy of Sony World Photography Awards 2017
3位 辰巳彰人 「Under the Elevated」 18mm,F8,1/180秒,ISO100
受賞者コメント:頭上には車の通過音が響く高速道路、隣には墓地が広がる高架下で、トランポリンの練習をする児童たち。奇妙な光景の中で華麗に跳ぶ児童たちの姿に魅了されました。ここからオリンピック選手も輩出したほどの名教室でしたが、残念ながら立ち退きを余儀なくされ、現在はもうこの光景を見ることはできません。こういう場所があったということを写真で知ってもらえて良かったと思います。

3位の『Under the Elevated』です。
一見人が垂直に空中に飛んでいる不思議な光景です。これは大阪にある高速道路の下のスペースに設置されたトランポリンの施設が撮影位置から見ると、このように不思議に見えるのです。作者はこの場所を発見した時心ときめかせ、狙いを定めて撮影したそうです。ここから優秀なトランポリンの選手が輩出されたと聞きますし、現在はこの施設はもうこの場所にはないそうです。写真の記録としての意味、そしてこの時にしか撮れないものを大切に撮っておく行動力の必要性を思い知ります。

さてSWPAですが、国際的というスケール感があると縁遠く思いがちですが、入賞した結果は全世界に拡散されるので、その反響は想像をはるかに超える大きさがあります。

©Kei Nomiyama, Open Photographer of the Year, 2016 Sony World Photography Awards

昨年(SWPA2016)ではホタルをテーマにした日本からの作品が、全世界から応募された一般公募部門のNO.1である同部門「最優秀賞」に選ばれました。この作品はホタルの生態としても世界に例を見ない珍しい種が写っていて、学術的にも貴重で世界中からおびただしい数の問い合わせが作者の元に寄せられたそうです。日本人の感性や視点を世界に問いただす絶好の機会です。是非もっと身近なものとして、さらに多くの応募を期待しています。
(文:ハービー・山口) 日本部門賞を含めて世界の受賞作品をご覧頂ける、作品展を開催いたします。この10年の軌跡をたどったスライドショーも上映いたしますので、ご来場を心よりお待ちしております。

■第10回 ソニーワールドフォトグラフィーアワード 2017年度受賞作品展
ソニーストア名古屋 α Plaza : 10/21(土)~11/3(金)
ソニーストア札幌 α Plaza : 11/10(金)~11/23(木)
ソニーストア大阪 α Plaza : 12/2(土)~12/15(金)
ソニーストア福岡天神 α Plaza : 12/18(月)~12/24(日) 詳細はコチラ
https://www.sony.jp/ichigan/plaza/?s_pid=jp_/ichigan/a-universe/promotion/_1606_00_sidebar_bnr_service_a_plaza#Schedule

■ソニーワールドフォトグラフィーアワード 公式サイト: www.worldphoto.org/ja

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