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写真家 井上浩輝 氏人間のような感情が滲み出た
野生動物の表情を追いかけて

〜RX10 IVが高解像で描き出す美しい動物たち〜

α Universe editorial team

北海道最高峰の旭岳を望む東川町に住居を構え、北海道で逞しく生きる野生動物や美しい風景を撮り続けている写真家・井上浩輝氏。大自然の中でひっそりと暮らす動物たちの、どのような瞬間を狙って撮影しているのか、印象的な風景写真にはどのような技法が使われているのか。RX10 IVで撮影した作品とともに、井上氏の撮影テクニックをご紹介いただき、さらにカメラの魅力についても語っていただいた。

井上 浩輝/写真家 1979年、北海道札幌市生まれ。東川町在住。北海道を中心に「いま生きている風景」を追う注目の写真家。昨年、米国の自然科学雑誌「ナショナルジオグラフィック」の「トラベルフォトグラファーオブザイヤー2016ネイチャー部門1位」を日本人として初めて受賞。現在、プロの写真家として写真展を開催するほか、地元北海道の撮影ガイドや講演会など、幅広く活躍中。

野生動物の撮影で狙うのは「感情が宿った表情」。
エゾジカを撮る時は距離感が大切

僕が野生動物を撮る時に一番意識しているのは表情です。狙っているのは「野性味溢れた」とか、「動物を美しく」というところではなくて、人間が持つような感情を持っているんじゃないかと思ってしまうような表情。「今、何を考えているのかな」、「どんな気持ちなのかな」と、思わず考えてしまうような動物の写真を撮るのが楽しいんですよね。そういう瞬間を撮ることができれば、いつも「幸せだな」と感じます。 僕は前モデルのRX10 IIIも使わせていただきましたが、今回は最新モデルのRX10 IVを片手に撮影に出掛けました。

なかでも僕のお気に入りの1枚は、下のエゾジカの写真です。

RX10 IV,600mm(35mm換算),F4,1/640秒,ISO1250

このエゾジカ、顔を背中に向けているような、無理な体勢をしていますよね。こういう時って感情を持っているかのような表情が出やすいんですよ。正面を向いている時は意外とダメで。おそらく周囲を警戒していたと思うんです。でもふとした瞬間に背中がかゆくなったんでしょうね。急に背中を顎の部分でグリグリし始めて。何か物思いにふけっているような素敵な表情を見せてくれました。RX10 IVはAF性能が優れているだけでなく24コマ/秒の連写もできるため、最高の表情を逃さず撮影できます。

エゾシカは住んでいる地域によって、人間との共生の深さが違うんですよ。だから、人間と共生がうまくできていない、より野生に近い状態のシカは、そう簡単には近づけません。逆に、人間と共生することを覚えてしまったシカは、時期によっては1mくらいの距離まで近づくことができます。近づくと怖がりますが、シカ自身が「この距離ならなんとかなる」ってわかっているんですよ。

シカの撮影では距離感が大切です。シカとの距離を詰めながら警戒して逃げ出してしまう距離を見極めて、シカの領域を侵さないように近づいていきます。僕はシカの皮のゴワゴワした質感が好きなので、なるべく近づいてズームアップして撮影したいんです。そうするとピントの精度も重要になってくるんですよね。

1インチのセンサーで
鼻が高い動物も顔のすべてにピントが合う

RX10 IVの一番の魅力はAFの正確さと速さです。α9も使っているのですが、α9に似たような感じの速さと正確さを体感できました。あと、ピント合わせの時に有効に感じたのが1インチのセンサーであること。被写界深度が浅くなり過ぎず、動物の目にピントを合わせやすくなります。

RX10 IV,600mm(35mm換算),F4,1/640秒,ISO1250

上の写真もエゾジカを撮影したものですが、シカやキツネのように鼻が高くて黒い動物は、AFを使うと鼻にピントが引っ張られてしまうことが多いんです。フルサイズやAPS-Cくらいの大きなセンサーになると、こういった失敗が起きがち。でも1インチのセンサーであればピントがシビアになるほど被写界深度が浅くないので、その心配はほとんどなくなります。このエゾジカも正面から撮っているので、被写界深度が浅いと目の部分がぼけて写ってしまうこともありますが、RX10 IVなら600mmの望遠で撮影しても、目だけでなく鼻にも耳の毛の部分にもピントが合って、質感豊かに写せるんです。

動物の撮影ではタッチフォーカス機能も大活躍でした。例えばコマンド操作では画面の対角線上にポイントを移動しようとすると何秒も時間がかかってしまうところを、タッチフォーカスを使えばピントを合わせたい位置、動物だったら目の部分をタッチするだけですから。これは速写性を考えても、かなりうれしい機能ですね。

動きが激しく予測不能な鳥たちも逃さず写し撮る優れたAF性能

北海道にはさまざまな野生動物が生息しています。ヒグマやリスなど大小さまざまな動物以外に、ツルやワシなどの鳥も魅力的な被写体です。

RX10 IV,600mm(35mm換算),F4,1/640秒,ISO640

とくに鳥は動きが激しいので、AFの性能がものを言います。上の写真は、「あ、オジロワシがいた」と思った瞬間にカメラを構えて、AFで撮影したもの。見つけてすぐに200mくらいある崖の下から上がってきたんですよ。まさかこのカメラにそんな速写性があるとは思ってもみなかったので、正直「あ、撮れちゃった」という感じ。これはうれしい誤算でした。素早く正確なAFだからこそ撮れた1枚だと思います。 これだけ高精細なAFがあれば、マニュアルを使う必要性を感じなくなりますね。望遠端でもまったく問題なく、スムーズにピント合わせができました。

風景はズームアップして撮るのが基本。
切り取ってこそ見えてくる魅力がある

北海道のような広がりがある風景はワイドで撮影する、という人も多いと思いますが、僕はズームアップして撮る「切り取り派」。何かを選んで、切り取って撮ることがほとんどです。その風景の魅力はどこにあるかを探し、ズームアップして魅力を強調させる感じですね。さらに、RX10 IVのように解像感があればあるほど、おもしろみのある写真が撮れます。

例えば、下の大豆畑の写真。明け方に朝日を浴びている風景を撮った一枚です。

RX10 IV,177mm(35mm換算),F11,1/160秒,ISO100

35mm換算で200mmに近い焦点域で撮影したものですが、狭い部分を切り取るとワイドでは見えなかったパターンが見えてきます。大豆の一本一本に朝露がついていて、それが白く光っているんですけど、水滴の大きさによって光の大きさや輝きが違って見えるんです。広く撮ろうと思えばいくらでも広く撮れますが、露のまばらな感じまで表現するには望遠でないと。広々とした畑や草原だからといって、ただ広く撮るのではおもしろくありません。自分はどの部分を表現したいのか考えて、それが可能な焦点距離を見つけるのがおすすめです。 実は、僕の好みの焦点域は200〜400mm。それは風景だけでなく、野生動物でも同じこと。なるべく近づいて、さらに一部を切り取って、それぞれの動物が持っている魅力を引き出すのが僕の撮影スタイルです。

まだ見たことのない表情がたくさんある。
キタキツネの撮影は今後もライフワークに

今までキタキツネの作品群を撮影してきましたが、キタキツネは今後もずっと撮り続けていきたいと思っています。人間界とは離れた自然の中で生きる神出鬼没なキツネたちは、今までさまざまな表情を見せてくれました。でもまだまだ人間たちに見せていない表情がたくさんあるはず。そのためにも、北海道在住の僕が続けていくべきテーマなのではないかと思っています。

キタキツネをはじめとする野生動物を撮影する時、望遠レンズは必須です。さらにより正確なAF性能が必要で、高解像でノイズが少ないことも、いい写真に仕上げる条件となります。それらを全部クリアしているのがRX10 IVです。何よりも24mm〜600mmという幅広い焦点距離で撮影できるのも大きな魅力でしょう。カメラ1台でいろいろなシーンを撮りたい、少ない荷物でフットワーク軽く撮影したい、という方には、ぜひともおすすめしたいモデルです。

荷物の少なさも、あらゆる被写体を撮れるのも、僕にとっては大きな武器です。RX10 IVは、僕が常に撮影に持って出掛けるカメラの中の1台として、これからも存分に活躍してくれると思います。

――次回は、RX10 IVの連写性能や撮影テクニックについて、さらに熱く語っていただきます。

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