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「私説・大磯百景 撮影録」
十一月

妄想といったのでは、何かよからぬことを考えているのではないかと誤解される恐れがある。しかし、想像とか夢想では言葉が弱すぎるのだ。一つの被写体、または光景に対して、ただそれを記録して報告するだけではない行為をする。写真家たちの脳裏に膨らんでくる何か「強い思い」のことを表す適切な言葉がないか、それを考えるのだがいい言葉がない。空想、幻想、みんな違う。小澤はそれを誤解されてもいいからやっぱり妄想と呼びたい。創作には「妄想力」が必要だと言っておきます。

思えば創作に限らない。どの世界でも、他人から見たら妄想としか思えない想いを抱いて活動している人たちがいる。それがエポックメイキングということだ。それが新しいことをやるということだ。写真の話なら、女性写真を撮るときも、風景を撮るときも、実は僕たちは自分の妄想を写真に撮ろうとしているのに違いないのだ。

ちょっと話が観念的になった、しかし詳しく例をあげては説明しない。ちょっと小耳に挟んでおいてくれればいい。それで写真するときには、夢を見ていていいのだと、自信を持ってほしい。

写真を始めて最初のうちは、いろんな知識やテクニックを覚えて活用することで面白く過ぎていくが、ある程度撮れるようになると「自分ならでは」の写真が撮りたくなる。同じ被写体を撮って人と違いが出るのは、それは思いが違うからだ。テクニックは真似できる。同じ場所に行って上手な人と同じように撮ることもできる。しかし「想い」については、人それぞれ違う。それが写真に出るまで撮り続けなくてはいけない。「想い」を持って写真を撮ろう。「想い」を言葉にする必要はない。ただ「想い」続けて撮り続ける。するとそれが膨らんで「妄想」となってきた頃、溢れるように写真に写り始めるものがある。それが自分なのだと思う。

この連載も始まって半年経った。今回は、みんなで「いっちょう、気を入れて行くぞ」というエールを交換しようと思って観念的なことを熱弁してしまいました。プロもアマもない。半端なことでは遠くまで跳べない。あ、楽しくやらなくてはいけませんよ。写真は強制された勉強や労働じゃないので、楽しくないと進歩しません。

「北浜・夕方の少女」

大磯漁港の平塚より、北浜のビーチに座っていると、二十歳前後の少女二人がやってきた。。スマホを出して写真を撮ってくださいと言うので、じゃあおじさんにも撮らせてよと言ったら、「光栄ですっ」とか言って、肩を並べて立つので、「大きな空とふたりのシルエットなんだから、大きなポーズをしなさい。」というと、 少女達は一瞬でこのポーズを決めた。小澤も向かって左の子のポーズを見るやいなや咄嗟にアングルを下げ、水平を傾けて、その動きを加速する構図にした。そっちがその反応で来るならこっちも、もう一度やってとは意地でも言えない。相手はシロウトだがこっちも写真頭脳が一瞬でフル回転した。気持ちがいい。

α7R FE 24-70mm F4 ZA OSS 1/160sec F 4 ISO 800

「西小磯・夜汽車」

星の夜、夜汽車を撮りに出掛けてみた。風がなくそんなに寒くはないが、夜がふけるにつれ列車の来る間が空き、さすがに冷えてくる。 二十秒程の露出で、列車を光の帯にしてもきれいだが、そしてそれで何の問題もなくいい写真が撮れそうだが、実験のため百二十五分の一の写真とハードライトで合成してみた。多重露光という感じ。星空と夜汽車。 肉眼と同じ感じの見え方にしたつもり。 夜汽車と言うのは、こうやって離れて見ているとロマンティックでいい。

α7II SWH 15mm 20sec F 5.6 ISO 400
(※本作品は、表現のため 1/125sec F5.6 ISO3200 で撮影された写真と上記設定の写真の2枚から生成されています)

「こゆるぎ浜・オブジェ」

国府本郷、不動川の河口脇のトンネルを抜けると海に出る。向こうの明るい方がビーチだが、いきなりのドン深のショアブレイクなので、嵐になれば今いるところまで波は入ってくる。嵐の次の日、誰かが置いておいた自転車が朽ちて、タイヤ半分まで砂に埋もれていた。こういったものには時間というものが写る。自転車を擬人化してもしょうがないが、何か楽しかった日々を思い出しているような、、、いや、言葉にしては違ってしまう。黙って写真にしておかなければならない。

RX100M3 1/160sec F 3.2 ISO 125

「国府本郷・中丸架道橋」

JRから見れば道路の上に架かる橋なので架道橋。確かに橋だが、歩く人には電車の下のトンネルだ。僕たちは「中丸の東海道線をくぐるトンネル」と呼ぶ。貨物列車用を含む複複線なので結構長い。こんな小さなトンネルが大磯だけでも無数にある。東海道線全体で一体いくつあるだろう。列車に乗っていれば気にしないが、住む人の大事な生活路だ。人も通れば犬や猫も通る。こないだはヘビが渡っていたと妻に聞いた。

α7R Elmarit-M 21mm 1/8000 sec F 8 ISO 200

「静夜」

しかし海は繰り返すだろう。打ち寄せる波の事だ。日が沈むと急に海は怖くなる。さっきまで居た釣り人も、犬の散歩の人も、もう誰もいない。ピントが合わせられないくらいの暗い海は、ショアブレイクの音だけがすぐそこで響き、波足はすぐ足元を洗う。小澤が帰ればもう誰もいなくなる。しかし海は繰り返すだろう。悠久の時をそうやって過ごして来たのだ。

α7R Elmarit-M 21mm 30 sec F 5.6 ISO 200

さて今月はここまで、また来月まで、楽しく写真しましょう。

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