鎌倉 鎌倉・雨の日(小澤忠恭 湘南左右録より) 小澤 忠恭

撮りたかったものは観光写真ではなく、鎌倉の日常。旅行者ですらない、住んでいる人の目にすごく近いかたちで撮っている。標準レンズをメインに選んだのもそのためだ。海、町、山からなる鎌倉をゆっくりと歩けば、それぞれの場所で展開している生活と人と風景が見えてくる。漁港での漁師の営み。千年近い歴史が息づく町の気配。周囲を覆い尽くす野生の山。そして、鎌倉をつつみこむ独特の湿気。それらを真っすぐ写しとることで、鎌倉という町の素朴な姿に迫った。また雨でなければない情緒というものも、随所に感じられるだろう。これらの写真をきっかけにして、ぜひあなたの鎌倉を撮りに出かけてほしい。

写真家 小澤忠恭