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事例紹介

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名古屋大学医学部附属病院 様

手術映像ソリューション

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定位的脳深部刺激術における複数データの統合記録により、的確かつ迅速な診断と手術現場での省力化・効率化を実現。

お客様のニーズ・課題

脳内の視床下核に電気刺激を施すための治療用電極を植え込む定位的脳深部刺激術において、脳波形モニター映像と術野カメラ映像を同時に記録し、効率よく診断できるシステムを構築したい。

導入効果

脳波形モニター映像と術場カメラ映像、音声データを統合記録し、的確かつ迅速な診断をサポート。タッチパネルによる直感的な操作性の効果もあり、最小限のスタッフによる記録操作を実現。

名古屋大学医学部附属病院 様

名大病院の名称で親しまれている名古屋大学医学部附属病院様は、1871年に名古屋藩評定所跡に仮病院が置かれたときに始まりました。安全かつ高度で満足度の高い医療の提供と、次世代を担う優れた医療人の育成、新しい医療技術の研究開発などにより、東海地方のみならず世界的なレベルで医学医療に貢献しています。2006年度には最新鋭の設備を備えた中央診療棟が、2009年度には新外来棟が竣工しました。手術室や集中治療室の拡大、手術支援ロボットや強度変調放射線照射装置などの最新鋭医療設備・機器の整備も実現しています。さらには今後、周産期医療人材の育成を目指した総合周産期母子医療センターの開設が予定されています。

脳神経外科 准教授の梶田 泰一先生にお話を伺いました。

名古屋大学医学部附属病院

脳神経外科 教授 梶田 泰一先生

導入背景

脳波形モニターと術場カメラの映像を同時記録し、診断の効率化を図る。


オシロスコープ(イメージ)

我々が行う手術は、パーキンソン病などの不随意運動症の改善を目的とした定位的脳深部刺激術です。脳内の視床下核に電気刺激を施すための治療用電極を植え込むのですが、視床下核は脳の奥深くにあり、さらにその大きさは小指の先ほどと小さいため、正確な場所に電極を埋め込むのは極めて難しいのです。最初にMRIを撮って電極を入れる目標点を定めるのですが、最終的には20ミクロン径などの非常に狭い電極で神経活動を1つ1つ調べ、それに対する患者さんの反応と、神経の動きを示すオシロスコープ(波形モニター映像)を確認して決定します。たとえば震えに悩まされている患者さんには、視床下核の中に手足に震えを起こす細胞があります。患者さんの手足を術者が動かすと、その動きに連動して神経が興奮し、その動きがオシロスコープに表示されます。これまではこの2つのデータを別々に記録し、両方を突き合わせて判断していたのですが、もっと効率よく判断できるシステムがないものだろうかと思案していました。

選定理由

高性能記録環境や複数映像の統合、高精細映像などにより選定。

様々なシステムを検討していた中で、我々のニーズに非常にマッチしたのがソニーのメディカルHDレコーダーHVO-1000MDでした。手術記録は大変貴重ですので、手違いによってデータが消えてしまったというわけにはいきません。これまではビデオカメラ1台で術野や患者さんの表情を撮り、カメラメディアのDVDに記録・保存していたのですが、これでは保存そのものが万全とはいえません。HVO-1000MDは長時間記録が可能であること、USBハードディスクドライブとUSBメモリ、ブルーレイディスクとUSBメモリというように、2つのメディアへのリアルタイム同時記録も可能であるため、手術や検査の終了と同時に映像を確実に保存できます。また、オシロスコープの生体情報と術野カメラの映像を統合して記録でき、使い勝手がいいと判断しました。ビデオカメラと比べると映像も格段に精細です。

システム内容

脳神経への電気信号による影響をHVO-1000MDへ確実に記録。

HVO-1000MDは2012年3月に導入され、4月より運用が開始されました。毎週のように行われる手術において、脳神経への電気信号による効果・影響を調査し、適切な手術を記録するためのツールとして活用しています。オシロスコープの映像と術野映像をひとつの映像に統合し、表示・記録しています。マイクも設置し、手術中の音声もあわせて記録していくことで、あとから手術映像を見直した時でも、手術の進捗把握が行いやすくなりました。

導入効果

HVO-1000MDによりデータ記録の効率化と直感的な操作性を実現。

HVO-1000MDの運用開始より約2か月の間に、5〜6症例の手術記録ツールとして使用しました。これまではカメラ撮影に1名、オシロスコープの記録に1名と、複数のスタッフが手術に参加しなければなりませんでした。HVO-1000MDを導入し、脳波形モニターと術場カメラの映像、音声データの統合記録が実現したことで、スタッフの人数を減らすことが可能となりました。タッチパネルによる直感的な操作性の効果もあり、スタッフ1名で対応できるようになりました。省力化・効率化の面からも非常に助かっています。

また、記録が統合されているため、カンファレンスなどの発表用資料も効率よく作成できるようになったと感じています。

今後の展望

定位的脳深部刺激術のガイドライン確立により治療の裾野が広がる。

定位的脳深部刺激術は2000年頃から始まり、ここ10年でようやく診療の根拠や手順についてのガイドラインが確立されたところです。ガイドラインができたことにより、今後は特定病院以外の病院でも取り組みが開始されるだろうと予想しています。HVO-1000MDのような記録ツールも採用の機会が増えてくるでしょう。今後さまざまな症例記録を重ねることで、多くの要望が出てくると思います。たとえば学会での発表に役立てるためにも、映像は高精細な記録であればあるほど有難いし、手術中の詳細なデータが大容量で保存できる環境であれば尚いいと思うものです。

現時点では夢物語のような話ですが、神経の活動をコンピュータが解析して文字情報などでナビゲーションされるような環境であれば、職人技のような難しい手術も裾野がもっと広がりをみせるでしょう。将来の技術の進化に大いに期待しています。

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