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事例紹介

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島根大学医学部附属病院 様

手術映像ソリューション

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新棟映像システムにソニーの高精細ディスプレイとカメラを採用。HD高画質映像により、医療現場の安全と研究・教育をサポート。

お客様のニーズ・課題

執刀チーム以外であっても記録映像を客観的に理解できる映像総合管理システムを理想とし、手術開始から終了までの静止画・動画を高精細に記録して医療現場や研究・教育をサポートする新システムを構築したい。

導入効果

手術室で必要とされる医療映像のモニタリングや同時記録・再生システムを実現。高精細映像により手術中の安全性を高めるともに、学会・症例研究資料や医療教育などにも活用。重症患者の24時間監視も可能とした。

島根大学医学部附属病院 様

島根大学医学部附属病院様では、「地域医療と先進医療が調和する大学病院」の理念のもと、医療を取り巻く環境変化への迅速対応や地域医療へのさらなる貢献を図っています。2011年6月には、病院再開発事業として183病床の新病棟をオープンしました。集中治療室や重症病棟の整備、手術部門の整備など、病院機能が格段に強化されただけでなく、地域の防災拠点病院として、耐震構造や自家発電装置、地上ヘリポートの採用、3,000名収容可能な大型避難設備なども備えています。2011年7月からは既設病棟や外来棟の改修工事も開始され、さらには救急部門の大幅拡充を行うなど、2013年春には最高レベルの施設が完成します。

島根大学医学部附属病院 手術部長の佐倉伸一先生にお話を伺いました。

導入背景

映像と時間軸を総合的に管理・活用できる新映像システムを要望。

今回の映像システムは、新病棟の建設に伴って導入を決定しました。従来のシステムは10年以上前に開発されたものです。手術・処置を静止画や動画として記録することは可能でしたが、デジタル以前のシステムのためサーバに蓄積するという概念はまだなく、手術室や処置の単位で完結してしまうという欠点がありました。つまり、記録した映像がどの患者さんのものであるかとか、手術工程のどの部分なのかは、執刀した医師本人や助手など、参加していた者にしか分からないのです。Aという画像とBという画像の間にどのくらいの時間が経過しているか、どのような状況の映像なのかは、その場にいなかった者が見てもほとんど分かりません。客観性に欠けています。前々から、それを総合的に活用できるシステムはないだろうかと考えていました。幸いなことに、導入決定の2年ほど前からそのようなコンセプトを持つシステムが登場し始め、今回の導入に際しては何ができて何ができないのか、きちんと把握した上で選定に取り掛かることができました。

選定理由

導入実績・サポートを評価し、映像システムのデバイスとして選定。

新棟映像システムのうち、大型ディスプレイやネットワークカメラ、ネットワークレコーダーにソニー製品を採用しています。

選定した理由の1つはコスト面、もう1つは実績です。自動車などもそうですが、カタログだけではなかなか判断できません。実際に導入されている病院を見学すれば、解しやすいですよね。私自身が、研修などであちらこちらの病院施設を見学していたということもあり、どのシステムが改良されて現在の形になっているのかなどがすぐに把握できました。その意味でも、実績があることは大きな選定要素となります。特に今回は、プレゼンの際に実機を持ち込んで運用フローのデモを実施してくれましたので、導入後のイメージがダイレクトに伝わってきました。それも大きかったと思います。また、サポート体制への評価もあります。どんなシステムでもトラブルが皆無ということはありません。もちろん故障ばかりのハードウェアではお話になりませんが、サポートも非常に重要です。

システム内容

HD画質の同時記録・再生やリアルタイムモニタリングを可能に。

HD術野映像記録システムとして、手術室にHD2ピースカメラPMW-10MDを天吊り設置、また術場用ネットワークカメラとして、SNC-DM110を天井に埋め込み設置しています。撮影した術野映像は、ネットワークレコーダーNSR-1200および映像記録支援サーバーOpelioと連携し、HD高画質映像のまま記録保存を行うとともに、メディカルモニターLMD-2451MDや、壁面に埋め込み設置した52V型フルHD液晶ディスプレイGXD-L52H1に表示します。

また、ICUモニタリングシステムとして、重症患者用の病室にネットワークカメラSNC-DM110を設置し、ネットワークレコーダーNSR-1200を介してICU・HCUスタッフステーションの大型モニターへ表示します。24時間体制での遠隔監視を可能としています。

ソニー映像システム構成図

ここがポイント!

研修医や学生が手術室に立ち会う際には、今回導入した大型ディスプレイを通して術野を見ています。実は、術野は真上からでないときちんと見えません。執刀中の現場で説明を聞きながら、高画質で鮮明、かつ拡大された映像を見ることができ、非常に高い学習効果を得ていると思います。内視鏡や顕微鏡の画像などにも同じことが言えます。

導入効果

術野から視線を外さずリアルな拡大映像を確認。安全性が高まる。

私見ですが、非常に高い効果を得ていると感じています。ディスプレイが手術室の中にたくさん設置されていることにより、術野からほぼ目線を外さずに、リアルな拡大映像も確認できます。手元にある医療機器付属のディスプレイを確認するよりも、周囲や壁面の大型ディスプレイを見る方が映像ははっきり確認できるという面もあります。ソニー製品の映像は、予想していた以上に高画質でした。

また、たとえば患者さんに麻酔をかける場合でも、昔の麻酔医は心電図を確認するために振り返らなければなりませんでしたが、いまはディスプレイの方を動かして患者さんから目を離すことなく確認できます。安全性が非常に高まりました。

スタッフステーションのディスプレイを通して、スタッフが生体情報などと手術室の状況を同時に観察し、いざというときに備えられるのも利点です。そろそろ患者さんがベッドへ移るので病室へ迎え入れる準備をしなければなどと、スタッフが先回りして準備できるのは、院内連携としても非常に有効だと思います。

今後の展望

医療現場や研究での運用・活用も考慮した開発をソニーへ期待。

あれもこれもできるシステムが必要なわけではありません。高精細な画像品質や記憶容量の大容量化はもちろん必要ですが、活用しない機能が増えても高額になるばかりで却って導入しにくくなってしまいます。

映像品質にしても、美しいけれども容量が大きすぎてダウンロードするのにもひと苦労するようでは、活用の幅が狭まってしまいます。特に手術は長時間に渡るものが多く、編集するのは大変な作業となります。記録保管用にはHD、編集用にはSDなど2軸で記録できるといいかもしれません。また、何十年後かに当時の手術映像を参照したいと思ったら、規格が変わっていて読み込めないことになるのも困ります。システムの進化には今後も期待しますが、そのような面も考慮して開発を進めていただきたいと思います。

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