「QUALIA 015」のこだわり

そんな技術者の思いの一つを、筆者は「QUALIA 015」の中に見い出すのである。
クオリア初代ラインナップの一つとして発売された、36インチのHD対応ブラウン管式テレビモニタ。この時代にブラウン管、しかも36インチというサイズは、決して大きくない。だがこのサイズのカラーフィルター付きスーパーファインピッチトリニトロン管が生み出す映像は、おそらく我々がもう二度と経験することのできない、成熟したアナログ技術最高水準のものだ。

QUALIA 015これを選ぶ人は、やはりソニーの名機「プロフィール・プロ」の代わりに置くという。筆者も映像のプロとしてプロフィール・プロには相当お世話になり、同時に苦労もしたクチだが、暖色系、特に人肌の発色にこだわった独特のチューニングは、やはり民生機のそれであったと思う。

だが「QUALIA 015」は、テレビモニタとしての成熟度が比べものにならない。映像機器として一番難しい「正確なコントラストと色調」を愚直なまでに再現しているのだ。放送用マスターモニタ並みの精度を持ちながらも、淡泊になることなく発色を綺麗に立てて、きちんと「鑑賞するための絵」に仕上げている。浅くなくクドくない、このあたりのやり過ぎないさじ加減が、絶妙なのである。

小寺 信良小寺 信良
映像作家/映像アナリスト。バラエティ、報道、コマーシャルと活動拠点を変え、芸術面と技術面の両方で10数年のキャリアを持つ、映像のプロである。その知識と経験を生かした内容の濃さで、映像関連のライターとして圧倒的な支持を得ている。