法人のお客様オプティカルディスク・アーカイブ 事例紹介 株式会社 テレビ東京 様

事例紹介

オプティカルディスク・アーカイブ
お客様事例

株式会社 テレビ東京 様

報道ライブラリー室に全国の放送局で初となるオプティカルディスク・アーカイブを導入。コンテンツ管理を含め効率的な運用を実現。

  • ODS-D77U
  • ODS-L30M
  • ODS-L60E
  • ODS-D77F

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株式会社 テレビ東京 様

  • 寺西永弥 様

  • 木村浩司 様

2014年、開局50周年を迎えた株式会社テレビ東京様は、報道ライブラリー室に全国初となるオプティカルディスク・アーカイブシステムを導入。コンテンツマネジメントシステム Media Backbone Ensembleとの連携で、効率的なオペレーションを実現し、2014年8月より運用を開始しました。同社 報道局 取材センター 報道技術担当 副参事 寺西永弥様、情報システム局 システム部 主事 木村浩司様に、システム更新の目的やコンセプト、選定ポイント、運用状況などを伺いました。
なお、記事は2014年9月下旬に取材した内容を、弊社にてまとめたものです。

テープによるアーカイブの悩みを解消することが更新の目的


報道フロア(写真・左)の一角に設けられた報道ライブラリー室(写真・右)。オプティカルディスク・アーカイブシステムとMedia Backbone Ensembleとの連携によってコンパクトなシステムでありながら、効率的なアーカイブオペレーションが実現されました

当社の報道制作は、HDCAMフォーマットによりHD化を実現して以降、ニュース素材のアーカイブもHDCAMテープによる棚管理で運用してきました。SD時代はベータカムSXで運用してきたこともあり、HD化への移行や過去素材のコピーも非常にスムーズに行うことができました。

しかし近年、このテープを使ったアーカイブには課題も見えてきました。1本120分という容量、長期保存性、保管スペースや管理コスト、あるいは再利用時の素材検索やリトリーブ時の時間、手間といった問題です。また、ニュース制作において本格化するファイルベース化に今後対応していく上でもベースバンドによる素材の管理には限界が生じるだろうという判断もありました。そこで部内でもアーカイブシステムの更新を何度か検討してきましたが、当社が求める要件を満たすものがなく、更新タイミングを引き延ばしてきた経緯があります。

今回、ソニーからオプティカルディスク・アーカイブとコンテンツマネジメントシステムMedia Backbone Ensemble(以下、本文中ではMBEと略します)を使用したシステムの提案をいただきました。社内で検討の結果、当社の要件を満たすアーカイブシステムを構築できるソリューションであると判断し、2014年7月に導入し、8月より運用を開始しました。

光ディスクのアーカイブメディアとしての優位性を評価


大容量・長寿命、保管のためのスペースとコスト面でのメリット、ランダムアクセスにおける優位性、そして再生互換を確保した状態で容量・転送速度に拡張性がある点などを評価してオプティカルディスク・アーカイブを採用。ドライブユニットとしてODS-D77Fを6台と、ODS-D77Uを4台採用


システムラックに収納されたオプティカルディスク・アーカイブPetaSite拡張型ライブラリーマスターユニットODS-L30Mと、ドライブ拡張ユニットODS-L60E。コンパクトながら大容量を実現、運用を止めることなくカートリッジ交換が可能な点やシステムの冗長性も評価されています

選定ポイントの一つは、アーカイブメディアです。それ以前に社内で検討を行っている際にも、テープか光ディスクかで検討を行っていましたが、結論としては光ディスクが優位であると判断していました。長寿命で長期保存性に優れ、大容量、ランダムアクセス、再生互換などに優れている点が主な理由です。

オプティカルディスク・アーカイブは、これらの要件をすべて満たしています。50年という長寿命、光ディスク12枚を1 つのカートリッジに収納することで最大1.5TBの大容量ストレージメディアを実現しただけでなく信頼性・堅牢性を実現しており、さらに再生互換を確保しつつ一層の大容量化や転送速度の向上を可能にする拡張性も大きな魅力です。

加えて、オプティカルディスク・アーカイブならではの特性もあります。これまでのテープ運用では1本のテープに素材収録を行う際には、必要な部分だけを取り出すといった作業を必要としましたが、そうした手間のかかる作業が解消されます。また、プロキシAVデータの生成や素材ジャンル別にカートリッジを自動的に区分けすることなど、再利用時の素材の検索やプレビューが容易に行えるため、有効に活用できます。

放送業務に不可欠の信頼性、安定性も採用の決め手の一つです。前述したカートリッジの堅牢性だけでなく、たとえばライブラリーマスターユニットODS-L30Mには電源ユニットとドライブユニットを2台まで搭載することができ、万一、電源またはドライブユニットが故障しても運用を継続することができます。こうした冗長性の高さも長期運用では必須要件となります。

Media Backbone Ensemble による効率的なワークフロー


コンテンツのファイル化、ファイル変換、編集サーバー運用などアーカイブ支援を効率的にサポートするMedia Backbone Ensambleの使い勝手の良さにも期待を寄せられています。タブレット運用にも対応するなど、柔軟なオペレーションが可能になっています

もう一つの選定ポイントは、報道ライブラリーのワークフローの改善です。いかに優れたアーカイブシステムであっても、実際に作業を行うオペレーターに余計なストレスがかかったり、作業効率が悪くなっては意味がありません。オプティカルディスク・アーカイブはこうした点でも優れたシステムとして評価しています、さらにワークフローの改善に大きく貢献してくれると評価したのが、コンテンツマネジメントシステムMBEでした。

MBEを導入することで、編集・送出からの効率的なファイル転送/アーカイブや、過去素材のファイル化/アーカイブなど、一段と効率的なワークフローを実現することができます。このMBEはオープンなソフトウェアのため、カスタマイズしやすく、GUIの設計などに当社から多くの要望を出しました。項目表示のプライオリティー、容量監視など、非常に分かりやすく、当社が求めるオペレーションに即した運用が可能になっています。

システムとしては、報道設備から素材をMXFファイルとしてキャッシュサーバーに取り込みます。同時にメタデータをMBEサーバーに送るとともに、プロキシAVデータを生成し、アーカイブする素材をオプティカルディスク・アーカイブに送り、オプティカルディスク・アーカイブカートリッジに記録するフローを実現しました。また、アーカイブ素材は、政治・経済・事件・特集・海外など、8種のカテゴリーにカートリッジを分けています。素材の管理、検索がより分かりやすくなっているだけでなく、再利用の際にも素材の検索、確認が容易に行えます。

また、キャッシュサーバーは二アラインアーカイブとしても活用できるようになっており、使用頻度が高い直近のアーカイブ素材を高速にリトリーブすることで、より効率的で効果的な素材運用が可能となりました。

そしてもう一つの決め手がソニーのシステムインテグレーションを高く評価したことです。報道設備の他社製システム、機器との連携においても、当社の要望をしっかり反映していただくことができましたので、そうした点も含めて非常に満足しており、高く評価しています。

安定した長期保存、再利用を含めた効果的な運用に大きな期待

運用を開始してまだ1ヶ月ぐらいの段階ですので、総合的な評価や運用の成果についてはもう少し時間を要します。ただ、毎日の運用で稼働しており、特に作業に支障をきたすような大きなトラブルはなく、ほぼ想定したオペレーションとワークフローを構築できたと思っています。

もちろん、今後の本格運用には大きな期待をもっています。その一つは、これまでのテープによるアーカイブ運用での課題や問題を最小化してくれる点です。たとえば、ニュース素材をより長期間、再生互換を保ちながら、省スペースで保管できる点です。また、大容量化により、素材を一括管理し、同時にプロキシAVデータの自動生成でプレビュー用途などにも容易に活用できるようになります。オプティカルディスク・アーカイブの先進性が、こうした課題解消に貢献してくれます。

もう一つは、アーカイブ素材の二次利用など、貴重なコンテンツを有効に番組制作にも活用したいと思っています。カテゴリー別にカートリッジを振り分けた保管やメタデータを活用することで、再利用を含めたアーカイブの活性化につながるものと期待しています。前述したキャッシュサーバーの二アラインアーカイブ的な運用も、番組制作においては素材共有サーバーと同様の機能を果たすこともできるので、より柔軟な素材運用で魅力的な番組制作、オンエアに貢献してくれるのではないかと考えています。

さらに、今後の拡張性や発展性にも大きな期待をもっています。再生互換を継承しつつ、一層の大容量化と転送速度の向上により、長期保管や素材管理に安定性、信頼性を確保できます。これらの拡張性は、ワークフローの大幅な改善にもつながります。

今回の報道ライブラリーシステムでのオプティカルディスク・アーカイブ導入は、当社にとってはもちろん、放送局の中でも初の導入、運用となります。その先進性やメリットを今後十分に発揮できるようにし、報道ライブラリーの有効活用などに生かしていきたいと考えています。

2015年2月掲載
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