放送・業務用モニター

マックレイ株式会社 様

プロダクション

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グレーディングルーム、編集室、データ変換室、コピーセンター等に導入したマスターモニターTRIMASTER ELシリーズで一貫した画と色の管理体制を構築

マックレイ株式会社 様

マックレイ株式会社様は、2011年8月に天王洲スタジオ・グレーディングルームのマスターモニターに25型有機ELマスターモニターBVM-E250を採用。さらに2012年2月には、五反田スタジオ/麻布スタジオのオフライン編集室、リニア編集室、コピーセンター、そして天王洲スタジオ・データ変換室に25型/17型有機ELマスターモニターBVM-F250/F170を合計6台導入されるなど、映像制作ワークフローの要所でTRIMASTER ELシリーズを積極的に活用し、一貫したハイクオリティーでの素材の確認・監視体制を構築されています。

同社 制作技術部 シニアチームリーダー阿部直行様、同部 テクニカルカラリスト 黒部尊仁様に、TRIMASTER ELシリーズ採用の決め手、運用の実績や成果、さらに今後の増設計画や有機ELモニターへの期待などを伺いました。

高精細な画を高精細なまま表示できる「きれいな画質」と評価が一致
実務を通して有機ELモニターの特性や特長を把握


TRIMASTER ELシリーズを次世代のマスターモニターとして高く評価していただいた制作技術部 シニアチームリーダー 阿部直行様(写真・右)と、同部 テクニカルカラリスト 黒部尊仁様(写真・左)

当社は、モニターがCRTから液晶に移行する時、割と早い時期から液晶への切り換えを行ってきました。いずれ無くなってしまうCRTに固執するより、液晶の特性や特長に早く慣れ、基準となる画や色を追求し、運用のノウハウを蓄積した方がメリットも大きいと判断したからです。マスターモニターについても、2009年にソニーが発売したBVM-L231をグレーディングルーム等に導入し、その特性を把握した上でCMや番組の制作に運用してきました。

2011年にソニーが有機ELパネルを採用したTRIMASTER ELシリーズを発表し、次世代のマスターモニターとして提案された時も、社内各部門のスタッフを集めて検討・検証を行いました。非常に単純な評価と言えるのですが、とにかく「きれいだ」というのが全員の一致した評価でした。高精細な画を高精細な画質のまま表示してくれるモニターということで、それが採用の大きな決め手ともなっています。また、撮影部ですでに7.4型業務用有機ELモニターPVM-740を1台運用しており、その運用実績やスタッフの有機ELモニターに対する高評価も背景にありました。

まず、2011年8月に天王洲スタジオ・カラーグレーディングルームのマスターモニターにBVM-E250を導入しました。既存のBVM-L231や民生用の<ブラビア>などと併行運用することで、その特長や特性に慣れてもらうこと、使い方をマスターしてもらう目的もありました。その上で、2012年2月には五反田/西麻布スタジオのオフライン編集2室、リニア編集2室、コピーセンター、天王洲スタジオ・データ変換室のマスターモニターとして、TRIMASTER ELシリーズに新たにラインアップされたBVM-F250を5台と、BVM-F170を1台導入しました。これにより、撮影から素材出し、編集、完パケに至るワークフローの要所要所で有機ELモニターによる一貫した画と色の確認・監視・管理ができる体制を構築することができました。

将来を見据え、グレーディングには最も画質に優れたBVM-E250を採用
黒や低階調部の色など、これまでに見たことのない再現性を実感


天王洲スタジオ・グレーディングルームのマスターモニターに採用された25型有機ELマスターモニターBVM-E250。既存の液晶マスターモニターBVM-L231やクライアントモニターとして導入されている<ブラビア>も使いながら、効率的な仕上げ作業が行える環境となっています

スタッフ全員が「きれいだ」と評価しているように、TRIMASTER ELシリーズの最大の特長、魅力は高精細な画質にあります。特に、低階調信号まで忠実に表現する黒の再現性や、低輝度においても高い色再現性などは、CRTでも表現できなかったようなレベルで、新しい発見でもありました。こうした微妙な部分は、実はCMや番組の制作に携わる監督さんやカメラマンさんが最も拘る部分でもあります。そうした監督さんの前に、特に事前の説明をすることもなくBVM-E250を置いて見てもらったことがありましたが、不満や不平はまったく聞かれませんでした。意図通りの画が撮れていると、BVM-E250で確認することができ、満足したのだと思います。

もちろん、CMや番組は最終的には家庭にある液晶テレビで視聴されることになりますから、BVM-E250で見た画質をそのまま再現することはできません。そこでBVM-L231や<ブラビア>と見比べながら、画や色の合わせ込み作業を行いますが、それぞれの特性の違いを踏まえたスムーズなコミュニケーションが可能です。実際、暗部の多い作品では、従来よりもスピーディーにカラーコレクションやグレーディングを行えるようになり、作業効率が向上しています。


オンエアコピーを行う西麻布スタジオのコピーセンターでは、マスターモニターとして17型有機ELマスターモニターBVM-F170が稼働中

また、液晶モニターの難点の一つとなっていた動画応答性も大きく改善されています。カメラパーンや文字ロールスーパーなどの動きの速いシーンでも、動画のブレや残像が抑えられており、ストレスを感じることなく、確認や監視ができます。

普段の仕事はCMや番組の制作が中心なのですが、ポスプロとしてはどんな状況にも対応しておかなければならないと考えています。
従って、映画やODS等幅広いコンテンツ制作への要望に答える為には、デジタルシネマ色域やユーザーLUTに対応したE250がグレーディングに必要でした。最も高画質で色域が広いBVM-Eシリーズは、今後、撮影のほうでも必要になってくるのではないかと思います。

次のステップとしてオンライン編集室10室に順次導入の予定
バックヤードのピクチャーモニターにもTRIMASTER ELシリーズを検討


西麻布スタジオのリニア編集室、五反田スタジオのオフライン編集室のマスターモニターとして運用中のBVM-F250

映像制作においては、ワークフローのどこでも可能な限り同じクオリティーのモニターで確認、監視できることが理想的です。また、同一の業務を異なる編集室で行うことも決して稀ではありませんから、編集室同士でも同じモニタリング環境が求められることになります。当社では、次のステップとして現在10室保有するオンライン編集室にも順次TRIMASTER ELシリーズの導入を検討していますが、一度にすべてを更新するか、あるいは5式単位での導入が必要だろうと考えています。

さらに、マシンルームなどバックヤードに設置された液晶モニターやCRTについても、更新等に合わせてTRIMASTER ELシリーズのピクチャーモニターなどを導入できれば、さらに一貫した確認・監視体制を構築することができます。実は、いま当社では新スタジオの建設を予定しており、仕様や設備などの検討を開始しています。詳細はまだ未定ですが、ここが一つのタイミングとなって、モニター環境の整備もテーマの一つとなるかもしれません。もしトータルに有機ELモニターを導入することができれば、制作各部門のスタッフはもちろんのこと、営業を含めて同じ品質で素材や映像を確認することができ、お客様への提案やプロモーションもより具体的かつ魅力的なものにしていくことが可能になるのではないかと期待しています。

TRIMASTER ELシリーズは、今後のプロ用モニターのデファクトになっていくのは確実だと思います。ただ、この新しい可能性を広め、映像コンテンツ制作により有効に活用するためには、撮影や編集といった各部門間ではもちろん、各プロダクション/ポストプロダクション間でも、画や色についての統一した基準を設定することだと思います。基準をどこに置くか、その調整等がバラバラではせっかくのクオリティー、可能性も生かしきれない結果となってしまいます。決して簡単なことではありませんが、たとえば用途や目的に応じて各種のモードを用意してもらうとか、あるいはソニーが主導して統一の調整基準を作成するといった方法も考えられるのではないでしょうか。大いに期待しています。

マックレイ株式会社

マックレイ株式会社

2004年、株式会社レイより分割分社化することで創業したポストプロダクション。ダークファイバで結ばれた五反田・西麻布・天王洲の3つのスタジオに撮影部、グレーディングルーム、オンライン/オフライン編集室、MAなどの設備を保有し、CMや番組制作を中心にブルーレイ・DVD制作まで幅広い映像コンテンツ制作に活躍されています。また、2011年からはイベント・コンベンション・展示会等、企業向けの映像企画を担当するブレントユニット部門も活動を開始しました。

http://www.mcray.co.jp/