放送・業務用モニター

ソニーPCL株式会社 様

プロダクション

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次世代のハイエンドコンテンツ制作を目的にオープンした208編集室に 4K編集用メインモニターに56型高解像度液晶モニターSRM-L560を採用

ソニーPCL株式会社 様

ソニーPCL株式会社様は2009年6月、同社映像センター内に、3D/4Kなど新世代のハイエンドコンテンツの編集・制作を主目的とする新編集室「208 3D/4K対応編集室」をオープン。4K編集用のメインモニターにフルHDの4倍、QFHD(3840×2160ドット)解像度の56型高解像度液晶モニターSRM-L560を採用し、運用されています。

デジタルプロダクション事業部 ビジュアルソリューション部 統括部長 小川尚人様、同部 チーフHDスーパーバイザー諏佐佳紀様、同部 ポストプロダクション技術1課 カラーリスト金田 大様に、4K制作の現状とともに、4K編集用モニターとしてSRM-L560を採用された目的と用途、運用状況や成果、4Kモニターとしての評価などを伺いました。

4K解像度の特性をそのまま目で確認し、編集できる環境を提供するために
メインモニターとして56型高解像度液晶モニターSRM-L560を導入


お話を伺った(左から)ビジュアルソリューション部 統括部長 小川尚人様チーフHDスーパーバイザー諏佐佳紀様、カラーリスト金田 大様

当社が、ポストプロダクションを主業務とする映像センターに新たに「208 3D/4K対応編集室」をオープンした目的は、次世代コンテンツへの対応にあります。具体的には、すでに映画やスポーツ、ライブイベントなどで大きな話題を集めている3Dコンテンツであり、もう一つがハイビジョンの4倍の解像度を誇る4K(4096×2160画素)コンテンツです。どちらも当社のビジネス戦略において欠くことのできない新機軸であり、同編集室でいち早く、かつ本格的に対応することが狙いでした。そこで、HD-SDIデュアルリンクシステムを採用し、3D/4Kの編集のみならず、カラーコレクションやモニタリング、上映まで可能なシステムを構築。クリエーターの意図を忠実に表現した高品質の3D/4Kコンテンツ制作が可能にすることを目指しました。

前述したように、3Dコンテンツは国内外のエンターテインメントの世界で大きな注目を集め、コンテンツの制作、上映が活発に行われています。一方、高精細で高解像度な4Kの映像も、特にイベントや博覧会における大型展示映像や企業内の映像ライブラリー、さらには放送の世界でも徐々に関心と需要が高まっています。しかし、現時点では3Dのように本格化するには至っていないのも事実です。世界的な経済環境の悪化という背景もその要因の一つですが、やはり4K素材を受け取り、編集できるポストプロダクションが国内に存在しなかったなど設備や機器、そして人材が不足していることが最大の理由だと思います。当社は、こうした状況を打開するとともに、他社に先駆けることが逆にビジネスチャンスと考えて同編集室をオープンしました。イベントの企画や運営を行うクリエイティブ事業部と連携することで、効果的で効率の良い4Kコンテンツ制作の環境をお客様に提供することができるようになりました。


QFHD解像度(3840×2160)により、高精細な映像を再現するSRM-L560

4Kの魅力は、改めて言うまでもなくハイビジョンの4倍という高精細で高解像度な映像にあります。4Kコンテンツ制作システムにおいて、基本的な要素の一つとなるのが、この4K映像の特長・特性をそのまま目で確認することができるモニターの存在となります。そこで、同編集室の編集用メインモニターには、フルHDの4倍、QFHD(3840×2160ドット、829万画素)解像度の56型液晶パネルを採用したSRM-L560を採用しました。4K/QFHDモードでは、4Kフルピクセル(4096×2160ドット)表示も可能であり、素材の確認から編集、カラーグレーディングのモニタリングに最適であると判断しました。さらに10ビットのパネルドライバーなどを搭載することで、より細やかな階調、色調を実現している点もSRM-L560採用の決め手になりました。

4Kコンテンツのパイロット版制作や企業の展示映像、研究・検証用コンテンツ制作などで稼働
SRM-L560の高精細・高階調、忠実な色再現にクライアントも高い評価

4Kに対する映像クリエーターの関心は非常に高く、イベントにおける大型映像の関係者だけでなく、放送から企業の展示映像、ライブラリーなど幅広い分野から問い合わせやオファーをいただいています。やはり新しいテクノロジーであるため、4Kの特長・特性を実際に確認したいというお客様が多いようです。4Kでどんな映像が撮れるのか、編集するとどうなるか、効果的な上映方法、制作にかかる時間と費用、ワークフローなどに関心が寄せられており、これまでの業務でもそれらを実地に試してみるパイロット版映像や実験用映像などが主体になっています。

たとえば、将来の放送を視野に入れた4Kコンテンツのパイロット版制作もその一つでした。撮影から編集、仕上げまでを行う中で、4Kコンテンツ制作のノウハウを蓄積するのが主目的でした。また、企業の展示映像についても、HDよりも高精細な映像でライブラリーしたいという要望が高まっており、実際に4Kで制作し、納品したこともあります。さらに、コンサート会場の様子を4Kで撮影し、どれぐらいの解像度、表現力を持つか検討したり、企業の研究開発用の4K映像制作も行いました。クライアントの方々も、SRM-L560の高精細な画像、ディティールの再現性の良さなどに十分満足されており、改めて4Kの魅力を再確認する機会を提供してくれたと思っています。同編集室の稼働率が非常に高いこともあり、SRM-L560を編集室の外に運んでクライアントに見てもらったこともありました。ピクセル・バイ・ピクセルで見ることができること、56型という大きさも、4Kを見やすく、確認しやすいという点で利点の一つにあげるスタッフ、クライアントも少なくありません。

SRM-L560は、デジタルシネマ用途にも対応した広色域やDシネモードといった機能も充実しています。現状のワークフローでは、Rec709を基本にしてマスタモニターから一貫する運用なので使用するケースはありませんが、将来的なことを考えればありがたいと思っています。Dシネモードについても同様で、DCP制作に運用するといったケースの時に有効だと思います。また、設定や調整を行うソフトウェア「SRMマネージャー」も、初めて使う人でも直感的に入力切り替えなどを行うことができるGUIになっていると感じました。

蓄積した4K制作のノウハウを活用して大型映像制作などに積極展開
本格的4Kカメラと収録メディアのラインアップなどに大きな期待


LEDバックライトと10bitドライバーにより、広い色域と高階調を表現するSRM-L560

SDからHDへの移行期に、コンテンツ制作の設備や環境、ワークフローが大きく変化したように、HDからさらに解像度な大きな4Kに移行するのは決して簡単なことではありません。データの受け渡しではどんな方法が速く効率的か、といった細かな点にまで経験やノウハウが必要になってきます。先行投資する形で208 3D/4K対応編集室をオープンし、稼働してきたことで4K制作のノウハウを豊富に蓄積することができました。特に、4Kビューワー、4K編集用モニターとしてSRM-L560を使うことで「本当の4Kの画」を見る目を養い、その特長・特性をきちんと判断できる目を持てるようになったことは大きいと実感しています。今後、当社が4Kコンテンツの本命と考えているイベントなどでの大型映像制作に有効に活用していきたいと思っています。

4Kビジネスがいよいよ本格化するためには、ラインアップの充実も欠かせません。特に、撮影・収録を行う4Kカメラと記録メディアは重要な役割を担います。本格的な4K解像度で撮影できるカメラと、使い勝手に優れた記録メディアが登場すれば、4Kコンテンツは幅広いアプリケーションで活用されるようになるのではないかと思います。当然、撮影現場におけるモニタリングなど、SRM-L560クオリティーの4Kモニターラインアップの拡充にも期待しています。