中継や収録時のカメラモニター、ソースモニター、監視モニターとして7.4型業務用有機ELモニターPVM-740を5台導入し、本格運用を開始
数多くのスポーツ中継や収録現場で活躍するR-8中継車
株式会社 東通様は2010年11月、中継技術部門に7.4型業務用有機ELモニターPVM-740を5台導入し、中継・収録時のソースモニター、あるいはクレーン等の特機運用におけるカメラオペレーション用モニターとしてなど、幅広い用途で本格運用を開始されました。
ビデオエンジニア、カメラマンとしてすでにPVM-740を活用されている同社 現業本部 中継技術事業部技術部 高橋和同様、同事業部映像部 矢野未奈実様に、PVM-740導入の目的や用途、実際に使用した上での評価や、運用の成果などを伺いました。
中継用カメラのモニタリング用PVM-740。CRTよりもフォーカスが合わせやすかった
スポーツ中継やライブ収録の現場では、ソースモニターやカメラのビューファー代わりとして、コンパクトな9型クラスのモニターを多用します。昨今は、業務用液晶モニターを使用するケースが増えています。省スペース・低消費電力で使い勝手に優れているのが液晶モニターの魅力で、性能面も向上していますが、やはりパネルの特性や原理的な面から画質に不満を覚えることも少なくありませんでした。特に、黒の浮きや残像感、そして視野角の狭さは、多くのスタッフのストレスの要因になっていました。
こうした背景から、ソニーがPVM-740を発表した時には大いに注目しました。有機ELパネルを使い、最新のモニターテクノロジーが投入されていることで前記の悩みを解消してくれるのではないかと考えたからです。そこで、発売と同時にデモンストレーションを行ってもらうとともに、部内で実証テストも行いました。画質はもちろん、インターフェースや機能面、操作性などについて詳細に検討した結果、液晶に対して感じていた不満を解消するだけでなく、CRTと比べても遜色ないと判断することができましたので導入を決定しました。
PVM-740の最大の魅力は、画質がとにかくきれいで、見やすく、分かりやすいことでした。特に、黒の締まりの良さは、有機ELパネルを使った自発光方式ならではの特長です。また、優れたコントラスト性能、白の美しさに象徴される広いダイナミックレンジも実感することができました。さらに視野角についても、通常の業務における範囲でなら色の変化といった不具合を感じることはないだろうと判断できました。
CRTよりも外光の影響は受けにくいPVM-740
PVM-740を導入して間もない段階ですが、幅広いアプリケーションで威力を発揮しています。直近の運用例の一つに、静岡で開催された駅伝大会の中継があります。この時は、移動車に搭載したリモートカメラのビューファーとして使用したのですが、PVM-740の性能を実感する良い機会となりました。何よりも、黒に代表される優れた色再現性、優れたコントラスト性能で画質がきれいで見やすいので、ストレスを感じることなくカメラのオペレーションに集中できたことです。
また、液晶モニターでは難しかったフォーカス合わせにも十分に対応することができました。PVM-740は画像の輪郭をよりはっきりさせるフォーカスアシスト機能も搭載していますので、今後幅広いアプリケーションでビューファー代わりに運用できるのではないかと思います。また、移動車では有力選手を追ってカメラを振ったり動かしたりするのですが、カメラが揺れても残像感が気になることもなく、動画応答性の良さも実感することができました。
もう一つ強く印象に残っているのが、外光に対しての実用性の高さです。移動車の中には外光がかなり入り込んできます。この時には遮光フードを用意していなかったのですが、それでもアングルや映像の確認に支障がありませんでした。CRTのような管面反射もありませんから、屋外撮影でもビューファーやピクチャーモニターとして有効に使えるのではないかと思いました。
これだけ高精細で高コントラストな画質なので、目が疲れてしまうかもしれないと思ってもいましたが、まったくの杞憂でした。駅伝のような長時間の撮影でも、モニターによる疲れやストレスはまったく感じませんでした。
中継技術事業部技術部 高橋 和同 様(写真右)
同事業部映像部 矢野 未奈実 様(写真左)
カメラのビューファー代わりに運用した例では、コンサートのライブ収録もありました。クレーンカメラのオペレーションモニターとして運用しましたが、小型・軽量で設置しやすいだけでなく、見やすい画質でスムーズに撮影することができました。また、ライブ収録のオペレーションは低照度の環境で行うことが多いのですが、こうした暗い場所でもLED自照式ファンクションボタンとメニュー選択ツマミでスピーディーに作業できました。こうした細かな配慮も、PVM-740の使い勝手の良さを実感させてくれる点です。
そのほか、ビデオエンジニア用のソースモニターとしてもPVM-740を稼働しています。アイリス調整も十分可能である高精細な画質は、こうした用途でもやはり大きな魅力です。また、実際の業務ではまだ使用していませんが、ウェーブフォーム表示や8chオーディオレベル表示など多彩な機能、3G/HD/SD SDIやコンポジット(ビデオ)、HDMIの各入力信号に対応できる充実したインターフェースにも満足しています。スピーカーとヘッドホンの音声出力も対応しているので、最終端や収録用VTRの監視モニターとしても有効に使えるのではないかと期待しています。
今後、9型クラスのCRTや液晶モニターを更新する際には、有機ELモニター「PVM-740」が有力な候補となることは間違いないと思いますし、中継車のソースモニターとしても有効だと思います。同時に、有機ELモニターのラインアップをPVMシリーズだけでなく、マスターモニターBVMシリーズにも拡大して欲しいと思っています。今回PVM-740を導入、実際に業務で運用してみて、有機ELモニターには、それだけ大きな可能性が秘められているのではないかと感じています。
株式会社 東通
テレビ技術を専門とする制作プロダクションとして1962年に設立。ドラマ・スポーツ・バラエティー・情報番組など、幅広いテレビ番組の制作技術、ENG制作、中継技術等で活躍するだけでなく、デジタルシネマ、CM制作、VP制作など、幅広いデジタルコンテンツ制作を手がけています。