Vol.002三原康裕
靴
靴の形は変わりやすいもの。伸び過ぎて靴の中で足が遊びやすくなってしまうことを防ぐため、裏に薄いしんを張り、裏革が伸びても表革は伸びないように工夫されている。
木型撮影
素材
素材
体重をのせて歩くための靴は、履いていくうちに必ず変化する。そのため「ボロボロになることも遊べる靴」を考えたり「風化していくのが楽しみな革」を選んだりするのだという。
靴
一点ものを量産すること
 
三原康裕三原(以下M):靴とかファッションの世界では、デザイン性の考え方というのはほとんど出尽くされてしまったんです。じゃあ次は何かというと、もう一度「作ること」という根本に戻ってみようと。作るのが楽しくて入った世界だから、デザインを机の上で描いて完成を待つだけでは欲求不満になっちゃう。作ること自体にもデザイン性があるし、作る工程に今までの常識とは逸脱した考え方を投入することによって、また新しいデザインが生まれる、ということがあると思うんですよね。
だから一般的に思われるグラフィック的なデザインだったり表面的なデザイン、アッパーの革はどれにするとか、フォルムをどうするかというのは、自分ではもう最終的な作業だと思っていて、その前の工程が大きな流れを作るんです。
新しい工程を作ろうと考えられたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
 
三原康裕M:そうですね。僕は大学までファインアートで美術を勉強していて、ある意味、作るものは一点物ですよね。ずっとやっていると、ある程度のところで自分のマスタべーションの世界と周りの文化について考えたりするんです。それまでの自分には量産物に対して反発する気持ちがあったのですが、一点物を作り続けることに対して美学があるかというと、そこも不確かな世界になっている。それなら、量産できないものを量産していくということが、より大量生産に対してのアンチテーゼでもあれば、自分の中で今から進歩させていける考え方でもあると思った。それを本当にやっていくことなんですよね。
今の時代、どんな3次元のものでもデザインすることはできる。ただ、作る工程の中に量産できない工程があったりするんです。普通の会社だったらできないことであったり、海外ではできない技術であったり。そのできないことを駆け引きしながら開発して、新しいもの、技法を生み出す。それは別に世界に普及する必要はないし、自分の会社だけで終わってしまってもいいんです。
では最後に、サイバーショットについてはどんな感想をお持ちですか?
 
M:サイバーショットのような電機製品は、3次元的なデザインのみじゃなくて、中の構造が4次元的にも考えられるソフトの世界だったりするので、これからもどんどん発達していけますよね。もし10年前だったら、こんな小っちゃい形にこれだけの技術を詰め込むことは無理だったでしょうし。これも作る工程というものを進歩させていって出来た形だと思います。
靴づくりの過程では、サイバーショットを活用されていらっしゃいますか。
 
三原康裕M:靴の素材や、街角スナップみたいなものを撮ることが多いのですが、メモ帳代わりに使ってますね。いいなと思うものがあると、パッと撮影してすぐに見られるから。以前は小さなカメラを使っていたんですけど、現像したりしないから、ふと思ったら1年前のフィルムが出てきたり(笑)。使い方も触っていれば感覚的にわかる。欲を言えば、マイクの入力端子があればいいかな。バックに入れて持ち歩いていて、よく友達をムービーで撮るんですよ。
  今日は大変貴重なお話をありがとうございました。
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