アルファ
デジタル一眼レフカメラの“真打ち”を目指す
初年度でレンズ20本以上を計画
勝本 徹 プロフィール
ソニーのデジタル一眼レフカメラ事業は2005年7月、当初はコニカミノルタさんとソニーの共同開発という形で出発しました。私がその時から感じているのは、お互いの企業文化によく似ている点が多いということでした。ソニーは常に新しいものにチャレンジするという伝統がありますし、コニカミノルタさんも世界で初めてのAF(オートフォーカス)一眼や、独自の手ぶれ補正など新しい技術に挑戦されてきた歴史があります。経験の差はありますが、一眼レフカメラに対する強い思い入れも共通していました。出身こそ違っても気持ちに多くの共通項がある両者が融合して、いま各部門で事業を推進しています。

一眼レフカメラは、レンズとアクセサリーを含めたシステム全体が一つの商品です。2、3本の交換レンズとボディーを出しただけでは、とても一眼レフカメラの文化とは呼べません。私たちは、この夏の発売後初年度で、交換レンズ20本以上をご提供していくことを計画しています。加えてソニーとして新しく出すレンズの他に、世界で累計1,600万本を販売した既存のαレンズを使っていただけることも、お客様にとって魅力のあることだと思います。
一眼レフカメラの"真打ち"になる
この新しい事業部ではいま、ひとつのスローガンを掲げています。それは「デジタル一眼レフカメラの"真打ち"になる」というものです。私は"真打ち"に3つの意味を込めました。

まず、1つ目。まだ私たちは一眼レフメーカーとしては駆け出しの身ですが、いつか一眼レフカメラメーカーの誰もが認める実力者の仲間入りをしたいという私たちの決意を込めています。
2つ目は製品を作っていく上では、伝統芸能である落語の担い手のように、一眼レフカメラの伝統と文化を尊重し、一眼レフカメラのお客様が本質的に望んでいる性能や期待値にしっかりと応えていくという基本方針を堅持しようということ。
3つ目は、落語の真打が高座の最後に登場してくることに因んでいます。一番の実力者、人気の持ち主。それが真打ちです。私たちはデジタル一眼レフカメラとしては最後発になりますが、最後に出てきたからには、お客様に真打ちとして認めていただける程の実力を見せる、そんな覚悟も込めたのです。

その上で、ソニーならではの「チャレンジ」を少しずつ加えていきたいと考えています。例えば、一眼レフカメラのヘビーユーザーの皆様に納得していただけるように一眼レフカメラの伝統を守りながらも、ひとつ突き抜けた新しい価値を。また例えば初めて一眼レフカメラを使った時の感動を多くの人に楽しく体験していただくための新しい試みを。さらにその感動に触れたお客様が笑顔になること。これらも"真打ち"が果たすべき仕事だと、私は考えています。
一眼レフカメラ事業とは、システムを維持・発展させること
年月を経てボディーは代替わりしても、レンズはお客様の資産となっていきます。そのためソニーに求められるのは継続、つまりレンズ、アクセサリーを含めたシステム全体の維持と発展です。一眼レフカメラに参入するということは、お客様との間に、この事業を永続させるというコミットメントを交わすことだと考えています。私が自分からこの仕事を辞めることは絶対にありませんし、事業部ではすでに、マインドや技術の伝承を担う若手の人材育成も積極的に行い、次代への継承も開始しています。
「α」は、ギリシア文字の1文字目で「始まり」という意味であると同時にABCのA、つまり最も優れたもの、「最重要」を表わす言葉でもあります。これは、真打ちにつながります。この「α」という名前を、私たちは大切に守り、育てていきたいと強く思っています。

この夏、全世界に向けた、新しいソニーのデジタル一眼レフカメラが誕生します。
多くの皆様に手にとっていただけるものであると確信しておりますので、ぜひご期待ください。
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