フォーマットについて RDR-GX7


DVD規格の構造には、物理フォーマット/論理フォーマット/アプリケーションフォーマットの3層のフォーマットがあります。
物理フォーマットは、作文をする際に使用する「紙」のようなものです。「紙」にはDVD-R/DVD+R/DVD-RW/DVD+RW/DVD-RAMなどの種類があり、それぞれ素材、形状の違いがあるため特性が異なります。例えば、DVD-RWに書いた文章は何度も書き直すことができますが、DVD-Rはその素材の特性上、いったん文章を書いてしまうと2度と文章を書き換えたり、消したりすることができません。
論理フォーマットは、文字を「紙」に書き込み、読み出す際に必要となる罫線のようなものです。「罫線」のない「紙」に整然と文章を書くことはできません。この「罫線」は文章を紙の上にどのように書いたらよいかを規定し、文章の読み書きをサポートします。UDF/ISO-9660などがこの「罫線」にあたります。
アプリケーションフォーマットは、文章を書く際の「言語」のようなものです。DVD-Video/DVD Video Recording(VR)/DVD-Audio/DVD+RW Videoなどがこの「言語」にあたります。例えば同じ内容を文章にするにしても、「DVD-Video」語で書くか「VR」語で書くかによってその特性が違ってきます。例えば「DVD-Video」語は、DVDプレーヤー界の母国語のようなものであり、基本的にすべてのプレーヤーが読めるという特徴があり、「VR」語は文章の推敲が自在にできる(コンテンツの多彩な編集ができる)という特徴があります。
この章では、上記3層のフォーマットについてそれぞれ細かく解説していきます。
DVDの規格は3層のレイヤーで構成されています

物理フォーマットは、メディアの物理的な形状や特性を規定します。ディスクメディアである記録型DVDの外形寸法は全てCDと同じ;直径120mm(または80mm)、0.6mm 2枚の貼り合わせで厚み1.2mmですが、ディスクの記録膜素材、表面構造にそれぞれ違いがあります。
再生と記録の仕組み
ディスクからの信号の読み出しは、音楽CDやDVDビデオソフトなど再生専用メディアと同じくレーザー光を盤面に照射して、その反射光の変化からデジタルデータの「0」と「1」を読み取ります。
ディスクへの記録は、信号を読む時よりも強いレーザー光で記録素材を熱することで行います。
追記型ディスク(DVD-R/DVD+R)は、記録膜素材として有機色素が用いられています。有機色素は強いレーザー光を照射されると化学変化が起こり、これにより読み取り時のレーザー光の反射率が変化します。一度化学変化を起こした有機色素は元に戻りません。
書き換え型ディスク(DVD-RW/DVD+RW/DVD-RAM)は、相変化化合物を素材としています。相変化とは、記録膜を結晶状態とアモルファス(非結晶)状態との間で行き来させること。強いレーザー光で急速に熱し、素早く冷ますと結晶状態の素材がアモルファス状態となり、弱いレーザー光でゆっくりと熱し、徐々に冷ますと再び結晶状態に戻る変化です。結晶状態と、アモルファス状態ではレーザー光の反射率が異なり、デジタルデータの「0」と「1」を表現できます。書き換え型ディスクは、こうした相変化を利用しているため書き換えが可能なのです。
有機色素の化学変化を利用する追記型
記録素材の相変化を利用する書き換え型
ディスク表面構造の違い
市販DVDビデオソフトなどの再生専用DVDの物理フォーマットは、音楽CDやCD-ROMなどと同じく、メディア上に記録ピットが連続して置かれています。このピットを光学的に読み出していくことでデータを再生します。
それぞれの物理フォーマット
記録型DVDにおける物理フォーマットは、大きく分けて「ウォブルグルーブ方式」のDVD-RW/-RとDVD+RW/+R、「ウォブル・ランドグルーブ方式」のDVD-RAMの2つに分類することができます。ディスクの構造は、次のようなものから構成されています。ランド(でっぱり)、グルーブ(溝)、ピット(記録点)、ウォブル(蛇行)。ウォブルグルーブは記録時のレーザー光線がトラックを正しくたどれるように設けられたガイドのようなもの、ウォブルというのはランドグルーブ内の円周方向の位置を表す目盛のようなものです。
記録型DVDの基本構造(ウォブルグルーブ方式)
■DVD-RW/-Rの物理フォーマット
DVD-RW/-Rの物理フォーマットは、「ウォブルグルーブ方式」が基本となっています。CD-RW/CD-Rでも採用されているこの方式では、グルーブにつけられたウォブルによって位置決め(アドレッシング)を行います。DVD-RW/-Rの位置決め(アドレッシング)では、ウォブルに加えてランドプリピット(LPP)と呼ばれるランド部分の途切れも用いています。記録ピットはグルーブのみに置かれます。トラックピッチは0.74μm(マイクロメートル)とDVD-ROMと同じです。反射率はそれぞれ、DVD-RはDVD-ROMのシングルレイヤー、DVD-RWはDVD-ROMのデュアルレイヤーと同じです。すなわち物理的にはかなり再生専用DVDに近い構造といえます。

■DVD+RW/+Rの物理フォーマット
DVD+RW/+Rの物理フォーマットはDVD-RW/-Rと同じく「ウォブルグルーブ方式」が採用されています。トラックピッチも0.74μmと同じです。DVD+RW/+Rが、DVD-RW/-Rと大きく違う点は、グルーブにつけられたウォブルの蛇行がDVD-RW/-Rよりも細かく(高周波に)なっているところです。これは記録時の位置決め(アドレッシング)精度を高める目的で「高周波ウォブル」という方式が用いられているためです。ウォブルの細かさは、CD-RW/-Rの37.1倍と定められており、記録密度がCD-RW/-Rよりもはるかに高いDVDながら、常に高い精度での位置制御を可能にしています。この高周波ウォブルにより、「ロスレスリンキング」という継ぎ目がほとんどないデータ追記技術を実現しています。「ロスレスリンキング」はランダム記録が頻繁に行われるパソコンのデータ記録で、データエラーの発生率を抑えることができます。「ロスレスリンキング」はDVD+RWフォーマット上、必須として規定されています。なおDVD-RWフォーマットでは、「ロスレスリンキング」はオプションです。

■DVD-RAMの物理フォーマット
DVD-RAMの物理フォーマットは、「ウォブル・ランドグルーブ方式」が採用されています。「ランド」と「グルーブ」というディスク上の2つの“ライン”に記録ピットが形成されているのと、トラックピッチが0.615μmというのが、これまで説明してきたディスクとは異なる点です。DVD-RAMでは、それに加えて、「ZCLV(Zoned Constant Linear Velocity)」という回転制御方式や、記録トラックを分断する形で設けられたアドレスエリアの採用などにより、再生専用DVDとはデータ配列が大きく異なっているので、DVD-RAMを読み出すには専用機構が必要になります。DVD-RAMは、再生互換よりも多くの書き換え回数を確保することを優先させたフォーマットといえます。
各ディスクの物理的な構造の違い

トラックピッチが等しいなど、物理的な構造が似ているということは、DVDプレーヤーとの高い互換性につながります。

論理フォーマットとは、DVDに記録する際に使用するファイルシステムの規定です。ハードディスク、フロッピーディスク、CD-ROM、DVD-ROMなどに記録されたデータはすべて0と1のビット列で記録されています。このビット系列データを意味のあるデータの集まり(=ファイル)としてまとめ、ユーザーがデータの読み書きや編集などの操作をファイルに対して行えるようデータを管理するのがファイルシステムです。使用されるファイルシステムは記録媒体や用途によって異なります。以下はDVDに関連するファイルシステムの規定(ファイルフォーマット)の例です。
■UDF(Universal Disk Format)
OSTA*によって提案された汎用ファイルフォーマットです。UDFは、主にDVDを対象に異なるOS間でのデータ交換を可能にすることと、光ストレージ各種で共通にデータを扱うことを可能にすることをコンセプトとして規格化されました。
●UDF Ver1.02
DVDビデオで用いられているファイルフォーマットです。記録型DVDでも再生互換を有するもので採用されています。
●UDF Ver2.00
DVDフォーラムで規定されたリアルタイム録画用のアプリケーションフォーマット「DVD Video Recording」フォーマットで使用されています。ランダムライト・リードと欠陥交換処理(スワップ)を実現しており、メディアをフロッピーやMOのような感覚で使用することができます。

*Optical Storage Technology Associationの略で、光ストレージ用ファイルフォーマットの世界標準規格を策定する機関。

■ISO-9660
ほとんどのCD-ROMで採用されている汎用ファイルフォーマットです。1986年にフィリップス、ソニー、マイクロソフト、DEC、アップルなどによって提案されたハイシエラフォーマットが原型となっています。後にこれがISOによって世界的な標準規格と認定されました。

■UDFブリッジ
読み出し再生専用ディスクを前提とした論理フォーマット「UDF Ver1.02」と、「ISO-9660」の両方のアクセス手段を提供するフォーマットです。広く普及しているCD-ROMのファイルフォーマット「ISO-9660」互換のアクセス手段を採り入れることによって、UDFをサポートしていないシステムでもDVDが利用できるようにしました。

DVD(Digital Versatile Disc)は、動画、音声に限らずさまざまなデジタルデータをディスクに収めることが可能です。アプリケーションフォーマットとは特定の使用用途を目的とした規定を詳しく定めたものです。たとえば、DVD-Videoフォーマットは、当初、再生専用で映画を収めることを主目的として策定されたアプリケーションフォーマットです。他にも音楽を収めるためのDVD-Audioフォーマットなどがあります。DVDの機能、すなわち「できること」、「できないこと」は、どのアプリケーションフォーマットを用いるかによって大きく変わってきます。ここでは、現在DVD記録に用いられている3つのアプリケーションフォーマットについて説明します。
■DVD-Videoフォーマット
DVD-VideoフォーマットはDVDファミリーのROM用アプリケーションフォーマット第1号として制定されました。目的は、映画1本を高画質・高音質で1枚のディスクに収録することにおかれました。こうした背景により市販のDVDビデオソフトとそれを再生するDVDプレーヤー等の機器で用いられています。画像の圧縮方式には高画質なMPEG-2方式が用いられており、水平解像度約500TV本の高品位な映像クオリティを実現しています。音声は、リニアPCMオーディオに加えてドルビーデジタル方式の5.1chサラウンドなどが採用されており、迫力のある音場再現を可能にしています。こうした高画質・高音質を背景に、マルチ言語、マルチストーリー、マルチアングルなどインタラクティブな機能を実現しています。
このDVD-Videoフォーマットは、当初再生専用として制定されましたが、現在では民生用のDVDレコーダーでDVD-RW/-Rの記録用アプリケーションフォーマットとしても用いられています。最大の特長は、既存のDVDプレーヤーでの再生互換性が高いことです。これは、もともとDVDプレーヤーでの再生用のフォーマットであるため、当然といえば当然のことといえます。ただし、記録途中の段階(仮の状態)ではDVD-Videoフォーマットとして互換性のあるデータ配置になっていません。よって他のDVDプレーヤーで再生するためには、仮の状態からフォーマットで規定されたデータに配置しなおすための「ファイナライズ」という作業が必要です。

■DVD+RW Videoフォーマット
DVD+RW Videoフォーマットは、DVD+RWディスクでの動画像記録用途としてフィリップス社が策定したフォーマットです。主にパソコン用途の分野では「+VR」フォーマットと呼ばれることもあります。このDVD+RW Videoフォーマットは、既存のDVDプレーヤー、パソコン用ドライブでの再生互換性を確保しつつ、リアルタイム記録、追記、書き換えを実現している点が最大の特長といえます。また、ディスク上でのデータの終わりを示すリードアウトの記録などの処理を行うファイナライズは、ユーザーが操作する必要がないよう、自動的に行う仕様となっています。これにより、レコーダーから取り出したディスクは他のプレーヤーでそのまま再生が可能であり、再度レコーダーに入れると追記も可能という柔軟性も持っています。さらに、記録したコンテンツを同じディスク上で簡単な編集をすることもできます。

■DVD Video Recordingフォーマット
DVD Video Recordingフォーマット(略称VRフォーマット)は、DVDフォーラムが動画像のリアルタイム記録用として策定したものです。このフォーマットは、DVD-RWとDVD-RAMで用いられており、論理フォーマットの項で説明したUDF Ver.2.00のランダム記録の実現と合わせて、記録したデータを任意の位置で分割できるという特長があります。これにより、記録したコンテンツの多彩な編集が可能です。ディスク編集の機能としては、記録したデータそのもの(オリジナルデータ)を加工するだけでなく、オリジナルには手を加えずに多彩な編集が行えるバーチャル編集機能のプレイリストも用意されています。その他、2ヵ国語放送音声の同時記録、1タイトル内での異なるアスペクト比の混在、「1回だけ録画可能」のコピー制御信号が含まれる映像の記録、といったテレビ録画のための機能が充実しています。ただし、記録と編集の機能充実を目的としているためDVD-Videoフォーマットとは異なる部分が多く、結果的に既存のDVD再生機器との互換性ありません。しかし、最近は、VRモードで記録したディスクにも対応したDVDプレーヤーがソニーをはじめ登場して来ています。ソニーは、今後発売するDVDプレーヤーに、VRフォーマットの再生機能を積極的に搭載予定。VRフォーマットの再生環境も整っていくものと思われます。

※上記の機能はフォーマット上実現が可能な機能です。レコーダー個々の仕様によって搭載される機能は異なります。

ソニーは高品質なディスクを商品化
ソニーでは、DVD-R/-RW/+R/+RWのメディアをすでに商品化しています。DVD-RとDVD+Rでは高感度色素記録材料、DVD-RWとDVD+RWでは高性能相変化記録材料を採用することにより、高品質録画、安定した再生を実現しています。また、DVD-RW(VIDEO用)では、著作権保護技術CPRMに対応したメディアも商品化しています。


これまでに説明してきたことも含め、各方式の特徴を表にまとめました。

現在、家庭用DVDレコーダーで主として用いられている「物理フォーマット」、「論理フォーマット」および「アプリケーションフォーマット」の組み合わせ
一般呼称 DVDビデオ DVD-R DVD-RW DVD+R DVD+RW DVD-RAM
物理フォーマット フォーマット名 DVD-ROM DVD-R DVD-RW DVD+R DVD+RW DVD-RAM
記録仕様
(記録回数)
不可 追記型
(1回)
書き換え型
(最大約1,000回)
追記型
(1回)
書き換え型
(最大約1,000回)
書き換え型
(最大約10万回)
記録素材   有機色素 相変化化合物 有機色素 相変化化合物 相変化化合物
記録容量(12cm) 片面単層:4.7Gbytes
片面2層:8.54Gbytes
片面:4.7Gbytes 片面:4.7Gbytes 片面:4.7Gbytes 片面:4.7Gbytes 片面:4.7Gbytes
両面:9.4Gbytes
再生レーザー波長 645〜655nm 650nm/635nm 650nm/635nm 650〜665nm 650〜665nm 650nm
記録レーザー波長   650nm 650nm/635nm 650〜665nm 650〜665nm 650nm
レンズ開口数(NA値) 0.6 0.6 0.6 0.65 0.65 0.6
記録トラック ピット グルーブ グルーブ グルーブ グルーブ ランド&グルーブ
トラックピッチ 0.74μm 0.74μm 0.74μm 0.74μm 0.74μm 0.615μm
最短マーク長 0.4μm 0.4μm 0.4μm 0.4μm 0.4μm 0.42μm
セクター配置 CLV CLV CLV CLV CLV Zoned CLV
アドレッシング ピット ウォブル
ランドプリピット
ウォブル
ランドプリピット
ウォブル
(ADIP)
ウォブル
(ADIP)
PID
(ピット)
反射率 単層:45〜85%
2層:18〜30%
45〜85% 18〜30% 45〜85% 18〜30% 15〜25%
最大転送レート(倍速)*1 *2 11.08Mbps 11.08Mbps(×1)
44.32Mbps(×4)
11.08Mbps(×1)
22.16Mbps(×2)
26.8Mbps(×2.4) 26.8Mbps(×2.4) 22.16Mbps(×2)
カートリッジ なし なし なし なし なし Type 1:あり
Type 2:なし
論理フォーマット フォーマット名 UDF
ブリッジ
UDF
ブリッジ
UDF
ブリッジ
UDF
Ver. 2.00
UDF
ブリッジ
UDF
ブリッジ
UDF
Ver. 2.00
アプリケーションフォーマット フォーマット名 DVD-Video DVD-Video DVD-Video DVD
Video Recording
(VR)
DVD+RW Video DVD+RW Video DVD Video Recording(VR)
機能*2 DVDプレーヤー再生互換  
(VR再生対応機のみ)

(RAM再生対応機のみ)
ファイナライズ操作 必要 必要 不要 不要
(オートファイナライズ)
不要
(オートファイナライズ)
不要
ディスク上での編集
ワンストリームでの
2カ国語放送の同時記録
× × × ×
「1回だけ録画可能」
映像の記録
× × ×
(現時点)
×
(現時点)
*1 最大転送レートは、対応しているメディアとハードウェアの組み合わせによって異なります。
*2 各記録型フォーマットにおいて高倍速記録フォーマット検討中。
注: 上記はフォーマット上のものです。各レコーダー上で実際に装備される機能は異なります。

 

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