2017年8月掲載
安定した運用と、より高画質であることをコンセプトに中継車を更新。スポーツのライブ中継、収録、配信に運用開始。
3月に更新され、運用を開始した新2号中継車。導入後すぐにゴルフ中継収録で運用。その後サッカー中継制作に稼働中。最大8倍速のスーパースローモーション映像もこれまでにない表現力と好評です。
山陽放送株式会社様は、スポーツなどのライブ中継・収録で長年運用されてきた2号中継車を、2017年3月に更新され、スポーツ中継の収録・放送にて運用を開始しました。
同社技術局長
なお、記事は4月中旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。
スイッチャー卓。マルチフォーマットスイッチャーXVS-7000とコントロールパネルICP-X7000を採用。モニターには17型業務用有機ELモニターPVM-A170を3式と、9型マルチフォーマット液晶モニターLMD-941Wを28式配備しています。
リモートコントロールパネル8式を装備したVE卓(写真・左)と、USBコントロールデバイスPWSK-4403を配備したスロー卓(写真・右上)。収録サーバーにはマルチポートAVストレージユニットPWS-4500を2台採用しています(写真・右下)。
当社はスポーツを中心とした中継・収録に2号中継車を運用してきましたが、長年の運用で限界も見えてきました。そこで、新2号中継車への更新を行うこととしました。
更新コンセプトは、長期にわたって安定した運用ができること、より高画質であること、スタッフに作業負担をかけない操作性で柔軟な運用が可能になることでした。
こうしたコンセプトを具現化するためには、ソニーのシステム、機器の採用が最も適していると判断して、今回の新2号中継車導入となりました。スイッチャーシステムにはXVS-7000 / ICP-X7000を、カメラシステムには、マルチフォーマットポータブルカメラHDC-2500を4台と4Kイメージセンサー搭載のHDC-4300を4台導入しました。システム構成の検討中に、4K制作への拡張性も取り入れることにしました。
収録サーバーには、マルチポートAVストレージユニットPWS-4500を2台配備しました。HDC-4300との連携でこれまでにないハイフレームレート撮影に対応でき、4K収録可能な面にも注目しました。
ゴルフ収録で実運用時のマルチフォーマットポータブルカメラHDC-4300。HD8倍速のスーパースローモーション映像も好評です。PWS-4500のコントローラーPWSK-4403をライブオペレーションに活用しています。
新2号中継車は3月導入の一週間後にゴルフの収録で運用を開始しました。今思うと納車後一週間での実運用は、われわれにとって非常にチャレンジングでしたが、ソニーのサポートもあり、トラブルなく順調に稼働できました。その後もサッカー数試合で使用するなどスポーツを中心に使用しています。
今回カメラは8式導入していますが、もし一時的に追加が必要になった場合もソニー製であれば入手性やスタッフの慣れの面でも安心感があります。
スポーツ中継という面ではHDC-4300は、4K対応の2/3型イメージセンサーを搭載しており、被写界深度が求められるコンテンツにおいて映像をすみずみまでクリアに捉えることができます。
また、PWS-4500で記録することにより、最大8倍速のスーパースローモーション映像として再生できます。
実際、4倍速と8倍速でのスロー映像も使っていますが、その表現力や臨場感はこれまでに経験したことがないものでした。ゴルフでは、グリーン上のカップインのシーンでは4倍速、ティーショットを8倍速でそれぞれ撮影し、新たな表現ができると実感しました。
これまでの運用で、当社のスポーツ番組がより魅力的になっていると実感していますし、インターネットの動画配信サービスにも提供を行っています。
実運用中のスイッチャー卓(写真・上)。操作性の向上や安定した運用で好評を得ています。VE卓(写真・左下)とサブ卓(写真・右下)でも撮影映像の監視や柔軟な収録が効率的に行えると評価をいただいています。
運用を開始してまだ2ヶ月に満たない段階ですので、総合的な評価はできませんが、短期間で数多くのスポーツ中継・収録に安定した運用ができている点には満足しています。カメラマンやスイッチャー、VEなどスタッフ、オペレーターからも不満の声は出ていません。当初のコンセプトに合った中継車へ更新できたのではないかと思っています。また、今シーズンを通してのサッカー制作をはじめ、小学生バレー、ミニバスケ、テニスなど、スポーツを中心とした運用の中で、性能、機能、操作性をマスターしていくことでさらに高いレベルの番組制作に貢献してくれると期待しています。
4K制作については4Kへの拡張を考慮した構成で、機能追加により4K HDR制作が可能なシステムになっています。4K HDRコンテンツを作る場合はこの中継車で作ることになります。
ソニーには、今後はスタジオも含めてトータルでパフォーマンスの高い提案をいただきたいと期待しています。