QUALIA 006 体験レポート

“最新技術+α”という、ソニーならではの感動価値を与えてくれるQUALIA。今回、あらたにそのラインナップに加わったQUALIA 006の発表を記念して、3月11日、銀座ソニービルにて「QUALIA 006 Premium Day」が開催されました。

3月11日(金)、小雨交じりの中、銀座ソニービルのソミドホールで「QUALIA 006 Premium Day」が開催されました。
午後6時の開場と同時にイベントスペースへ向かうと、会場の中央にQUALIA 006を発見。70Vの大画面は “威風堂々”という言葉がふさわしいほどの大迫力。もちろんソニー最高峰の技術の結晶、QUALIAシリーズだけに、クールなデザインと高い質感で“QUALIAであること”をモノ好きな私に鮮烈に訴えかけてきます。これまで仕事で多くの優れたデザインにふれてきましたが、やはりQUALIAは別格。はやくもこの時点で私の物欲が刺激されてしまいました。

そもそも、このテレビから放たれるのは高画質だけでなく、愉しさや未来感などの“人を動かす感動”。このラグジュアリーなデザインに包まれた大画面に映し出される映像を想像するだけで、なんだかドキドキしてしまいます。QUALIA 006には、そんな“ソニーマジック”とでも言うべき雰囲気が満ちています。また会場には、QUALIA 006の核となる表示デバイス「SXRDパネル」の実機も展示。対角0.78インチというちいさな3枚の高解像度ディスプレイパネルと「ベガエンジンHD」で、フルHDを実現する内部構造もパネルで紹介されています。

さらに会場を見渡すと、暗幕で囲まれたスペースを発見。なかをのぞき込むと、そこはQUALIA 006+9.1chという新時代のサラウンドシステム体験スペース。さっそくトークショーの前に体験しました。そこでは映画を上映していたのですが、瞬く間に70V型に映し出された映画の世界へ引込まれ、自分を中心に音が周囲を取り囲む新次元のサウンドシステムに魅了されてしまいました。

これまで、リアプロジェクションテレビというと映像が暗い、色が眠いなどのイメージを持っていたのですが、その認識は大間違い。鮮明な色と映画館並みの迫力ある高画質は、見る者を一瞬にして映像の世界へと引込む力に満ちていました。

9.1chホームシアター体験後、メイン開場に戻り着席。しばらくしてトークショーの進行役であるソニーマーケティング(株)ディスプレイMK課の酒井氏が登場。挨拶のあと、会場は暗転し、会場の中央前方に置かれたQUALIA 006に光が灯ります。暗闇にだんだんと浮かび上がる大画面には、ブルーレイのデモンストレーション映像がくっきりと映し出され、ゲストの方々の驚きが雰囲気となって会場全体に広がるのがわかります。

そして、いよいよ「SXRD」の生みの親、橋本博士が登場。博士というと気難しい人物像をイメージしていたのですが、そのトークを聞いて、まったく違うことを実感。ご本人も口にしていましたが「ディスプレイ屋」という、どちらかといえば職人気質な雰囲気のあるお方です。
橋本博士の説明のなかで驚いたのが、QUALIA 006の描画性能。通常のテレビはRGBの信号を画面に映し、それを人間の目で合成して色をつくり出しますが、このQUALIA 006は近寄ってもRGBの画素が見えないのです。つまり、3枚の「SXRDパネル」によって、人間の目で見た自然な映像をそのまま映し出すことができるテレビ。それがQUALIA 006なのです。

その後も博士は、これまでの、そしてこれからのテレビやディスプレイというものについて、熱弁を振るってくれました。1996年から携わってきたSXRDの開発秘話、これまでにない自然で滑らかな画質、 映画のような美しさの映像、QUALIA 006のリアルHD解像度、高コントラストなどなど、その内容はマニアの方々も満足の内容。質疑応答でもゲストが納得いくまで説明してくれるあたりに、博士の人柄が感じられました。トークショーが終わったあとも、熱心な「QUALIA」ファンの方々と意見を交わし、博士自身もこのイベントを楽しんでいるように感じられました。

トークショー終了後、自由内覧時間となり、この体験会に参加していた方数名に今回のイベントの感想をお伺いしてみました。

「こんなにすごいテレビをつくった開発者の口から、制作秘話や未来のテレビについての話を聞けるのは感動もの。QUALIA 006も明るい場所、暗い場所、それぞれのシチュエーションでの映像を見ることができたので、家に置いたときのイメージがしやすかったですね。リアプロジェクションテレビといっても、画質はプラズマテレビと遜色ないし、視野角も広い。あたらしい時代のテレビを見たような気がします」

「実際の映像を見るまではさほど興味はありませんでしたが、実際に目にするとこれまでのリアプロジェクションテレビに抱いていたイメージが一変しました。メッシュ感もなく、画面に近寄ってもきちんと絵が見えるのは意外な感動でしたね。サラウンドシステムで大画面の感動を体験できるのがとてもよかったです」

「家では曲面のブラウン管テレビを使っているので、今日のイベントはとても愉しみにしていました。70V型は家に置くにはすこし大きいけど、画質は素晴らしいですね。同じ映画を観ても、まったく情報量が違うので、製作者の意図まで感じられるような気がしました。橋本博士の話も興味深く、単に展示会で商品を見るのとはまた違った良さがあるイベントでした」

そのほかにも参加された皆さんからは「すごい画質!」「大迫力」などの言葉が。今回の体験会に感動したのは私だけではなく、参加された皆さんが感動していたようです。

最後に橋本博士にお時間をいただき、インタビューしてきましたのでその内容をご報告。

いとう:今回のQUALIA 006の映像を見る際にぜひ見て欲しいポイントはどこでしょう?

橋本博士:このQUALIAで注目してほしいのは、SXRDという新時代のテレビの軸となるデバイスの力。RGBが分かれていないので映像が非常に滑らかだったでしょう? あとは締まった黒とでも言うべき画質。映画のシーンで暗い場面でも200万画素の表現力で奥行きのある映像を再現できるので、色にメリハリがあるんです。ぜひそのあたりを体感して欲しいですね。

いとう:こういったユーザーイベントに参加されての感想は?

橋本博士:一般のユーザーの方の意見が聞ける貴重な場でしたね。ぼくらみたいな開発者には“自分の信念を軸に周りの意見を取り入れる”ということが必要。ユーザーのリアルな意見とぼくたちが目指す最高の技術があるからこそ、あたらしい、より鮮やかなディスプレイが形になるんですよ。

橋本博士へのインタビューを終えて、ぼくが感じたのは“テレビという夢をみんなに見せる職人”だということ。モノに込められた熱い思いやメッセージを聞くことができるものも、この「QUALIA 006 Premium Day」ならではの魅力でした。

またQUALIAだけではなく、ソニーのモノづくりの秘密にふれることのできるイベントは、これからも続けていく予定とのことなので、今回参加いただけなかった方も次回はぜひ参加してみてはどうでしょう。“世界最高レベルの技術”と“大人をわくわくさせるソニーの力”をじっくり体感できますよ。

橋本 俊一氏
1981年 名古屋大学大学院工学研究科修了
同年4月 ソニー(株)入社 中央研究所配属
蛍光材料の研究開発に従事、CRTプロジェクションディスプレイ用蛍光材料の開発
1986年 中央研究所にて、光磁気記録材料研究開発に従事、光磁気ディスクメディアの開発
1993年 コーポレートR&D企画部門にて、全社R&D戦略策定、R&D活性化業務に従事
1996年 中央研究所ディスプレイ研究部にて、新規ディスプレイデバイスの開発に従事。その中の一つとしてSXRDの原型ともいえる、シリコン駆動反射型液晶デバイスの開発を開始。
2000年1月 事業化検討を視野にいれ、事業カンパニーの開発部門に組織移行
2001年10月 木暮プレジデントのセットカンパニー(Projector&Display Systems Company)に組織移行し、デバイスからセットまでの垂直立ち上げを基本として、具体的なSXRDの量産化検討を開始
2003年8月 SXRD(Qualia004) 量産開始
写真:酒井 博史 酒井 博史
ソニーマーケティング(株)
ホームネットワークプロダクツMK担当
ディスプレイMK課
マーケティングマネージャー
写真:いとう ゆうじ いとう ゆうじ
男性向けライフスタイルWebマガジンAll About「For M」のメインライター。プライベートや仕事を通じて、さまざまなモノと出会い、その魅力の謎を日々探求。家ではデザインに魅了されて購入したプラズマ<ベガ>を愛用。