シーテック ジャパン レポート

 10月4日より8日まで、千葉県・幕張メッセ(日本コンベンションセンター)にて映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2005」が開催されました。開催テーマは「発展するユビキタス社会。次が見える、明日が変わる。」。ソニーも出展されていると聞き、さっそく見てまいりました。
 活気あふれる会場の様子をライターの井上真花がレポートします。

鮮やかな赤がひときわ目をひくソニーブース

 わたしが会場を訪れたのは、二日目にあたる10月5日。朝からあいにくの雨でしたが、駅から会場までの道は会場に向かう人であふれていました。入場の手続きを済ませて入場すると、そこはまさに光と音の洪水。各社の最新技術や新製品が、多くの来場者を魅了していました。

 ソニーのブースは、「デジタルネットワークステージ」の「ホーム&パーソナル ゾーン」内、「ホール2」にあります。入り口にあるエスカレーターの上からみて一番奥に、ひときわ鮮やかな赤い光が見えたら、それがソニーのブースです。数多くのブースの中でも、ひときわ目をひいていました。近づいてみてわかったのですが、これはテレビの新ブランド「BRAVIA(ブラビア)」のコーナーでした。「BRAVIA」のイメージカラーが「赤」なので、こういう演出になったのでしょうね。

 私の目的である「スゴ録」のコーナーは、入り口からむかって「BRAVIA」の左隣にある「ネットワークウォークマン」コーナーの右奥にありました。

 さてさて、「スゴ録」コーナーに入ってみると、すでに多くの人たちが展示品に熱い視線を送っています。実際に新しい「スゴ録」を触って体験できるとあって、レコーダーの前に陣取って操作に熱中している人も多く見かけました。青いシャツ姿のソニーの人たちは、一人一人のお客様にとても丁寧に使い方を説明しています。さっそく私もその中に飛び込み、新しい「スゴ録」を体験してみることにしました。

ハイビジョン時代ならではのテレビの楽しみ方を提案する、「スゴ録」ハイビジョンレコーダー

 まずは、今回のCEATEC JAPANの目玉である「ハイビジョンレコーダー」コーナーを目指しました。そこに並んでいたのは、「RDZ-D90」「RDZ-D70」「RDZ-D50」の3機種。最初に、ハイエンドの「RDZ-D90」を試してみることにしました。テレビ画面には、おなじみのクロスメディアバーが表示されています。リモコンのジョイスティックキーで操作すると、画面がスムーズに切り替わります。直感的に操作できるこのメニュー画面は、新製品にもちゃんと継承されていました。

 「今回、『スゴ録』の特徴でもある自動録画機能がさらに賢く進化したんですよ」と説明してくださったのは、ホームネットワークプロダクツマーケティング部HomeAV MK課の中村芳彦さん。「もともと『スゴ録』には、キーワードなどを設定すれば、その設定にあった番組を自動的に検索し、録画するという“おまかせ・まる録”機能がついているんですが、今回の製品にはさらに学習機能が追加され、“x-おまかせ・まる録”機能に進化しました」とのこと。たとえば、ユーザーがある番組をDVDにダビングした場合、「スゴ録」は「ユーザーはこの番組をDVDに残しておきたいくらい好きなんだ」と判断して、似た特性を持った番組を積極的に録画するようになります。逆に、ユーザーが見ないで削除した録画番組は、「ユーザーの関心が低いコンテンツ」と判断し、似た特性を持った番組を積極的には自動録画しないようにするそうです。使えば使うほどユーザーの好みを見分け、本当に見たいコンテンツを狙って自動録画するというこの機能。デジタル放送の普及によって多チャンネル化が進む時代だからこそ、この機能は本当に便利ですね。


 自動録画機能でどんどん録画すると、HDDの中にたくさんのコンテンツがたまっていきます。それだと目的の番組が見つかりにくくなるのではないか、と心配になって中村さんに質問したところ、「大丈夫です。この3機種には、オートグルーピング機能がついていますから」と、リモコンの黄色いボタンを指差しました。ものは試しと、その黄色いボタンを押してみたところ、ずらりと並んでいた録画番組が姿を消し、一瞬のうちにフォルダ表示に切り替わりました。「“おまかせ・まる録”で設定した内容にあわせて、自動的にフォルダが作られ、その中に録画したコンテンツが自動的に分類されます」と、中村さん。なるほど、こうやって分類されていれば、コンテンツの数が増えても目的の番組が見つけやすくなるってことなんですね。「しかも自分で分類する手間は必要なく、『スゴ録』が勝手に分類してくれるから、とても楽ですよ」(中村さん)。もう一度黄色いボタンを押すと、今度は番組の属性にあわせてカテゴリ分けされたフォルダが表示されました。「ニュース」を見たいときは「ニュース」フォルダを、「映画」を見たいときは「映画」フォルダを選び、その中のコンテンツから探せばいいんですね。さらに、たとえば家族で使っていて、お父さんが録画した番組、録画する番組に特別なアイコンをつけておけば、そのアイコンがついたコンテンツだけを集めて一つのフォルダに格納することもできるそうです。これなら、お父さんだけが見たい番組もすぐに見つかるので、家族みんなで使っても安心です。


自分で撮ったコンテンツを、もっときれいに、もっと楽しく。

 「最近のデジタルカメラは画素数も上がり、静止画がとてもきれいに撮れるようになりましたよね。でも、せっかく撮った写真がメモリーカードやパソコンの中で眠りっぱなしではもったいなくないですか?鑑賞の仕方も単なるスライドショーではつまらなくないですか?」と、中村さん。今度の「スゴ録」には、自分で撮った静止画を、まるでプロのクリエーターが制作したようなハイビジョンムービーへと変身させる機能がついているそうです。実際に見せていただいたところ、ストーリー感のある音楽にあわせ、様々なエフェクトで加工された写真が次々と表示され、まるでプロモーションビデオのようなムービーに仕上がっていました。「これはすごい! でも、私でも作れますか?」と尋ねたら、「実際にやってみてください」とリモコンを手渡されました。まず、ムービーにしたい写真のフォルダを選び、次にBGMとして使いたい曲を選びます。作業は、たったこれだけ。あれよあれよという間に、私だけの作品が出来上がりました。「これは“x-Pict Story HD”という機能なんですが、ここでデモンストレーションをしていると、みなさん驚きをもってご覧になります」(中村さん)。実際、わたしが作ったムービーを再生している間も、いろんな人が覗き込んでいました。「しかし、あまりに出来がよすぎるので、映像製作会社が作ったデモビデオだと思われる方も多いようです」と、中村さんは苦笑します。素人が何気なく撮影した日常のショットが、これほど見応えのある作品に仕上がるのだから、それも当然の反応かもしれません。

 もちろん、自分で撮影した動画も美しい画像のままで楽しむことができます。「RDZ-D90」と「RDZ-D70」には、話題のハイビジョンハンディカムやデジタルビデオカメラで撮影した美しい映像を、テープの頭出しからダビング、終了後のテープ自動巻き戻しまで自動で行う「おまかせHDV/DVダビング」機能つき。思い出の映像を、手軽にHDDに保存することができます。遠くに住むおじいちゃん、おばあちゃんに孫の姿を見せたいときは、DVDにダビングして郵送すればOK。2パスエンコード技術を搭載してさらに画質に磨きがかかった「スゴ録」なら、DVDにダビングした映像も驚くほどキレイです。



「スゴ録」で録画した映像がPSP(R)「プレイステーション・ポータブル」で楽しめる!
新しい視聴スタイルを提案する「おでかけ・スゴ録」機能

 最後に、「RDR-AX75」にトライ。本体の隣に、見慣れた端末がありました。もしかしてこれ、PSP? 近くに立っていらっしゃったホームネットワークプロダクツマーケティング部の鈴木優輝さんに質問してみたところ、「そうです、PSPです。このAX75には、録画した番組をPSPのメモリースティックDUOに転送し、外出先でその番組を楽しむ“おでかけ・スゴ録”機能がついているんですよ」と説明してくださいました。PSPと「スゴ録」は、USBケーブルでつながれています。

 早速、「スゴ録」に録画されていた番組をPSPに転送してみました。操作はとても簡単で、録画したタイトルリストから転送したい番組を選び、メニュー画面から「転送」を選ぶだけ。とはいっても、テレビ番組を丸ごと転送するんだから、それなりに時間がかかるはず…と思っていたら、あっという間に転送完了。転送速度は、最大約30倍速とのこと。1時間番組が約2分で転送できるなんて、驚きでした。これなら、お出かけ前に見たい番組をちょいちょいと選び、PSPに取り込んでさっと外出することができますね。

 この高速転送を実現したのは、「MPEG-4 AVC」という技術。世界標準となっているこの高圧縮デジタル符号化技術により、コンテンツのデータ容量が驚くほど小さくなったのだとか。かといって画質が極端に落ちるということはなく、たった今取り込んだ番組を再生してみても、とても鮮明に見えます。映画をみるときも、字幕スーパーがはっきり見えるから、台詞の内容がわからなくて困るなんてことはありません。この「MPEG-4 AVC」データは、番組を録画する際に自動生成されるので、改めてコンバートに時間をかける必要もないんですね。

 この「おでかけ・スゴ録」機能を備えたAX75は、仕事が忙しくて「スゴ録」に録りためたコンテンツを見る時間がないというビジネスマンにとって、まさに垂涎の逸品に違いありません。実際、会場でこのAX75を見た人は、一様に「通勤電車の中でニュース番組が見られるんだね」とか「深夜に放送されるスポーツ番組も、これがあれば空いた時間に楽しめるはず」など、実際に自分が使ったときの具体的なイメージを浮かべているようでした。ちなみに私は、「スゴ録」で録画した映画をPSPに転送し、寝る前にベッドの中で楽しんでいる自分を想像してしまいました。



 今回、ハイビジョンレコーダー「RDZ-D90」「RDZ-D70」「RDZ-D50」と、「おでかけ・スゴ録」機能を搭載した「RDR-AX75」の計4機種を見せていただきましたが、共通して言えるのはやはり画質がきれいということ。特に、優れたハイビジョン高画質技術(DマトリックスNR HD)を搭載したRDZシリーズの画質のよさは、ぜひ一度実物で体験していただきたいと思いました。

 この4機種の中からどれを選べばいいかは一概には言えませんが、おそらく使い方によって違ってくると思います。ハイビジョンにこだわりたい人は、もちろんハイビジョン対応の「RDZ-D90」「RDZ-D70」「RDZ-D50」で、外にいる時間が長い人は、映像が手軽に持ち出せる「RDR-AX75」がよいでしょう。デジタルビデオカメラで撮影した映像を取り込みたい人や、これからハイビジョンハンディカムを購入しようと考えている人は「おまかせHDV/DVダビング」機能を備えた「RDZ-D90」か「RDZ-D70」がよいでしょうし、ハードディスク容量は多いほうがいいという人は「RDZ-D90」がお勧めです。

 これからは、テレビを賢く録り、賢く見る時代。今回「CEATEC JAPAN 2005」のソニーブースを見て私が感じたのは、新「スゴ録」が新しいテレビとの付き合い方、さらにはパーソナルコンテンツの活用方法を提案することによって、私たちの生活をもっと楽しく活気あるものに変えようとしているということ。ハードディスクレコーダーを単なる「ハード」ではなく、日々の暮らしに新しい風を吹き込むアイテムとして開発したあたり、とてもソニーらしい製品だと思いました。