XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

大分朝日放送株式会社 様

放送局

局内設備のHD化と、テープベースからファイルベースへのスムーズな移行のためXDCAM HD422シリーズを導入。

大分朝日放送株式会社 様

大分朝日放送株式会社様は、局内設備のHD化推進の一環として、ENGフォーマットにXDCAM HDを採用されました。現在、取材・編集をはじめとしたENG各部門にXDCAM HD422カムコーダーPDW-700、XDCAM HD422レコーダーPDW-HD1500、XDCAMドライブ PDW-U1などを配備し、報道・制作の番組づくりに有効に活用されています。

同社 技術局 技術部 副部長 後藤恭一郎様に、XDCAM HD422シリーズ導入の背景や目的、運用の成果などを伺いました。

http://www.oab.co.jp/

現在のテープベースから今後のファイルベースに緩やかに、合理的に移行できるXDCAM HDを評価


技術局 技術部
副部長 後藤恭一郎様

当社は、設備のHD化を2008年度中に完了することを当初からの基本方針としており、その一環としてENGフォーマットの選定作業を行いました。ただし、既存の設備を有効に活用できるフォーマットであることが選定条件でした。新しいフォーマットを採用することで、周辺の機器や設備を一新することはオペレーションやコストの面から非現実的です。当社の場合、報道・制作に配備されたリニア/ノンリニアの編集システムはすでにHD化に対応済みでしたから、この編集環境との整合性がとれるフォーマットでなければなりません。

この条件を踏まえて、従来のテープベースの設備やシステム、オペレーション、ワークフローを継承しつつ、緩やかに、そして合理的にテープレス化を図ることができるフォーマットとして選んだのがXDCAM HDでした。XDCAM HDであれば、既存のリニア/ノンリニア双方のHD編集システムを生かした、テープベースのワークフローをそのまま継承することができます。また、プロフェッショナルディスクは、テープと同様のハンドリングが可能なので、素材の保管・管理といった取り扱いに混乱や戸惑いが生じません。たとえば、事件や事故といった緊急時など大量に取材が発生した場合でも、ディスクを替えれば素材を残せます。これまでのテープとまったく同じ取り扱いでよいわけです。


報道・制作の取材カメラに3式のXDCAM HD422カムコーダーPDW-700を採用(写真・左)。
XDCAMドライブ PDW-U1とパソコンを使ったプレビュー端末(写真・右)。


PDW-HD1500を採用したノンリニア編集室(写真・左)とリニア編集室(写真・中央)。
また、制作用リニア編集システムにも再生機としてPDW-HD1500を採用(写真・右)。

ファイル記録ながらコストパフォーマンスに優れている点はアーカイブのメディアとしても最適

XDCAM HD採用の理由には、メディアコストもあります。テープでは20回ほどの書き換えが限界でしたが、プロフェッショナルディスクであれば1000回以上の書き換えが可能ですから、ランニングコストの観点で大きなメリットになります。

また、基本的に劣化の不安がないファイル記録の特性と、検索性を高めることができるメタデータの活用、さらにテープに比べて省スペースであることから、アーカイブのメディアとして高く評価したことも採用理由の一つです。確かに過去の素材については、テープからディスクへ書き換えていく作業は発生しますが、ディスクにすることで貴重な映像資産を効率的に管理できます。今後、二次利用を含めた資産の有効活用を推進していきたいと考えています。


テープと同様に取り扱え、コストパフォーマンスに優れたメディアとして好評のプロフェッショナルディスク。

用途や目的に応じて50Mbpsと35Mbpsを使い分け効率的で、効果的なオペレーションを実現


報道・制作のXDCAM HD422カムコーダーPDW-700。このほかに2式のPDW-F355Lが稼働中。

現在、3式のXDCAM HD422カムコーダーPDW-700を報道と制作の取材カメラとして運用中です。また、12式のXDCAM HD422レコーダーPDW-HD1500は、各編集室の再生側に導入したほか、社内ENG系のダビングシステム、収録機、サブ出し用の送出機として、あるいはSNG車などに配備しています。さらに、5式のXDCAMドライブ PDW-U1を採用し、現在は主にパソコンと組み合わせてプレビュー端末として活用しています。それと、取材カメラに、2式のXDCAM HDカムコーダーPDW-F355Lも導入しました。これは、現状4:2:0サンプリング、35Mbpsにのみ対応するノンリニア編集機を活用するためで、主にディレクター自身が編集も行う番組制作などで活躍しています。

当社の場合、報道系と制作系で機材の区分けはせず、デスクが番組の内容や用途に合わせて、取材カメラや編集機を割り振って運用することで既存の設備をフルに生かしたオペレーションをしています。たとえば、自然の美しさを伝える年間の企画物や資料映像として残したい場合は、50Mbpsの高画質が魅力のPDW-700を使用します。スポーツ競技など長尺物の取材には、2層ディスク対応で長時間記録が可能なPDW-700もしくはPDW-F355Lが便利です。一方、共同取材など他社のカメラとの整合性が求められる場合は、従来通りHDCAMカムコーダーHDW-750/730を運用するといった具合です。割り振りを決めるデスクに負荷はかかりますが、既存の設備を有効に活用することで、緩やかなテープレス化という基本コンセプトが具現化できているのではないかと思っています。

  
スタジオサブに送出用としてPDW-HD1500を1式採用。   ダビング用のPDW-HD1500。

コンピューターやノンリニア編集機の進捗に合わせて段階的にファイルベースのシステムに更新へ

運用を始めて間もない段階ではありますが、XDCAM HD422シリーズのメリットを実感しています。実際にPDW-700で撮影した映像を見ると、想像した以上にきれいでした。色の再現性、あるいは色の載り具合といったものが格段に優れていると感じました。また、違和感なく移行できている点も高く評価しています。ディスクになったことで気をつけないといけないといったことはありませんし、PDW-700でいえば2/3型対応レンズがダイレクトに装着できるので、カメラマンは使い慣れたレンズをそのまま使えます。

また、取材カメラとしての完成度も高くカメラマンに好評です。たとえば、取材で担いだ時のバランスの良さであったり、ビューファーの見やすさ、あるいはプレビューや素材の確認等で便利に使える液晶パネルなどが挙げられます。これらが効を奏して、ストレスや戸惑いなく日々の取材を行えています。

そのほか、原理的に取材の際に上書きの心配がなく、撮った素材をその場で液晶パネルにサムネイル表示して確認できること、あるいは社内に戻ってPDW-U1を使った簡易プレビュー端末で見ることができる点など、ファイルベースのオペレーションの魅力を実感しつつあります。

今後は、コンピューターやノンリニア編集機など関連テクノロジーの進捗に合わせて、XDCAM HD422シリーズを段階的に導入し、ネットワークとの親和性の高さをワークフローの改善に生かしたいと考えています。