XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

琉球朝日放送株式会社 様

放送局

報道運用をメインとしたフォーマットのHD化にXDCAM HD422シリーズを採用。報道制作に欠かせないヒューマンインターフェースを高く評価。

琉球朝日放送株式会社 様

琉球朝日放送株式会社(QAB)様は、報道での運用をメインとするHDフォーマットにXDCAM HDを採用。取材・編集・送出・アーカイブに、XDCAM HD422シリーズを3機種23台導入し、運用を開始されています。

同社 編成局次長 兼 技術管理部長 喜屋武幸弘様、同部 桑江良明様新垣斉様に、XDCAM HD採用の理由や運用の成果、各機器に対する現段階での評価などを伺いました。

http://www.qab.co.jp/

信頼性・安定性、優れたコストパフォーマンスを評価

当社は、2006年9月にマスターとニュースサブのHD化を同時に行い、予定通り2006年12月から地上デジタル放送を開始しました。以降、ほぼ3年に渡って他社製を含めた取材・編集・送出・アーカイブ化のHDフォーマットの検証・選定作業を行ってきました。その結果、XDCAM HDフォーマットを採用することとし、2009年3月にXDCAM HD422シリーズを3機種23台導入し、取材・編集・送出・アーカイブの各分野で運用を開始しました。

基本的に、ノンリニア編集・テープレス化を前提に、当社の運用上、報道に重点をおいた形で選定作業を行いました。画質をはじめとした性能面はもちろんですが、取材から送出・アーカイブまでトータルに見て、これまでのテープワークフローから移行しやすいディスクフローが、結果的にランニングコストで有利と判断しました。

XDCAM HDは、これらの条件を総合的に満たすだけでなく、棚管理によるテープのアーカイブ化を前提として、専任者を置いて素材と原稿の紐付けを行うデータベース化の作業も始めたばかりだったので、移行のしやすさがありました。プロフェッショナルディスクは、このアーカイブメディアとしての扱い易さや、信頼性の面で優れていると評価しました。


PDW-700で取材・撮影された素材は、6式のノンリニア編集機、2式のリニア編集機で編集。

報道制作に欠かせないヒューマンインターフェースにも優位

報道制作は最終的に人が行う作業ですから、導入する機器の選定ではヒューマンインターフェースも重要な要素となります。現在、ニュースサブからの送出は4式のPDW-HD1500を使って、1コンテンツ/1ディスク運用を基本にしていますが、インターフェースユニットを設置することで、どんな状態からでも[Go to Top]のボタン一つでタイムコード「00H00M00S00F」でスタンバイの状態になるように対応してもらっています。これにより、誤ってスイッチャー側でデッキの再生を走らせてしまった場合でも、[Go to Top]のボタンを押せば、すぐに頭出しができるようになり、運用がだいぶ楽になりました。本番間際に持ち込まれた素材の送出でも、素早く、確実に頭出し・送出が可能であり、特に時間に追われる生放送で威力を発揮しています。

また、メディアがテープからディスクになるだけで、操作は従来のテープデッキと同様に行うことができるという安心感もあります。細かい部分ですが、ディスクラベルに内容をきちんと書いておけるので、確認しやすい点があります。サブに持ち込まれたディスクの内容を誰もが簡単に、しかも確実に把握できることで、ヒューマンエラーを未然に防止するうえで役立っています。

こういったヒューマンインターフェースも、機器の性能・機能と同じように重要な点であり、XDCAM HDはそうした期待にも応えていると思います。


ニュースサブ(写真・左)で送出用に運用されている4式のPDW-HD1500(写真・右)。

プロキシAVデータなどXDCAMならではの特性も活用へ


取材カメラとしてXDCAM HD422カムコーダーPDW-700を4式導入。

PDW-700については、稼働を開始してまだ1週間という段階ですので評価には早いのですが、カメラマンからの評判は上々のようです。基本的な操作が、従来使用してきたHDCAMカムコーダーを継承しているので、わかりやすく使いやすいことや、担いだ時のバランスの良さなどがその理由になっているようです。

記録ビットレートは、基本的にニュースは35Mbpsで運用しています。35Mbpsにすることで編集機への取り込みなどを速くすることができ、ディスク容量の有効活用にも貢献できるなど、報道用に向いているビットレートではないかと思います。もちろん、資料映像として残しておきたい素材や内容によっては50Mbpsで撮影するなど、使い分けていきたいと思っています。

ファイル記録ならではの特性や、PDW-700に搭載されたデジタルエクステンダー、キャッシュRECといった機能は、今後の本格運用の中で取材対象に合わせて活用することで威力を発揮するものと期待しています。特に、必要なカットだけを選んでいくことで粗編集に近いことが可能なクリップリストファイルの作成は、取材から編集・送出までのスピードを一層上げてくれるのではないかと思います。

また報道では、XDCAMの特長の一つであるプロキシAVデータに対する関心も高く、実運用に向けた検討に入っています。たとえば、取材帰りの車中などで、カメラから自分のパソコンにプロキシAVデータを取り込み、原稿作成に着手するといった運用を行っています。今後、プロキシAVデータで編集をし、その編集した素材の高解像度データの部分取り込みによるワークフローも検討しています。

ファイル転送によるトータルワークフロー構築を視野に

XDCAM HDフォーマットの特長には、ファイル転送に代表されるネットワークとの親和性の高さもあげられます。現在は、ディスクを使ったサブからの送出というオペレーションですが、やはり将来的には、ネットワークによるファイル転送で送出までのトータルワークフローのスピードアップを考えています。

編集機からそのままマスターのストレージにファイル転送・登録し、サブのOTCシステムから迅速、かつ柔軟にオンエアすることができるようにしていきたいと考えています。ソニーさんには、これまで以上に運用サイドの要望を的確に反映した機器、システムづくりを提案し続けてほしいと思っています。

編成局次長 兼 技術管理部長 喜屋武幸弘様

編成局次長 兼 技術管理部長
喜屋武幸弘様

XDCAMフォーマットは、XDCAM HD422シリーズがラインアップされたことで、性能・機能がアップしただけでなく、フォーマットとしての信頼性・安定性が一段と向上しました。取材・編集・送出、そしてアーカイブまでのトータルワークフローを考えたコストパドーマンスで判断しました。性能評価の際に見落としがちな、運用上で重要なヒューマンインターフェースにも優れていると評価しました。

技術管理部 桑江良明様

技術管理部
桑江良明様

取材の帰りなどに、記者がプロキシAVデータをパソコンに取り込んで原稿作成に活用しています。また、プロキシAVデータを使って編集を行い、その高解像度データの部分取り込みによるワークフローも検討しています。

技術管理部 新垣斉様

技術管理部
新垣斉様

ニュースサブでは送出用で4台のPDW-HD1500を運用していますが、VTRテープ運用時より操作性が向上しています。生放送で運用する上で欠かせない信頼性と安心感があります。