XDCAM
映像制作機材 "XDCAM"

株式会社 新潟テレビ21 様

放送局

2013年11月掲載

ネットワーク報道制作システムSonapsでファイルベース運用を進化させ、さらに効率的な報道制作を具現化。

株式会社 新潟テレビ21 様


回線収録システムの導入でさらに効率的な編集を実現。( 写真は編集ブース)

株式会社 新潟テレビ21 様は、ネットワーク報道制作システムSonapsにより報道制作設備を更新され、2012年12月より本格運用を開始されました。

同社 報道制作局 報道制作センター 報道グループ長 山田徹様、同センター 近藤俊男様、技術局 放送技術部 担当部長 佐藤栄一様に、今回の更新コンセプト、現在の稼働状況と成果などを伺いました。

なお、記事は2013年4月中旬に取材した内容を、編集部でまとめたものです。

ネットワーク化でさらに効率的な報道制作のワークフローを構築


容量HD500 時間の新素材共有サーバー( 写真・左) と、4 系統の回線収録システム( 写真・右)。

当社の報道制作では、2007年にHD化を実施し、簡易的な素材共有サーバーと4 式のノンリニア編集システムXPRI NSを導入し、取材・編集を一貫して行える体制を整えました。XPRI NSのリニアライクなオペレーションにより従来の操作性を継承するとともに、XDCAM HD の特長を生かすことで合理的に報道のHD 化を実現することができました。また、アーカイブにおいてもプロフェッショナルディスクの棚管理を採用し、現在に至るまでにかなりの過去素材をMXFファイル化することができています。

その後も、取材機にXDCAM HD422 カムコーダー PDW-700や、プレビューやインジェスト用にXDCAMドライブ PDW-U1を導入するなど、要所でファイルベースの運用を進めてきました。

今回の設備更新は、素材共有サーバーの更新を契機としたもので、併せてより効率的な報道制作のワークフローを構築することを基本的なコンセプトにしました。スタッフからの要望を精査し、あるいはソニーから具体的な対応策を提案していただくという形でシステムの仕様をまとめました。

その結果、ネットワーク報道制作システムSonapsを導入することで、素材共有サーバーとの連携を一層強化するとともに、回線収録システムやプロキシ編集機などを新たに装備することで、さらに効率的な取材・収録、編集のワークフローを構築しました。

回線収録システムの採用で編集環境を大きく改善


素材インジェスト端末( 写真・左) と、4 式配備されたノンリニア編集システムXPRI NS( 写真・右)。

当社では、カメラマンが取材から編集までを一貫して行うことが原則になっています。従って、編集システムが重要な役割を担うことになります。素材共有サーバーとXPRI NSの組み合わせで、ワークフローは大きく改善しましたが、課題も残りました。それは、支社やネット局からの回線収録、あるいは取材後のプレビューや音の確認の際にも編集機を使用するため、本来の編集業務に支障をきたしていた点です。

つまり、編集機としての稼働率が低下し、早朝や深夜に編集を行うといったケースも散見されるようになり、ニュース制作の障害となったり、スタッフのストレスの一因にもなっていました。

そこで今回の更新では、回線収録システムを導入しました。4系統での収録が可能で、HDCAMデッキからのインジェストも可能な仕様となっており、これにより従来の悩みを一挙に解消することができました。4台の編集機も、本来の編集業務にのみ稼働することができるようになりましたので、ニュース制作のワークフローを大きく改善することができました。

さらに、4台のプロキシ編集機と、20式のWebクライアント端末を社内や支社に配置することで、プレビューや音声確認なども効率的に行えるようになりました。

2012年12月の総選挙特別番組でも威力を発揮


長岡支社を含めて4式導入したプロキシ編集機もニュース制作の効率化に大きく貢献しています。

報道制作の新しい設備は、2012年9月に導入し、バージョンアップを終えた12月より本格運用しています。新しく導入した素材共有サーバーは、HDで500時間の容量なので、約1ヶ月分という余裕を持った素材管理・運用ができます。

スタッフの評判も上々です。何より、回線収録システムの導入で編集機の稼働率が格段に向上したことです。夕方のワイドニュース「スーパーJにいがた」に向けた取材・編集がスムーズに行えるようになり、ストレスやプレッシャーも軽減できました。また、2012年12月の総選挙に伴う特番でも、県内の "バンザイ" 素材の収録、編集などに威力を発揮しました。

プロキシ編集機も、ディレクターがインタビュー取材の際の音確認、使用部分のマーキング、あるいは原稿作成のプレビュー用途などにフル稼働しています。これまでのように編集機を占領して行う必要がなく、じっくりと時間をかけた作業が可能です。

また、プロキシ編集機は、長岡支社にも配備しており、ネットワーク経由で本社のSonapsを見ることができるようになっています。これにより、長岡の記者がニュース特集を担当する際など、従来は素材の持ち込み、確認、編集などの度に何度も本社まで足を運ぶ必要がありましたが、最後の仕上げの時だけで済むようになりました。

このように、Sonapsの導入で、これまでの収録と編集、プレビューと編集など、混在していた運用から開放され、それぞれ本来の業務に集中できる環境が整ったというのが、今回の設備更新の一番の成果だと思っています。

ファイルベースのメリットを検証しつつ送出にもつなげていきたい


Webクライアント端末(写真・左)と、着実に進展するアーカイブのディスクによる棚管理(写真・右)。

ネットワーク報道制作システムSonapsは、取材・撮影、編集、そして送出までの効率的な運用を可能にするものですが、今回は送出にはベースバンドの運用をそのまま残しました。ネットワーク/ファイルベース化を段階的に進めるという方針に基づくものでもあるのですが、本当の意味でのファイル運用のメリットを享受するためにはもう少し時間をかけた方がよいとの判断もありました。

もちろん、最終的には送出やアーカイブを含めたトータルなファイルベース運用を導入したいと考えています。今回のSonapsの採用で、トータルシステム構築のベースは作ることができました。あとはタイミングの問題になると思います。ファイル転送のスピードや信頼性、オペレーションなどのメリットを実感することができ、報道制作と技術部門がそれを共有できるようになった時が更新時期ということになります。

そのためにも、今回の新システムの運用の中でファイルベース運用の習熟度を上げたり、ノウハウを蓄積したり、あるいは細かな検証作業を行っていくことが重要になります。ソニーにも、アフターフォローを含めたサポートと、真にファイルベースのメリットを実感できるソリューションを提案していただきたいと思います。

株式会社 新潟テレビ21 報道制作局 報道制作センター 報道グループ長 山田徹様

株式会社 新潟テレビ21
報道制作局 報道制作センター 報道グループ長
山田徹様

ネットワーク報道制作システムSonapsの導入をはじめとした今回の報道制作設備の更新により、さらに効率的なニュース制作が可能になったと評価しています。また、近い将来の送出のファイルベース化に向けた準備を整えることができましたので、これから運用の成果を確認・検証しつつ、タイミングを計って取材から編集、送出までのファイルベース化を促進したいと思います。

株式会社 新潟テレビ21 報道制作局 報道制作センター 近藤俊男様

株式会社 新潟テレビ21
報道制作局 報道制作センター
近藤俊男様

これまで回線収録の度に編集機を使用しなければならず、それが編集の効率を阻害したり、スタッフのストレスになっていました。今回の更新で、こうした悩みが根本的に解消できた点が一番大きなメリットと言えます。また、プロキシ編集機やWebクライアント端末の導入も情報の共有化や、原稿作成のスピードアップ、支社との連携強化などに大きく貢献していると感じています。

株式会社 新潟テレビ21 技術局 放送技術部 担当部長 佐藤栄一様

株式会社 新潟テレビ21
技術局 放送技術部 担当部長
佐藤栄一様

当社の報道制作では、HD化やネットワーク化を段階的に進めてきました。スタッフの負担にならずメリットを実感でき、それが業務であるニュース制作に活かされなければ意味がないと考えているからです。今回の更新もその一環ですが、ファイルベースの劇的な革新性や運用のメリットを実感した時に、送出を含めたトータルのファイルベース化の時になると思います。