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ソニーマーケティング学生ボランティアファンド

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講評

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2006年12月21日 審査委員長:原田勝広

全体的な応募の状況

第6回「ソニーマーケティング学生ボランティアファンド」では、全部で59件の応募がありました。大学別には、国立大学11大学・公立大学2大学・私立大学28大学、合計41の大学から応募がありました。

審査方法

予備審査、次いで本審査を経て、対象グループ活動Aコース(25万円を上限)21件、Bコース(10万円を上限)5件、合計26件を決定しました。

<予備審査>

 次の3つの評価基準に基づき書類審査を行い、対象を絞りました。


  1)応募要綱の「応募資格」に合致しているか
  2)応募要綱の「応募活動」の活動実施期日、報告会への参加条件を満たしているか
  3)費用明細が記されているか、また明細が適切か


<本審査>

 予備審査で選出された団体につき、次の3つの項目を評価基準とし、A=3点、B=2点、C=1点で採点しました。5名の審査員による評価合計点を基準に、総合的な評価を加え26グループ活動をファンドの対象として決定しました。


  1)活動のユニーク性
  2)創造性、チャレンジ性
  3)企画が自己満足に終わっていないか、プログラムに社会性はあるか

応募企画に関する講評

市民社会が日本でもようやく根付き始めた感があるが、こうした動きと歩調を合わせるように学生のボランティア活動も年々活発化し、社会的にも当然のこととして定着したことは喜ばしいことである。

応募件数59件の活動分野は国際支援、子ども、ボランティア振興、環境、教育と多方面にわたっており、内容も、学生らしい新鮮な発想、着眼点のものが多く、創造的で社会的にもインパクトが大きいと思われるものが目立った。

特筆すべきは、これまで、首都圏、関西、名古屋のいわゆる大都市圏に集中する傾向があった応募が、今回は全国に分散、3大都市圏以外が36%にも及んだことである。これは、本ファンドに対する関心の広がりを示すものとして歓迎したい。ただ、応募件数そのものは、2005年の62件に比べ減少している。背景として、量より質を目指す傾向が強く、複数大学が協力してひとつの案件に取り組むものが多いことなどがあるものと思われる。しかし、本ファンドの存在をソニーのHP やWEBで知ったという学生が多いことを考えると、今後のPR法を少し工夫して、もっと多くの学生に知ってもらえば、希少価値のある学生向けファンドであるだけに応募もさらに増加するものと期待される。

なお、今回からボランティア活動を新しく立ち上げる学生向けなど用にBコースを設けたが、こちらにも積極的な応募があったのは、学生の意欲の現われという点からみてうれしいことだと思う。


全体的に評価できるものが多いが、よりよい活動に向けていくつかのサジェッションをしたい。

まず、継続してファンドの応募をしてきた案件が半数以上を占めた。このこと自体問題はない。しかし、案件の中には、ファンドが認められないと即中止に追い込まれそうなものもある。活動内容が多様で一概に言えないものの、例えば支援のためのハーブ栽培、村おこしのための小麦生産など、工夫次第では、生産品の販売で資金循環を生み出し、ファンドがなくても持続可能性のある案件も存在する。ファンドに頼りきりではなく、ファンドを元に、継続性のあるプロジェクトとして自立するものも出てきてほしいと思う。

次に、ストリートチルドレン、障害者など弱者支援については、一過性の援助にとどまらす、将来的な自立を常に念頭においてほしい。そのためには職業訓練などが欠かせない。自分達の活動がそこまで及ばない場合は、そういう専門性のある団体の協力を仰ぐことも含め、相手の立場を配慮した支援が欠かせないと肝に銘じてほしい。

最後に、広い視野を持っていただきたい。国連や世界各国がミレニアム開発目標(MDGs)を掲げて世界の貧困削減に取り組み、NGOも独自の立場から開発で協力している。企業も企業の社会的責任(CSR)を意識して、環境、人権、労働などの社会的課題に取り組もうとしている。学生の皆さんは、そういう人たちと補完し合うことができる。自らのボランティア活動を世界的な視点から相対化し、その使命と役割をしっかり自覚することで、自らの活動がより個性的で効果的なものになることが期待できるのではないだろうか。

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