法人のお客様リモートカメラシステム

学校法人 梅村学園 中京大学 様

教育

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国内初の通年型フィギュアスケート専用リンク「オーロラリンク」が完成。4式のリモートカメラBRC-H700によるハイビジョン撮影・表示・収録で強化選手の練習、技能向上を側面からバックアップ。

学校法人 梅村学園 中京大学 様

アイスアリーナ「オーロラリンク」
愛知県豊田市貝津町
http://www.chukyo-u.ac.jp/

お客様のプロフィール
2007年5月、中京大学豊田キャンパスに国際競技規格(60m×30m)のフィギュアスケート専用リンク「オーロラリンク」が完成しました。ナショナルトレーニングセンター(NTC)の指定も受け、フィギュアスケートの強化指定選手の練習拠点としても運用される予定です。
アリーナ4隅の壁面にはリモートカメラBRC-H700が設置され、演技する選手をハイビジョン映像で撮影し、200インチスクリーンに表示したり、プロフェッショナルディスクに収録することができるなど、最新鋭のAVシステムを装備。高精細な映像で選手の動きや演技をすぐに確認できることで、技能の向上や選手とコーチとのより緊密なコミュニケーションを実現しました。

導入の背景


アイスアリーナ「オーロラリンク」。
センタークラスター方式スピーカーの採用など、リンク(氷厚8cm)を含めて国際競技規格をクリアした本格派のフィギュアスケート専用のアイスアリーナ

中京大学様には2007年3月のフィギュアスケート世界選手権優勝の安藤美姫選手、同2位の浅田真央選手(同大中京高)のほか、全日本等で活躍する小塚崇彦選手、浅田 舞選手などフィギュアスケートのトップアスリートが数多く在籍しています。

アイスアリーナ「オーロラリンク」はこのような選手達や、フィギュアスケートの強化指定選手が存分に練習できる場を確保することを主目的として建設されたもので、国際競技規格のリンクのほか、観客席(284席)、宿泊棟、サーキットトレーニングガーデンを完備しています。

さらに効果的な練習をサポートする最新鋭のAVシステムを採用。演技の確認や効率的なコーチングに欠かせないカメラシステムにはBRC-H700をアリーナ4隅に採用。選手やコーチは、4台のBRC-H700のパン・チルト・ズームを使い、さまざまな角度からのハイビジョン映像を表示・収録することで、効果的で効率の良い演技練習、コーチングが可能です。

導入のメリット


アリーナ4隅の壁面に設置されたBRC-H700。プロジェクターを使って200インチスクリーンにハイビジョン表示することも可能。また、最大12台まで拡張できるように配線されています


4台のBRC-H700を1台のリモートコントロールユニットRM-BR300で操作。収録デッキとしてXDCAM HDレコーダーPDW-F75を4台配備しています。
音響面でも最大4人までが異なる曲で演技できるワイヤレスイヤホンシステムや、選手自身で操作が可能なようにボタンを押してから20秒後に演奏を開始するディレイ装置などを採用。効率的な練習をサポートしています

導入された映像システムは、4台のBRC-H700を1台のリモートコントロールユニットRM-BR300で操作し、XDCAM HDレコーダーPDW-F75に収録する構成。高精細なハイビジョン映像を200インチスクリーンに表示して全体の演技を選手とコーチで確認したり、プロフェッショナルディスクに収録した映像をスロー再生やコマ送りすることで、ジャンプの角度、回転スピード、着地などをより詳細にチェックすることもできます。

すでに同大学在籍のトップ選手の一人である小塚崇彦選手・小塚コーチなどが練習にフル活用しており、操作が簡単なだけでなく、多彩な角度からのハイビジョン映像で分かりやすいと大変好評です。

同大学生命システム工学部では、今回導入した4台のBRC-H700を駆使した自動追尾・自動撮影・自動編集システムを開発中です。完成すれば、演技する選手を自動で追尾し、つねに同じ大きさで選手を撮影し、さらに最も良いシーンをつないで1枚のプロフェッショナルディスクに収録することができます。選手一人だけで練習にきて、起動ボタンを押すだけで自分の演技の様子をハイビジョン収録して、演技の確認やチェックを行うことも可能になります。

中京大学 生命システム工学部
学部長
長谷川純一様

今回アイスアリーナに導入した映像システムには、大きく3段階に分けた目的があります。

第一ステップは、フィギュアスケートの選手やコーチが手軽に使える高精細で、多彩な角度から撮影・収録できる映像システムであること。つまり、効率的な練習や効果的な指導に貢献する実用性の高いシステムでなければならず、この点はBRC-H700を4式配備。プロフェッショナルディスクに収録、または200インチスクリーンに表示可能としたことでクリアできたと思っています。

次のステップは4台のBRC-H700を駆使して、演技する選手を自動的に追尾し、自動的に撮影し、さらに最も良い角度やカットをつないで自動編集できるシステムにすることです。現在、1年以内の完成を目指して鋭意開発を進めているところです。

第三ステップは、私たちの研究領域であるコンピュータービジョンや映像ハンドリングと学問の応用を行うことです。簡単に申しますと、複数のカメラ映像から3次元的な情報を再構築し、内部の動作や形を再現することで産業や医療に役立てる技術です。同じ技術が、スポーツ指導にも使えるのではないかと期待しています。

こうした実用性と将来の研究目的にも対応できる映像システムには、高精細な映像を撮影できるリモートカメラが不可欠の条件でした。ハイビジョン撮影ができ、しかもパン・チルト・ズームをスムーズな動きで実現したBRC-H700によって、私たちの願いを叶えることができたと思っています。

中京大学 生命システム工学部 身体システム工学科
講師・博士(情報科学)
瀧 剛志様

自動追尾・自動撮影できるシステムソフトウェアは、現在CG制作したアリーナ内で任意にポインティングした地点に4台のカメラが連動して向くというところまでは可能になっています。タブレットを使って撮影したい地点や方向を指定することができますから、現状でもバーチャルカメラマンとして使用することは不可能ではありません。

今後の課題は、いかにプロのカメラマンが撮影するようなアングル、画づくりをできるようにするかで、人間ならではの感性やプロのノウハウをシステムに反映できればと考えています。もちろん、選手がどんな映像、どんなアングルを必要とするかも重要な考察材料となります。その上でバーチャルエディター、すなわち最も良い角度やカットを選んでつなぐ自動編集システムを構築していくことになると考えています。

BRC-H700は、こうしたシステムの開発に申し分のないリモートカメラだと評価しました。ハイビジョン映像は、コンピューターに取り込む際は情報処理の観点からダウンコンバートしていますが、それでも充分に高画質です。また、パン・チルト・ズームの可動範囲が広く、4台のカメラで必要な角度・アングルの映像を撮影できます。さらに低速でも動作が非常に滑らかですから、私たちの考えるより自然でスムーズな自動追尾が可能ではないかと期待しています。

中京大学 アイスアリーナ事務室
フィギュアスケートナショナルトレーニングセンター担当
沢 寛治様

完成したアイスアリーナは、日本のトップアスリートに世界大会と同様の環境、リンクで練習してもらえることを目的としています。設備の一つひとつについても、「可能な限り最高かつ最良、しかも実用性のある」ものを目指しました。

BRC-H700を使った映像システムも、そうした考えを具現化したものと言えます。ハイビジョンの高精細な映像は、間違いなくトップアスリートの技能向上に貢献するものだと思いますし、これまでにないコーチングも可能になるのではないかと大いに期待しています。

オペレーションはスタッフがサポートしていますが、ジョイスティックを使った簡単操作なので、1度使用方法を教えれば、その後は選手やコーチだけで手軽に運用しています。その意味では、非常に実用性の高いシステムになっていると評価しています。200インチスクリーンに表示することで、その都度選手がコーチの元に来る必要がないなど、選手・コーチの評判も上々です。

アリーナ内の温度は約8度の厳しい環境なので、当初はBRC-H700やXDCAM HDレコーダーPDW-F75を含めたシステムの安定性を心配しましたが、運用を開始して以来トラブル・ゼロで杞憂に終わりました。管理する立場からしますと、この信頼性の高さは大きな魅力の一つです。

すでに本学在籍の選手が練習に使っており、2007年8月からフィギュアスケート強化選手の練習、9月からはスケート実技を履修した体育学部学生の授業でも使用されます。日本のフィギュアスケートのますますのレベルアップに貢献できることを願っています。