事例紹介

南海電気鉄道株式会社 様

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保線作業の業務効率化と働き手不足解消へ
『ZV-E1』が選ばれた3つの理由

1885年の創業から現在まで、「進取の気性」で常に先進的な技術や事業に挑戦し続けてきた南海電気鉄道株式会社。鉄道施設の維持管理業務を担う施設部が抱えていた課題は、業務の効率化と作業安全性の向上、少子高齢化に伴う働き手不足でした。これらの課題解決のために、カメラの導入を検討。そこで採用されたのが、ソニーのVLOGCAM『ZV-E1』でした。鉄道事業本部 施設部の戸田 徹 様と、北田 航輝 様に、『ZV-E1』導入の決め手や、そのメリットを伺いました。

保線業務における課題と
カメラ選定の基準

ー作業効率の向上と人財不足の課題解決に向けて

戸田:南海電鉄株式会社の歴史は、1885年、難波〜堺(大和川)間を開通したことに始まります。純民間資本としては、現存する日本最古の民営鉄道であり、鉄道事業を中心に、運輸、不動産、流通、レジャー、建設など、幅広く事業を展開してきました。常に先進的な技術や事業に挑戦することで、沿線エリアの発展に貢献してきました。

北田:施設部では、鉄道の安全運行のための、鉄道施設の維持管理業務を行っています。管理範囲は南海本線、高野線、その他支線を含む全線に及ぶので、計画的に点検や補修、改良工事などを実施しています。軽微な工事は昼間に行うこともありますが、大部分は終列車から初列車までの夜間の限られた時間に施工しているため、作業効率を高めることは重要課題です。また、多くの業界・業種と同様、人財不足も大きな課題で、当社が取り組むDX推進プロジェクトのひとつとして、点検業務にカメラを活用することを検討し始めました。

戸田:鉄道施設は、長手方向に数キロメートル以上にわたって展開される構造を持ち、ホーム、線路、車両基地などが直線的に配置されています。従来は、数キロメートル、場合によっては数十キロメートル離れたポイントまで、作業員が実際に行き、目視で現場の状況を確認しなければならなかったのですが、カメラで映像を記録しておくことで、現場に行く機会を大幅に減らすことができると考えました。全路線を撮影し、その映像を専用ソフトに取り込むと、俯瞰視点からの画像に変換され、距離を入力するだけで、その場所の画像が表示される仕組みです。たとえば、「5km」と入力すれば、起点から5km先の地点の画像が表示される。これにより、わざわざ現地に行かずとも、線路や、付随する信号設備、工事を行う際の周辺環境などを把握できるようになります。作業員が現場に行き目視点検するよりも効率的で、なおかつ正確に現場の状況を確認できるので、作業員の負担を大幅に軽減できます。

ーカメラ選定の基準は「高感度性能」「小型・軽量」「操作性」

北田:カメラ選定において重視したのは大きく3点です。まず、高感度性能にすぐれていること、次にボディが小型・軽量であること、最後に、誰でも操作しやすいことです。1点目の高感度性能については、トンネルの中を撮影する場合や、夜間に撮影する際には、センサー性能が重要になりますので、フルサイズセンサーを搭載したカメラが望ましいと考えました。2点目のボディサイズについては、車両への設置や、持ち運びのしやすさを考慮し、できるだけ小型・軽量の製品を選ぶ必要がありました。3点目の操作性ですが、作業員はカメラに精通しているわけではないので、業務専用モデルではなく、一般ユーザー向けの操作しやすいモデルを、という観点です。これら3点の基準を満たすカメラとして選んだのが、ソニーの『ZV-E1』でした。

『ZV-E1』によってもたらされた
飛躍的な業務効率化

ートンネル内でも明るくクリアに撮影できる「Exmor R(TM)」CMOSセンサー

戸田:車両前面ガラスに『ZV-E1』を据え付けた状態で、列車(トンネル内は保守用車にて撮影)を走らせ、最長だと往復で約40分、バッテリーを交換することなく撮影します。実際に運用してみて、真っ先に感じたのは、高感度性能の高さでした。とりわけ、トンネル内の撮影ではフルサイズの「Exmor R(TM)」CMOSセンサーの高い高感度性能が顕著に表れ、車両速度を少し落とした状態であれば、線路の枕木の形状までクリアに撮影することができます。撮影後に、専用ソフトで俯瞰視点からの画像に変換するためには、枕木の形状まできっちりと記録できていなければならないのですが、まったく問題ありませんでした。とにかく映像が明るくクリアで、専用ソフト上で画像を拡大してみても、細部まで描写が緻密で鮮明。作業員がわざわざ現場に行かなくても、その場所の状況を把握できるようになり、作業効率が飛躍的に向上しました。

ー安全運行の妨げにならない軽量・小型ボディ

北田:運用上、『ZV-E1』の小型・軽量ボディも大きなメリットとなりました。小型で場所を取らないので、車両前面ガラスへの据え付け時に運転士の邪魔にならず、結果として、鉄道事業者として最も大切である、安全運行に支障を来す心配がありません。また、軽量なので、三脚・固定治具に据え付ける際に、画角を調整しやすいというメリットもあります。もちろん、保線業務だけでなく、他業務の記録用カメラとしても、小型・軽量のボディは取り回しがしやすく、必要な時にサッと持ち出して、すぐに撮影を始められます。長回しによる熱暴走を懸念していたのですが、結論から言うと、まったくの杞憂でした。これまで、熱暴走によって撮影を中断し、やり直すことになったケースはありません。

ー専門的な知識がなくても扱える操作性

北田:誰でも迷わず操作できる「わかりやすさ」を備えながら、専門的な調整もできて、設定を追い込むこともできる。ISO感度やシャッター速度などをあらかじめ設定しておけば、あとは作業員に「おまかせ」できるのがありがたいです。

ー当初の課題解決以上のメリットをもたらした『ZV-E1』導入

戸田:『ZV-E1』撮影した映像は、保線作業に加えて、新入社員の教育にも活用できています。実際に現場に連れて行く前に、「ここに注意しましょう」というように、映像を見ながら注意するべきポイントをインプットできるんです。また、工事を計画する際にも、どこから道具を入れて、どこに置くかなど、現場の状況を見ながらシミュレーションできますし、災害時や緊急時に、知りたいポイントの状況をすぐに確認することもできます。『ZV-E1』導入によるメリットは、想像以上に大きいものでした。

ソニーのカメラがDXを加速させる

戸田:現状、カメラを用いた保線業務は泉北線内のみで実施していますが、今後、本システムの運用範囲をさらに拡大していきたいと考えています。DXプロジェクトの担当者も本システムの有効性は認識していますが、まだまだ社内での認知が十分とは言えません。現場の理解も得ながら、本システムの導入によって、飛躍的な作業効率化を実現できること、そして、そのために『ZV-E1』が欠かせない存在であることを少しずつ周知していきたいです。

北田:カメラを用いた保線業務システムをはじめ、DXの推進は鉄道各社が注力しているところなので、未来を見据えて、当社も新しい技術に挑戦していきたいと。そういう意味では、『ZV-E1』にはまだまだ使い道があると思いますし、さまざまな撮影ニーズに応えてくれるだけの、高いポテンシャルもあります。当社のDXを加速させてくれる頼もしい存在として、『ZV-E1』とは長い付き合いになりそうです。

使用機材紹介

ZV-E1

デジタル一眼カメラ
ZV-E1

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※デジタル一眼カメラ αサイトにリンクします

南海電気鉄道株式会社

https://www.nankai.co.jp/company.html別ウィンドウで開きます

※本ページ内の記事・画像は2025年9月に行った取材を基に作成しています。

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