撮影、編集、録音などの映像制作に必要な技術や、シナリオ制作、WEB制作、デザインなど、映像制作に関わるすべての工程が学べる、洗足学園音楽大学 メディアアーツコース。同コースでは2024年の開設に合わせて、Cinema Line カメラ『FX30』を導入しました。そのメリットや授業における活用などについて、音楽学部長補佐・教授、洗足オンラインスクール 校長、作曲コース・メディアアーツコース アカデミックプロデューサーの清水 昭夫 様、特任教授の松原 つよし 様にお話を伺いました。
ー音楽大学だから実現できた、映像と音楽の融合とは
音楽学部長補佐・教授
洗足オンラインスクール 校長
作曲コース・メディアアーツコース アカデミックプロデューサー
清水 昭夫 様
清水:洗足学園音楽大学 メディアアーツコースは、近年の映像への関心の高まりにより、大学で映像制作を学びたいというニーズの上昇が期待されることなどから、2024年4月に新設しました。当コースは、映像と音楽の融合を大きなテーマにしています。学内の演奏会、ダンス、ミュージカル、声優、アイドルなどを目指すコースとのコラボする機会が多くあり、音楽大学ならではの特長を生かした作品づくりの被写体や環境が整っています。
特任教授
松原 つよし 様
松原:最近は、ミュージカルコースなどとのコラボ授業が増えています。また、他のコースの演奏会を撮影したり、演劇の背景用の映像を制作したり、映像に合わせた音楽を作曲コースの学生が作るなど、音楽大学だからこその横のつながりを実現しています。こうしたコラボによって、個人的なつながりも増え、学生によるコースを超えた自主制作も既にスタートしているようです。今後はアニメーションのタイトルを取り込むなど、他のコースとの連携もさらに高めたいと思います。
ー映像制作のワークフローが学べる独自のカリキュラム
清水:当コースは、企画からシナリオ制作、撮影、編集、CG制作、MAなど、映像制作の幅広いフローが学べるカリキュラムです。映像制作に欠かすことのできない、音楽や音響についても深く学べるところが、当コースの大きな特長です。
松原:1年次、2年次には映像や音響の基礎を学びます。必修科目のメディア制作研究では、カメラワークなどの撮影技術、映像素材を編集する技術など、映像制作の基礎力を身に付けます。また、映像制作論、音響制作論、アニメーション研究、メディアデザイン研究などの多彩な選択科目があります。3年次、4年次には、ドローン撮影などの特殊機材研究、色彩研究、CG制作研究の専門科目から選択し、より高い専門性を追求します。
ー第一線で活躍するプロの視線で選ばれた『FX30』
清水:教材用としてカメラを導入するにあたり、映像業界で専門的な見識を持つ、当コースの複数の教員に相談したところ、メーカーはソニーがよいという声が多く聞かれました。私も調べたところ、ソニーがCineAltaカメラ『VENICE 2』などハイエンドカメラを手がけるカメラメーカーであることに魅力を感じました。
検討した結果、『FX30』9台を導入。レンズは『E PZ 18-105mm F4 G OSS』をベースに、『FE 24-70mm F2.8 GM II』や他社製レンズなども揃えています。将来的に他のCinema Lineの機材を追加したとしても、マウントが共通であるためレンズ資産を引き継げる点もメリットがあると感じました。教材として使用するからには、それなりにまとまった台数を一度に揃える必要があります。コスト面でもレンズが共用で使えるのは助かります。
ーはじめて触れるカメラだからこそ、映像業界で活躍する実機で学ばせたい
松原:『FX30』はこれから映像を学ぼうという学生にとって、ちょうどよいカメラだと思います。映像業界で使えるレベルで、しっかりと撮ることができます。
学び始めたばかりの学生には、『FX30』を使いこなせるほどのスキルがまだありませんが、レンズを含めても軽量でコンパクトであるため、初めてカメラに触れる学生も扱いやすいと思います。
清水:カメラの経験やスキルは学生によってさまざまですが、大半は初めてカメラに触れる学生です。『FX30』でカメラを覚えていけるのですから、恵まれた環境だと思います。
プロの現場では、カラーグレーディングを念頭においたLog撮影が重要視されています。Logでの記録モードがなければ、機材の選択肢からも外れてしまいます。こうした意味からも、『FX30』はスタートラインにふさわしいカメラだと思います。
ーほとんどの授業に『FX30』を活用
清水:実技の授業は、30人の学生を5人ずつのグループに分け、1グループに1台の『FX30』を貸し出し、撮影を中心にした実践的な内容です。映像制作は、さまざまな考えを持つ人とのコミュニケーションが重要です。この過程を踏むことで、グループ内でのコミュニケーションもしっかりとれるようになってきました。
松原:『FX30』はほぼ毎回の授業で使っています。理論はすぐに覚えられるのですが、実際の撮影にはなかなか生かせないものです。カメラに触れながら撮影の実践を繰り返すことで、どんどん上達していきます。
メディア制作研究の授業では、はじめに動きのないフィギュアを撮影しました。次に、時間の決まっているダンス、さらには演技を撮りました。後期になると、この経験が身について、きちんとした企画が立てられるようになり、香盤表も組めるようになっています。
ーわずかな期間に驚くほど使いこなせるように成長
清水:学生の吸収力はとても高いと実感しています。自分なりに試行錯誤しながら、数カ月で既にカメラを使いこなせるほどに成長しています。本学を志望する学生は、座学よりも実技で勉強したいという声が多いですね。手を動かして、作品をつくり上げていくことに喜びを感じるようです。今後は学生が自らの発想でいろいろな作品をつくってほしいと考えています。
松原:最近は、学生から「こういう映像を撮りたい」という具体的な声が寄せられるようになってきました。カメラを生かして、何をどう表現しようかという考えも芽生えています。学生の成長を見ていると、こちらのモチベーションも高まり、授業にも力がこもります。前期に作った作品と最近の作品では、撮影した学生自身が「過去の作品を見るのは恥ずかしい」と言うほど、違いがあります。
授業ではまだLog撮影をしてないのですが、現在の映像業界では必要な知識のため、これから採り入れていく予定です。Logで撮影すると、画づくりの許容範囲は格段に広がりますが、これに頼るばかりでなく、狙いをしっかり持って撮れるようになってほしいと思います。
ー映像制作を通じて、学生に学んでほしいこととは
清水:今後はインターンの受け入れ企業も多数開拓していきたいと考えています。その際にも『FX30』の操作に慣れているということは、学生にとって大きなアドバンテージになると思います。
松原:将来、すべての卒業生が映像業界の道に進むとは限りません。しかし、映像づくりは企画から納品まで長い工程があります。映像制作を学ぶことは、ものづくりの入口から出口までを理解することにつながります。この経験は他の仕事に就いても、きっと役に立つものだと思います。
ーさらにFXシリーズを増やして学生の創作意欲をバックアップ
清水:作品づくりの幅を広げるためにも、1グループが2台、3台のカメラを同時に使える環境を整備していきたいと考えています。次年度は学生が増加するため、『FX30』を6台発注しています。また、現在1台ある『FX6』を3年、4年次向けに増台していくことも検討しています。
さらに、レベルが向上するに従って、現在使っているレンズに限界を感じる時が訪れるかもしれません。F4通しでは背景のぼけにも限度がありますから、今後は単焦点レンズなども積極的に導入したいと思います。
映像を取り巻く業界は人手不足の解消が大きな課題になっており、即戦力となる優れた人材に大きな期待が寄せられています。本学から、将来の映像業界を担う人材を多数輩出していきたいと考えています。
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