ローカル5Gサービスを手掛けるソニーワイヤレスコミュニケーションズ株式会社。その中でエンタテインメント領域において感動体験を届ける法人向けローカル5Gサービスプラットフォームが『MOREVE』(モアビ)です。『MOREVE』のサービスの1つである映像制作用途において『PDT-FP1(ポータブルデータトランスミッター)』が導入されました。事業部門事業開発2部アライアンス推進課の神保 直史 様と芹澤 匠 様のお二人に、導入したメリットや映像配信の可能性について伺いました。
ーサービス自体を一緒に提案できる企画力
ソニーワイヤレスコミュニケーションズ株式会社
事業部門事業開発2部 アライアンス推進課 芹澤 匠 様
芹澤:弊社は主にローカル5Gの回線サービスを取り扱っている通信系の会社です。私たちのチームでは、ローカル5Gを提供するだけではなく、回線を活用したサービスや企画なども含めてクライアント様に提案することを率先して行っています。通信網だけを提案しても利用者の理解が得られないこともありますが、活用方法まで提案することで理解を得やすくなります。
ソニーワイヤレスコミュニケーションズ株式会社
事業部門事業開発2部 アライアンス推進課 神保 直史 様
神保:私たちのチームはエンタテインメント業界出身者も多く所属しています。音楽業界、アニメ業界、放送局などサービスを使う側を経験したメンバーがいます。だからこそサービスを含めたよりよい提案ができています。
ーそんな中で生まれた『MOREVE』
神保:ローカル5G通信を活用したサービスをパッケージ化して作り上げたのが『MOREVE』です。MORE(もっと)とMOVE(感動)を足した造語で、エンタテインメント領域に特化したサービスです。ローカル5G回線を使ったキャッシュレス決済サービス、映像制作サービスなどを提供しています。ケース・バイ・ケースではありますが、各サービスのハードウェアまで用意させていただくことができますので、まさにオールインワンパッケージと言えるサービス内容となっています。
ー安定した高速回線だから実現できる映像配信
芹澤:ローカル5Gの魅力は何と言っても割り当てられている周波数帯にあります。この周波数帯は、他の通信サービスで使用されている周波数帯と干渉しないというのが一番のメリットとなります。
キャリア回線などの場合には、ダウンロードとアップロードの回線比率を変えることができません。特にビジネスユースでは、アップロードを行う比率が多くなります。『MOREVE』のローカル5Gであれば、その比率を変えることができるので、まさに映像配信など重めのデータをアップロードしていくといった用途に適したサービスです。例えば、インタビュー映像などをリアルタイム配信して視聴者にお届けしたいケースなどには最適ですね。
ー『PDT-FP1』の登場で変わる無線配信
芹澤:今まで映像の無線配信は送信に使う端末における信頼性、回線の安定度の問題などさまざまな要因から避けられてきました。しかし弊社の回線サービスである『MOREVE』とこの『PDT-FP1』があれば、このような課題をクリアしていける可能性があります。また『PDT-FP1』は映像配信の現場で使用することをしっかりと考慮されて作られているので、様々なシーンで使用できます。
ー小型なうえ充実したインターフェースがいい
芹澤:『PDT-FP1』は小型なのにも関わらず、様々なインターフェースが付いています。特にUSB Type-Cの端子が2つ付いているのは大きなメリットです。キャリア端末ですと通常ではUSB Type-C端子は1つしかありません。ところが2つあることで、接続用に1つ使いながら、もう1つは給電用に使うといった運用が可能です。長時間での単体使用の場合にはモバイルバッテリーなどを使用しますが、我々の使い方だと数時間程度なら内蔵バッテリーでの稼働が可能ですので、給電しなくても使えるのはとても便利です。
また有線LAN端子、Type-AのHDMI端子があり、映像配信で必要になりそうな接続端子が網羅されています。さらに背面にはネジ穴があります。この穴をうまく使うことでさまざまなものに固定することが可能です。これらの点が映像配信で使うための専用端末だと実感できるところです。
神保:さらに本体背面にストラップを通すことができるようになっており、我々の使い方だと高所に設置した場合の落下防止ワイヤーを通しておくことで、高所での安全面が確保できました。あったらいいなと思う機能がしっかりとあるのがいいですね。
ー安定した通信環境を作ってくれる内蔵冷却ファン
芹澤:現場で一番怖いのは、熱暴走で配信が停止してしまうことです。ところが『PDT-FP1』には冷却ファンとヒートシンクが内蔵されています。実際に『PDT-FP1』を展示会で長回しの映像配信に使用しましたが、熱暴走が原因で停止したことは一度もありません。
ー新しい映像表現の可能性を広げてくれる
PDT-FP1が小型・軽量だからこそ可能な設置方法
芹澤:『PDT-FP1』を利用することで今までとは違った映像を撮れる可能性があります。有線だとどうしてもケーブルの問題で撮れないアングルなどが出てきてしまいますが、ケーブルレスになることで、より被写体に接近して撮影することができ、臨場感のある映像が撮れます。さらに足元にケーブルがないことで、転倒などのリスクも回避できます。
実際にハンドボール競技のリアルタイム配信時にレフリーカメラとして映像を配信した際にも使用し、今までにはないレフリー目線の映像を配信することに成功しました。同じことを従来の方法で行おうとすると、大きな機材を背中に背負ってもらい、そこに小型カメラを装着して配信する必要がありますが、『PDT-FP1』なら小型かつ軽量なのでレフリーのベルトなどに固定することで簡単に配信することが可能です。これだけ小型であれば、レフリー業務への負担もありませんし、プレイ中の機材転倒のリスクも低減できます。
ー制作コストの削減にも大きく貢献できる
芹澤:無線化することで、配線コストを抑えることにもつながります。トラスなどに固定して天井などに上げる場合、有線だとそれこそ数百メートルのケーブルが必要になります。それらが必要なくなれば、自ずとコストも削減できます。さらにケーブルが少なくなる分、撤収のしやすさなどにも貢献できる可能性があります。コストと手間を短縮できるわけですから、制作側にとってのメリットは大きいですね。
ーAndroid™ OSならではの活用
神保:『PDT-FP1』にはベースとしてAndroid OSが搭載されているので、独自のアプリも活用できます。パートナー企業様のご協力のもと、専用の伝送アプリを開発してもらいました。
また既にAndroid OS用のアプリを開発していれば、少しのカスタマイズで使用できるケースもあり、開発コストや手間を最小限に抑えられます。
こういったフレキシブルな対応ができるのは、Android OSを搭載しているからです。
ープリインストールされているアプリケーションも使いやすい
神保:『PDT-FP1』にプリインストールされているアプリケーションも非常に使いやすいです。特に気に入っているのは、「Network Visualizer」というソフトです。このソフトのおかげで、アップロードやダウンロード中にデータ通信が途切れていないかの通信状況をリアルタイムに視認できるので非常に便利です。
映像伝送をするだけではなく、「外部モニター」アプリを使用すれば映像制作には欠かせない外部モニターとしても利用できます。外部モニターのみを別途購入しようとすれば、数万から数十万円ほどの値段がします。それを別途購入しなくても済むわけです。さらに2025年2月のソフトウェアアップデートで、モニター映像の録画も可能になりバックアップストレージとしても利用でき更に便利になりました。
ー想像力次第で無限の可能性を感じる
芹澤:アプリケーション次第で何でもできるのがいいですね。アプリ開発のしやすさを活かし、クライアント様と連携し可能性を広げていきたいですし、映像配信の新しいスタンダードを作り上げていきたいです。今までの技術やサービスではやりたかったけどできなかったことを、実現させていきたいです。
使用機材紹介
ソニーワイヤレスコミュニケーションズ株式会社
※本ページ内の記事・画像は2025年4月に行った取材を基に作成しています。
※Androidは、Google LLCの商標または登録商標です
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