インタビュー

水中撮影では、シャッターボタンを押して、正確な露出を得るだけにとどまらない技術が必要となります。その技術とは、海の世界の住人たち(魚、無脊椎〈むせきつい〉動物、海洋哺乳類等)と私たちとが触れあうための、独自のコミュニケーション方法です。素晴らしい写真は、ひとつのストーリーを語りかけてきます。魚、無脊椎動物、海洋哺乳類だけでなく、水の中全体の生態系を含めた、それらの感情やフィーリング、そしてユニークな特長を見る人に伝えているのです。

水の中に潜ったことのない人たちでも、思わず立ち止まって写真に目をとめ、「すごい」と思ってくれるはずです。「1枚の写真は1,000の言葉に値する」という格言がありますが、これは水中撮影にもあてはまることです。なぜなら、海の住人たちは、私たちに語りかけるための言葉を持っていませんが、それでもなお、雄弁に語りかけてくるからです。水中カメラマンとしての私の仕事は、海の生物や環境が私たちに何を語りかけたいのかを感じ取って理解すること。そして、誰もが私と同じように海を大切に思ってくれるようにと願いつつ、私が撮った水中写真を通して、それを見るひとりひとりに彼らのメッセージを伝えることなのです。