デジタルペーパーの特長、メリットを生みだしているのは、なんといっても表示装置に「フレキシブル電子ペーパー」を採用していることにあります。 この「フレキシブル電子ペーパー」は、軽量、薄型で自由に曲げたり、加工できる特性を活かして、最近では腕時計などの表示デバイスなどにも採用が進んでいます。
印刷物のようなクッキリとしたコントラストの高い画面表示ができる一方で、白と黒の粒子を電気的に動かして画面を表示する構造のため、画面の素早い切り替えや、描画の書き換えは、正直、苦手としています。
そこで、デジタルペーパーでは、紙とペンのようなダイレクトな書き心地を実現するため、単に「フレキシブル電子ペーパー」を採用するだけではなく、ペン入力と画面表示のタイムラグをできる限り短くし、自然な書き味を実現するため、電子ペーパーのポテンシャルを最大限に引き出すことにこだわった、ソニー独自のさまざまな処理を追加しています。
また、薄型のプラスチック皮膜の保護フィルムと電子ペーパーを一体化することで、電子ペーパー上にタッチパネルも、ガラスもない構造とし、視差ズレをほとんど感じさせない表示画面に仕上がっています。
プラスチック皮膜の保護フィルムと一体化したフレキシブル電子ペーパー。 表示した状態でもこんなに曲げられます。
“紙”のような書き心地の実現と、デジタルペーパーの特徴である“薄くて軽い”端末を実現するため、デジタルペーパーは国内生産にこだわった「モノづくり」を行っています。
例えば、画面上のペンを置いた場所と実際に線が描かれる場所のずれを最小限に抑えるため、表示デバイスである電子ペーパーとペンの座標をとりこむデジタイザーの貼り合わせ工程を、国内自社工場の専用設備を利用して行っています。
また、貼り合わせ後、1台ずつ調整と確認を行うことで、精度の高い描画性能を実現しています。
電子ペーパーパネルにセンサーなど各種パーツを実装作業中。(国内製造事業所にて)
デジタルペーパーは、驚くほどの軽さの実現に向けて、ターゲットとされた本体重量をクリアするために軽量化にもとことんこだわった設計、工夫がされています。
その一つに、ボディ筐体へのマグネシウムダイカストの採用があります。一見するとプラスチック素材に見えるデジタルペーパーのボディ筐体ですが、強度を維持しつつ軽量化を図るためにマグネシウムの薄型軽量筐体で構成されています。筐体内側は可能な限り肉抜き処理を行うなど軽量化への努力が図られています。
また、筆記時に必要なディスプレイ部の剛性と本体の軽量化を両立するために内部シャーシにはマグネシウムのプレス材を採用しています。マグネシウムのプレスは温間プレスという特殊な製法が必要とされるため、ウォークマンなどの商品化で培ってきたソニーの技術を活かし、国内のプレス工場を使うことで量産に成功しています。
強度を維持しつつ軽量化を図るため、マグネシウムダイカストを採用。プレス処理にはソニーの技術が活かされています。
電子ペーパーを固定する内部シャーシも、肉抜き処理で徹底して軽量化への努力が図られています。
一般的なタブレット端末では画面表面に「静電容量方式」のタッチパネルが貼られることが多いのですが、この方式ではタッチパネルの透過率の影響により、画面視認性が低下してしまうという問題がありました。
デジタルペーパーでは画面の視認性を確保し、読みやすさを実現するために画面の表面には何も貼らない、「赤外線方式」のタッチパネルを採用しています。
一方、13.3インチもの大画面上で赤外線の光軸精度を保つことは非常に困難でした。この光軸精度を確保するために、高精度金型で成形した赤外線導光板を使用しています。これも国内生産だからこそ実現できるソニーの製造技術の一つです。
筐体フレーム外周に沿って配置された赤外線発光デバイス。中央、銀色の薄い板状のものが搭載されているリチウムイオンバッテリーです。
ペンで文字を書くとき、タッチパネルからの入力座標がノイズで揺れることがあり、これを解消するためにはフィルターを通してのノイズ成分を除去する必要があります。しかし、単純にフィルターを通すだけでは、ペンで書いてから実際に表示されるまでにタイムラグが生じ、心地よい書き味が得られません。この表示のタイムラグは、1/1,000秒単位のごくわずかな時間に過ぎませんが、人間が文字を書く際、違和感となってはっきりと認識されてしまいます。
このタイムラグの短さを維持しつつ、ノイズ成分を除去することには大変苦労しましたが、何百何千という多くの方々に実際に文字を書いてもらい、その感想をもとに何度も処理の微調整を繰り返すことで、自然な書き心地に近づける努力をしてきました。
いかがでしたでしょうか?
“新しい紙” の実現を目指して、デジタルペーパーに込めたソニーの取り組みについて、ご理解いただけましたら幸いです。
製造が完了し、梱包を待つデジタルペーパー。