2021年7月 更新

まだ見ぬ風景と出会う、
夏の旅へ ちゅうみ

福田健太郎が語る、旅歩き写真の楽しみ方

初めての土地を巡り、美しい風景との出会いや思わぬ発見を写真に残しながら旅をするのは楽しいものです。そんな旅歩き写真をより一層楽しむ方法を、写真家 福田健太郎さんにお聞きしました。沖縄の美ら海を舞台に語られる、被写体の見つけ方や撮影のコツを、美しい作品の数々とともにご紹介します。

1 その土地ならではの
光と色を感じる

シャッター速度1/250秒 F値8.0 +0.3EV ISO200 α7S + FE 70-200mm F4 G OSS〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度1/250秒 F値8.0 +0.3EV ISO200 α7S + FE 70-200mm F4 G OSS

旅に出ると、地域によって光や色が全くちがうのを実感します。写真を撮るときもぜひ、その土地ならではの光や色をはじめ風景を構成するさまざまな要素を感じながら撮影してみてください。今回の沖縄も、南の島独特の空気感があり、色がとても多彩です。さらに、周りを海に囲まれているので雲の動きも激しく、朝方、日中、夕方とドラマチックな変化が楽しめます。
そこで、海だけでなく雲に着目したのがこの作品です。フレーミングやズーミングを何度も調節し、雲と風景のバランスを考えながら撮影しました。美しい自然を目の前にすると人工的なものが邪魔に感じられることもありますが、その場の雰囲気を盛り上げる要素として取り入れるのもいいと思います。このときも、海と空と島だけでは物足りなく感じ、ボートの白波をアクセントとして取り入れようとタイミングを計ってシャッターを切りました。

使用したレンズ:

Eマウントレンズ SEL70200G

2 視点を変えることで
気づく美しさ

シャッター速度1/160秒 F値9.0 +0.7EV ISO200 α7S + FE 70-200mm F4 G OSS〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度1/160秒 F値9.0 +0.7EV ISO200 α7S + FE 70-200mm F4 G OSS

島の高台に登って望遠レンズで撮った一枚。ダイビング用の船が浮かんでいて、これから潜ろうと準備しているところです。高台からだと、浅いところから深いところへブルーのトーンが変化していく様子がよくわかります。この独特な青をより鮮やかに撮るために、水面の反射を抑えるPL(偏光)フィルターを使用。ファインダーや液晶モニターで効果を確認しながらフィルターを回していき、色が一番濃くなったところで撮影しました。
船はあえてアップに写すことはせず、広い海にぽつりと浮かんでいる様子を演出。画面の右上に配置して、余白を大きくとることで海の広がりを引き出しています。浜辺から見る海もきれいですが、こうして俯瞰してみると改めてそこにある風景の美しさに気付かされます。

使用したレンズ&アクセサリー:

Eマウントレンズ SEL70200G

円偏光フィルター VF-CPAM

3 潮の満ち引きによって
出会えるもの

シャッター速度1/200秒 F値8.0 ±0EV ISO400 α99  + Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM II〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度1/200秒 F値8.0 ±0EV ISO400 α99 + Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM II

これは干潮時を狙ってマングローブ林に出かけたときに撮ったもの。マングローブは海水と淡水が混ざる汽水域に生える植物で、このような若木がところどころに生えていくことで森が広がっていきます。潮が引いているので、ざぶざぶと川の中を歩きながら撮影しました。事前に干潮満潮の時間を調べておけば、行動の範囲も広がります。ただし満潮の時間も調べておかないと、帰れなくなってしまうこともあるので注意が必要です。ここでもPLフィルターを使うことで、川面の反射を抑えるのに加え、空の青さや森の緑を鮮やかに出しています。

使用したレンズ&アクセサリー:

Aマウントレンズ SAL1635Z2

円偏光フィルター VF-CPAM

4 自然の造形美に
目を向ける

シャッター速度1/40秒 F値11.0 ±0EV ISO200 α99 + 70-400mm F4-5.6 G SSM II〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度1/40秒 F値11.0 ±0EV ISO200 α99 + 70-400mm F4-5.6 G SSM II

沖縄では高さ10mくらいになるシダが群生しています。そんなシダの森を上から撮ってみました。この光景を見つけたのは偶然です。朝日を撮り終えて次の被写体を探しているときに、橋の上から見下ろすとリズミカルに葉を広げるシダが目に入りました。なんともいえない自然の造形美に惹かれたのです。これが日中であれば、そこまで気にならなかったと思いますが、朝方のフラットな光が幸いしてシダの葉のディテールが際立ち、より一層美しく見えました。そこで、隙間なく生えている場所を探し、解像感の高い望遠レンズでシャープに切り取りました。光の強弱を利用して、緑の陰影をうまく引き出すことがポイントです。

使用したレンズ:

Aマウントレンズ SAL70400G2

5 木陰で
ひと休みしながら

シャッター速度1/2000秒 F値8.0 -1.0EV ISO800 NEX-5N + E 18-55mm F3.5-5.6 OSS〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度1/2000秒 F値8.0 -1.0EV ISO800 NEX-5N + E 18-55mm F3.5-5.6 OSS

この写真は木陰で一休みしているとき、ふと振り返ると森のトンネルの先に海が見えたので撮ったものです。もちろん実際にはこれほど暗くはありません。木の一本一本、道の様子も肉眼ではっきり見えています。しかし、明るい海と暗い木陰などの輝度差の激しいシーンでは、露出補正をマイナスに調整することでこのようなコントラストを強調した表現が可能です。実はキットレンズで撮影しているのですが、こうしたテクニックを知っていると限られたレンズでも写真の幅が広がります。HDRやDレンジオプティマイザー機能がONになっていると明暗のメリハリが弱まってしまうのでOFFにしておきましょう。

6 通り雨が告げる
シャッターチャンス

シャッター速度1/80秒 F値8.0 ±0EV ISO100 α77 + Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度1/80秒 F値8.0 ±0EV ISO100 α77 + Vario-Sonnar T* DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA

入道雲が発達しやすい沖縄では、通り雨も珍しくありません。旅歩き写真にとって、通り雨は恵みの雨でもあります。置き土産として、虹が現れてくれるからです。そろそろ晴れそうになったら、太陽を背にして順光の方向に虹を探してみましょう。できれば高台や海岸など広範囲を見渡せる場所で待っていると見つけやすいです。
虹は消えたり現れたりとシャッターチャンスは多くないので短時間勝負。雨宿りしているときに事前にカメラを設定しておきたいところです。おすすめは、クリエイティブスタイルを「風景」や「ビビッド」にしておくと色が鮮やかに出ます。虹がはっきり写らないときは、露出補正を少しだけマイナスにするのも手です。注意点として、PLフィルターを装着したまま撮影すると虹は写らないので効果を切るか、外しておきましょう。

使用したレンズ:

Aマウントレンズ SAL1680Z

7 その瞬間の
ドラマを切り取る

シャッター速度1/500秒 F値9.0 ±0EV ISO200 α99 + 70-400mm F4-5.6 G SSM II〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度1/500秒 F値9.0 ±0EV ISO200 α99 + 70-400mm F4-5.6 G SSM II

雲の変化が激しいゆえに、こんな幻想的な光景に出会うこともあります。夕方、辺りはどんよりと雲に覆われ暗くなっていくなか、遠くに目を向けると太陽の光が部分的に降り注いでいました。そこで、暗い雲と海で明るい光をサンドイッチするように望遠レンズで切り取ってみました。シンプルな構図ですが、切り取り方ひとつで印象は大きく変わります。

使用したレンズ:

Aマウントレンズ SAL70400G2

8 静謐な海を
月明かりでとらえる

シャッター速度10秒 F値8.0 ±0EV ISO800 α7S + LA-EA3 + Distagon T* 24mm F2 ZA SSM〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度10秒 F値8.0 ±0EV ISO800 α7S + LA-EA3 + Distagon T* 24mm F2 ZA SSM

静かで穏やかな夜の海。月明かりでの撮影は意外と簡単なのでおすすめです。これは前景にアダンの木を入れてシルエットを生かしながら、月と海と砂浜が一直線になるポジションを選んで広角レンズで撮影しました。ピント合わせもそこまで難しくなく、月や海原など合わせやすいところにオートフォーカスでOK。また、ホワイトバランスは電球モードなどにして青味を少し強めています。シャッタースピードは10秒。ブレないよう三脚は必須です。あとはセルフタイマーやリモートコマンダーなどを利用して手ブレしないようにシャッターを切るだけ。スマートリモコンなどのアプリを使って、スマートフォンによる遠隔撮影もいいですね。夜なので懐中電灯やヘッドライトがあるとカメラを設定する際に便利です。また、くれぐれもハブにご注意を。

使用したレンズ&アクセサリー:

Aマウントレンズ SAL24F20Z

三脚 VCT-P300

リモートコマンダー RM-VPR1

9 星を撮る間の
ひとときを愉しむ

シャッター速度3355秒 F値3.5 ±0EV ISO100 α7S + LA-EA3 + Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM II〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度3355秒 F値3.5 ±0EV ISO100 α7S + LA-EA3 + Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM II

満天の星空も日常ではなかなか出会えない風景のひとつ。より美しく星を撮るためには、日中の明るいうちに街灯が少なく空が開けているポイントを見つけておくことが重要です。また時間があれば、長秒露光で星が降り注ぐような表現にチャレンジするのもおすすめ。バルブ撮影で約56分シャッターを開け続けると、この写真のような星の軌跡が描けます。長時間の撮影になるのでバッテリーはフル充電しておきましょう。機種によってはスマートフォン向けのモバイルバッテリーで給電しながら撮影することも可能です。撮影が終わるのを待ちながら、誰かと語らうのもいいし、一人で物思いにふけるのもいい。そんなひとときも楽しいものです。

使用したレンズ&アクセサリー:

Aマウントレンズ SAL1635Z2

三脚 VCT-P300

リモートコマンダー RM-VPR1

10 刻々と変わる空と
ともに朝を迎える

シャッター速度30秒 F値8 ±0EV ISO1600 α7S + LA-EA3 + Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM II〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉 シャッター速度30秒 F値8 ±0EV ISO1600 α7S + LA-EA3 + Vario-Sonnar T* 16-35mm F2.8 ZA SSM II

日の出前の空は、刻一刻と色が変わっていきます。まだ辺りが薄暗い段階から撮影をスタート。三脚を使って30秒ほど長秒露光すると、見た目以上に鮮やかなグラデーションが浮かび上がります。そんな美しい空を見つめながら朝を迎えると、大きな自然のなかにいる小さな自分を感じます。それもまた旅先ならではの貴重な体験です。

使用したレンズ&アクセサリー:

Aマウントレンズ SAL1635Z2

三脚 VCT-P300

リモートコマンダー RM-VPR1

写真家 福田健太郎さんが解説する旅歩き写真の楽しみ方はいかがだったでしょうか。みなさんもαと一緒に、すてきな旅に出かけませんか。

写真家 福田健太郎さん〈まだ見ぬ風景と出会う、夏の旅へ [美ら海編]|Sony’s feature|ソニー〉