これまで4回に渡って、リビングの空間コーディネートのポイントを教えていただいたインテリアスタイリストの窪川勝哉さん。連載の最終回となる今回、提案いただくのは、書斎のコーディネートです。
人々の働き方が多様化する中、自宅で仕事をするという機会は、以前よりも増えています。そのため、自宅であっても、いかに作業効率を上げられるかが求められるようになるはずです。
今回、窪川さんには、これまで趣味部屋の延長にあったような書斎をホームオフィスへとグレードアップさせるテクニックを教えていただきました。
「仕事の作業効率を高めるために最優先したいのは、天板の広いテーブルを選ぶことです。PCが置けるだけで、レポートなどの他の資料が置けない狭い天板では、作業効率は上がりません」
そこで、窪川さんが提案するのは、デスクトップからライトを外すこと。紙の資料などを読みやすく照らすライトは、書斎には欠かせないものですが、そのライトを床置きタイプに変更することで、デスク上のスペースを大きくとることができるようになります。
「また、仕事で使う道具は、収納ワゴンなどにまとめて整理しておけば、テーブル上に道具が散乱する、といった状況も防げます」
書斎やワークスペースのテーブルに、小さなテレビが置かれているシーンをよく見掛けます。ですが、作業効率を重視すれば、テレビはできれば壁掛けタイプを導入したいところです。壁掛けテレビなら、テーブルラックなどが不要のため、空間をより広く使えます。さらに、テーブル上に設置する場合も、作業スペースを広く採れる上に、より大画面のテレビを選べるようになります。
「仕事における情報収集にテレビが欠かせない、という人は少なくありません。ですが、テレビをテーブルの上に置いてしまうと、作業がしにくくなりますし、専用のラックを用意すると、部屋のスペースが狭くなります。その点、壁掛けタイプのテレビなら、空間を有効活用できて作業効率がアップしますし、空間がスマートでスッキリとした印象になるため、打ち合わせなどに人を呼ぶ場合も、躊躇せずに招けるようになります」
「テレビを壁掛けタイプにすると、テーブルの上を広く使えるのに加えて、空間全体が広く感じられる効果も。図面などの資料も大きな画面でチェックできるので、確認しやすくなりますよ」
「壁掛けタイプのテレビを選ぶと専用のラックが不要になり、そのスペースにサイドボードなどを置くことができます。例えばここに、コーヒーメーカーを置いてみてはどうでしょう? コーヒーは仕事に欠かせない、という人も多いでしょうし、コーヒーメーカーの脇に観葉植物を置いておけば、視覚的にも“ゆとり”が生まれます」
「テレビを壁掛けタイプにした場合、あまり目立たせたくないのがケーブルや電源タップ類です。今回は、テレビからサイドボードへ、真横へとケーブルをはわせています。さらに、目隠し用のボックスを使えば、余ったケーブルやアダプター部を簡単に隠すことができます」
「また、音や光は空間に漂い、空間全体の雰囲気を左右するものです。例えば、Bluetooth対応のLED電球スピーカー「LSPX-103E26」を使うと、部屋全体から音楽が響いてくるように感じられて、心地いいですね。さらに、光の色もスマートフォンを使って自在に変えられます。作業に集中したい時や、リラックスしてアイデアを生み出したい時など、状況に応じて光の色を変えれば、仕事効率がアップしそうですよね」
これまで5回に渡ってお届けした本連載。そのすべてで窪川さんが主張するのは、限られた空間の中においては、床面にばかりモノを集中させない、ということ。テレビを壁掛けタイプとしてラックなどを不要とし、デスクライトは床置きタイプに、そして、スピーカーは天井から吊るす……。これだけでも、部屋はスッキリと整理され、同時に空間にメリハリが生まれます。インテリアにこだわりたい方はぜひ、窪川さんのアイデアを実践し、その効果を体験してみてください。
B-LINE/ボビーワゴン(45,000円/税抜)
●メトロクス ◆03-5777-5866
dyson/CSYS Floor(101,000円/税抜)
●ダイソン ◆0120-295-731
【識者プロフィール】
インテリアスタイリスト
窪川勝哉
インテリアのみならず、クルマや家電、ステーショナリーなど、プロダクト全般に造詣が深いインテリアスタイリスト。雑誌やTV番組など、メディアでのスタイリングだけでなく、ウインドウディスプレイやマンションのモデルルーム、イベントのデコレーションなども手掛ける。2011年に渡英。1年半のロンドン滞在を終え、2013年から再び東京に拠点を移して活動中