動物たちの演技に心がほっこりしたり
感動をしたことはありませんか?
今回は、映画で活躍する動物たちの仕事ぶりと撮影の舞台裏について、犬猫から昆虫まであらゆる生き物のコーディネートをされているZOO動物プロのアニマルトレーナー 北村 まゆみさんにお話をうかがいました。
映画を支えるさまざまなお仕事の舞台裏に迫る本シリーズ、“アニマルタレント編”をお届けします。
また、今日から使える、動物たちと仲良くなるための極意も教えてもらいました。
アニマルトレーナー
北村まゆみ さん
ZOO動物プロの映画への動物コーディネートは『ALWAYS 三丁目の夕日』『ネコタクシー』『犬飼さんちの犬』『LOVEまさお君が行く』『舟を編む』『猫侍』『幼獣マメシバ』『家族はつらいよ』『三月のライオン 前編・後編』『ナラタージュ』『旅猫リポート』『町田君の世界』『柴公園』『さくら』『花束みたいな恋をした』『犬部!』『猫は逃げた』『ハケンアニメ!』『三日月とねこ』『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』『おーい応為』など多数の作品を手掛ける。
そもそも動物たちは
どうやって演技をしているの?
ー北村さん 「映画の撮影といっても、ものすごく特殊なことをしているのではなく、日常の遊びの延長のなかで身につけている『おすわり』『まて』など基本的なことが、演技に繋がっています。大切なのは、動物たちとのコミュニケーション。人間と会話するように動物たちとも会話をしています。実は、彼らが出演する映画の台本も撮影に入る前に読み聞かせているんです。彼らが理解しているかどうかにかかわらず、伝えたよという事実が大事。そうやって事前に会話をしていることで、いざ撮影現場で俳優さんに話しかけられると、犬や猫としては『お、今日はこの場所で何かやらなきゃいけないんだな、僕らは何をやればいいのかな』となります。
ワクワク感が大きいほどいい表情になりますね。ただ、台本に動物の動きについて書かれていない場合、撮影現場の段取り(撮影前に芝居のすり合わせ、カメラの動きを確認する作業)まで、どんな演技が求められているのか分からないことが多く、事前に練習することは難しくなります。ですから、演じるための準備というよりも、撮影する環境に慣らすことの方が必要です。
ほかには、共演の俳優さんにはどう接すればいいのかアドバイスします。犬にしても猫にしても、それぞれ好きなことやモチベーションの上げ方が異なるので、『この子はこういうことが好きです』『指示を出すとこうします』ということを把握してもらい、俳優さんからも歩み寄ってもらうことも大事だと思います」
感情豊かに役を演じる
アニマルタレントの演技
ー北村さん 「犬や猫に悲しい表情をしてもらうことは難しいですが、目線や顔の角度を少し下げることで悲しく見えたり、寂しそうに見えます。その子の好きなものを下に置いて、それを見るように指示すると、悲しい演技になります。
意外と難しいのは、犬の場合、遠い場所から歩いてきて定位置に座る演技です。そもそも犬は呼んだら走ってきますから、ゆっくり歩くというのが難しいんですね。そういう場合は、何をするとどう動くのか、動物の習性をトレーナーが学んで、演技に活かすこともあります。
また、ひとつの役を何匹かで演じることもありますが、動物もいち出演者ですから、理想は同じ子が演じてほしいという思いもあり、その子に負担がかからないように時間の調整や環境のご相談をしながら撮影を進めることもあります」
オーディションもあるの?
ー北村さん 「撮影前には、オーディションがあります。ビジュアルが重要視されることもあれば、ポーズや技が必要な場合など作品によって条件はいろいろですが、必須条件となるのは、どこに連れて行ったとしても食事、排泄、睡眠ができることが大事です。家でできていることが、撮影現場のように環境が変わるとできなくなることもあるので。キャスティングが決まった後の事前準備としては、撮影が室内なのか屋外なのか、暑いのか寒いのか、どんな場所で撮影するのかを確認します。撮影現場は、機材も人も多いですが、動物たちにとって“一番安心ができる存在=トレーナー”が安心スポットになるので、トレーナーとの関係がしっかりしていれば自然と環境に慣れていきます。もちろん、同じシーンで共演する俳優さんとは、カメラが回っていない時にもコミュニケーションを取っていただきます。犬の場合は、空き時間にお散歩に行ってもらい、(余裕のある時は)排泄の処理やブラッシングもやっていただく。
撮影現場で欠かせない、ケア用品やおやつ、おもちゃ(犬の場合の一例)
犬が興味をひくように、さまざまな音の鳴る道具も揃えている
犬は、何かを求められることが嬉しいので、映画出演のような仕事も楽しめる子が多いです。成功して褒められて嬉しかった、というポジティブな記憶が残りやすいため、ワンカット撮影が終わるごとに褒めることも大事です。一番困るのは、罵声ですね。動物本人に向けられている言葉じゃなくても、空気が伝わってしまうので、俳優さんやスタッフさんが『撮影現場では怒鳴らないように』と注意喚起してくださることもあります」
動物たちと信頼関係を築くための
一番大切なこと
ー北村さん 「日頃からコミュニケーションを取るというお話をしましたが、アニマルトレーナーの役割として一番大切なのは、毎日の観察です。動物たちの動き、食欲、排泄、そのチェックがとても大事です。食べる量や食べ方がいつもと違うとか、ほんの少しのサインを見逃さないようにするには、とにかく観察することです。観察することで、動物の習性が分かる、それぞれの個性も見えてくる、結果的にアニマルタレントとしての適性にも繋がっていきます。
犬や猫は、人間に比べて4〜7倍の速さで老化が進むので、どうしたって寿命が短い。アニマルタレントとして映画に出演する、そういう仕事ができる期間も限られていますから、動物たちの輝いている姿を映画のなかに残すためには、撮影期間中もその前後も、日々の体調管理がトレーナーにとっての最大の仕事になります」
「動物保護サークルを題材にした
青春ストーリー、
映画『犬部!』の撮影舞台裏話
ー北村さん 「印象的なシーンのひとつとして、冒頭で登場する迷い犬のニコが林遣都さんに保護されるシーン。ニコ役のミックが林さんの懐に入っていきます。この迷い犬のキャスティング時、冒頭シーンでは怯えている演技が必要とのことでした。とはいえ怯えさせる演技を犬に求めることはできません。もともと保護犬でおどおどしている性格のミックをキャスティングさせてください、とプロデューサーに頼みました。撮影前に、林さんがミックとたくさんコミュニケーションをとってくださったことで、あの世界観が撮ることができました。林さんの歩み寄りがなかったら実現しなかったと思います。
また、クライマックスで林遣都さん演じる颯太の飼い犬 花子が、老化で足と目が不自由なミニチュア・ダックスフンドのエルサをいたわって前足を撫でるシーンがあります。あの演技は花子役のちえちゃん自らの演技でした。
たまに人のお芝居に動物が入り込む瞬間があって、苦しんだり悲しんだりしている様子を見ると慰めに行くんですよね。エルサとのシーンは犬同士でしたが、花子(ちえちゃん)は本当に賢くて空気も読めるので、偶然の行動とはいえ奇跡のようなシーンになりました」
【左】花井颯太(林遣都さん)と飼い犬 花子(ちえちゃん)と、
【右】柴崎亮介(中川大志さん)と飼い犬
太郎(きぃくん)
颯太(林遣都さん)が花子(ちえちゃん)と寄り添いながら眠ってしまうシーンは思わずほっこり
笑いと癒しの剣客エンターテインメント
映画『猫侍』の撮影舞台裏話
ー北村さん 「『猫侍』の玉之丞(たまのじょう)役のあなごは、保護猫で引き取った猫でした。白猫というオファーであなごがキャスティングされましたが、動物界のなかで“白色”というのは非常に弱い立場で、敵に狙われやすいことから物陰に潜む傾向があります。なかでもあなごは、すぐに逃げるし鳴く。しかも、クライマックスでは北村一輝さんの胸元に収まった状態で殺陣のシーンがあるので、大丈夫だろうか……と心配でしたが、北村さんがとても猫の扱い方がお上手で、あなごのような神経質な猫が好きと言ってくださって。アクションシーンでも北村さんの腕の中でしっかり演じていましたよね。北村さんへの安心感の表れだと思います。
撮影時、あなごは14歳でしたが、『猫侍』でアニマルタレントとして開花して、どんどん可愛くなっていくというか、見られる=注目を浴びることが快感になっていったようです。あれほど逃げ足が速かったのに、全然動じなくなりました。20歳のお祝いには北村さんがあなごに逢いに訪ねてきてくださいました。21歳まで生きましたが、いまだに命日にファンの方からお花が届きます」
幕末の剣士斑目久太郎(北村一輝さん)と、白猫の玉之丞(あなご)
動物たちの演技は、アニマルトレーナーや共演俳優との密なコミュニケーションから生まれる信頼関係のうえに成り立っています。その演技に隠されたその関係性を知れば、映画鑑賞に新たな視点が加わり、驚きと感動がさらに深まるのではないでしょうか。
【動画で見る】
“ワン”ダフルな動物たちの演技と
トレーナーとの信頼関係
実際の撮影現場での裏話を伺った
『犬部!』と『猫侍』は
各種VODサービスでご覧頂けます
映画『犬部!』
犬が大好きな主人公・花井颯太が、「目の前の命を救いたい!」という熱い想いを胸に、獣医学部で知り合った同級生らと一緒に動物保護サークル「犬部」を設立。16年後、獣医となっても保護活動を続けていた颯太が“逮捕された”という報道をきっかけに、それぞれの道を歩んでいた仲間が再会、あるミッションを実行することに。颯太の愛犬・はなこを演じた名優ちえちゃんをはじめ、さまざまな環境に置かれた犬猫が登場します。
監督:篠原哲雄 脚本:山田あかね Blu-ray&DVD
発売中
発売元:VAP ©2021『犬部!』製作委員会
映画『猫侍』
北村一輝が演じる斑目久太郎は、凄腕の剣士でありながら浪人で困窮の日々を送っています。ある日、久太郎のもとに「猫を斬ってほしい」という依頼が舞い込み、報酬ほしさにしぶしぶ引き受けるものの、ターゲットの白猫・玉之丞(たまのじょう)の美しさに魅了され、一緒に暮らすことに。剣術しか取り柄のなかった男が猫との暮らしによって変化していく姿をコミカルに描いた時代劇エンターテインメント。玉之丞役の白猫あなごの堂々たる芝居に惚れます。
監督:山口義高
脚本:永森裕二/山口義高/城定秀夫 Blu-ray&DVD
発売中
企画・配給:AMGエンタテインメント ©2014『猫侍』製作委員会
犬のほうから寄ってきたら、堂々と触れてください。恐る恐る触るのはダメです。寄ってこない場合は、少し目線を下げて、それから目線を合わせて、まずはにおいを嗅がせてあげて「私はこういう者です」とお知らせしたうえで触ってみてください。自信をもって触ったほうが犬は安心します。触れる部分は、頭や背中。脚先など身体の先端部分は触らない。あとお腹はとてもデリケートな部分なので、いきなり触らないほうがいいですね。
質問
上手に撮影するにはどうすればいいですか
もしスマホを向けると逃げてしまう場合は、カメラのレンズが目玉に見えて怖いからです。少し離れたところからズームを使って撮ったほうが、穏やかな表情が撮れると思います。犬の注意をひくには、その子がどんなことに興味があるのかを知ることも必要。犬はこちらのリアクションをよく見ていますから、一緒になって喜んだり声を出したりしてみてください。上手に撮れた時は、褒めてあげる、おやつをあげる。今の状況が良かったことを伝えてあげてください。
犬は、吠えて知らせるのが仕事なので、過剰に吠えているつもりは全くないんですよね。ですから、吠えたときに怒るなど大袈裟にリアクションをしないことです。厳しく叱る、運動チョークを締める、というようなしつけをしても大体は改善しないので、吠えたらハウス→そこにおやつがあるというように、ポジティブな記憶で教える必要があります。犬は飼い主をよく見て観察しています。たとえば、玄関のチャイムがなって「はーい」と言って出ると、飼い主の言葉に呼応して吠えることも。飼い主がうるさいと犬もうるさくなりがちです。
猫は、環境や種類によって性格はバラバラですが、知らない場所へ連れていくと怯えることが多いです。飼い主さんはつい猫を怯えから守ってしまいがちですが、ストレスを避けて育ててしまうと、いざペットホテルなどに預けなくてはならない時に大きなストレスになってしまいます。小さな頃から爪切りだけでもサロンに行く、病院でのワクチンの時に預けてみるなど、環境の変化に慣らすようにしてみてください。猫は環境に順応するのに時間がかかる子が多いので、外の世界を教えながら育てるという意識を持ったほうがいいですね。
質問
おもちゃを新しく買ってもすぐに飽きてしまいます
大人になると、おもちゃを用意してもそう簡単にはつれなくなります。子どものうちは目新しいものに興味を持ちますが、大人になると「それ、もう知ってるよ」となるんですね。なので、その子がどんなおもちゃに興味を示すのか観察をして、新しいものに興味を持つなら新しく買ってもいいですし、自分で作ってみるのも楽しいと思います。犬と違って猫は、家の空間の上も動きますから、活発な子にはキャットウォークを作ってあげると楽しんでくれます。
猫は、腰の辺りをぽんぽんと触れると気持ちがよくなって喜びます。その興奮がマックスになると、嬉しくてテンションが上がって噛んでしまうことも。猫にしてみたら遊びの延長上で噛んでいるのだと思います。
怒って攻撃してくるときは耳が寝ていますから、そういう場合は一旦クールダウンさせないと手がつけられない。怒った猫は、爪も武器になるので、普段からまめに爪を切っておいたほうがお互いのためにもいいと思います。
犬は人間の数千〜1億倍、猫は数十万倍の嗅覚を持っていると言われています。犬カフェや猫カフェに行くときは、特に揮発性の香水は避けましょう。また、犬も猫もタバコのにおいが苦手な場合が多いです。
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デジタル配信中 発売・販売元:株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント © 2014 Columbia Pictures Industries, Inc. and Village Roadshow Films North America Inc. / Village Roadshow Films (BVI) Limited. All Rights Reserved.
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恋愛小説家
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デジタル配信中 発売・販売元:株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント © 1997 TriStar Pictures, Inc. All Rights Reserved.
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デジタル配信中 発売・販売元:株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント © 2019 Columbia Pictures Industries, Inc. and Bona Film Investment Company (Pacific Rim, USA). All Rights Reserved.
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