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タイトル:映画をもっと好きになる・観たくなる 映画×ブラビア 映画制作を支えるさまざまな仕事を訪ねて
フードコーディネーター編 映画ごはんを再現
はらゆうこさんのおしごと
〜映画「余命10年」で登場したポトフ〜 解説:話題作をはじめ数多くの映画で料理監修をされているはらゆうこさんに、フードコーディネーターが映画制作において何をされているのか、はらさんのお仕事のお話を伺いながら、映画「余命10年」に登場したポトフのレシピを教えていただきます。 映像:フードコーディネーターのはらゆうこさんがキッチンで作業している後ろ姿 ポトフのレシピ:にんじんは皮をむき縦半分にし、さらに3等分。玉ねぎは8等分のくし切りにする。 質問:《フードコーディネーターを初めて知った時の印象は?》 はらさん:フードをコーディネートするって何をしている人なんだろうと思って、なんかすごくおしゃれなことをしている人だと思いました。(笑) 映画だと一冊の脚本を渡されるので全部読みます。
そこからどうしてこの料理になったんだろうとか そこから詰めていくことが多いので
私は何かの依頼に応えるとか 何かから読み解いて何かを生み出す一つみたいなことの方が好きというか得意というか 物語に馴染んでるっていうことで よしよしって思ったり良かったと思ったりする方が好きですね。
なので(料理も)その役者さんの一部なのかなって気はします。 ポトフのレシピ:キャベツ(1/4株)を3等分にする。じゃがいもの皮をむき4等分にカットする。 はらさん:じゃがいもをピーラーでむくのが嫌いです。 細かくむけちゃうんで大きい面でむけないんですよ。 人が作った感じがしないから好きじゃないっていうか 煮上がった時にピーラーでむいたじゃがいもだなって思っちゃうので。(笑) はらさん:演出の中では“家庭的なもので おいしそうに見えて 湯気が出るもの”っていうものがもともとあって その中でポトフかなっていうものは(自分の中では)決まっていたんですね。 何かしらお肉は入れたいなと思っていて ただベーコンがダメではないんですけど塩分としては高めなので それにちょっと私が躊躇していて入れない方がいいかなって少しだけ思っていたんですね。実際映像の中でこれを茉莉(まつり)ちゃん(『余命10年』の主人公)が食べて大丈夫かなとか 観ている人に「この人病気を患っていてこれを食べていいのかな」って思われちゃいけないなと思ったので そこは要望に応えながら大丈夫だよねっていうものを調べました。 ポトフのレシピ:ベーコンは好みの大きさにカットする。鍋にオリーブオイルを入れて熱し、ベーコンを焼く。 はらさん:劇中もそうなんですけどフライパンじゃなくてお鍋の中に入れて焼いているので ほんとに焦げ付かないようにさっとで大丈夫です。 質問:《料理シーンの撮影現場で見るこだわりは?》 はらさん:(調理器具は)どういうものを使っているかとか その家の生活感を感じるものの一つなのでキッチンとかよく映ってくるので 一つずつそれを確認される監督さんとかもいらっしゃいます。
もうあと30分くらいでお料理のシーンっていうところで監督が「この飾りだと撮れない」って 「フードさんいない?」って言われて 私、ハイって言ったら「どう思うこのキッチン?」「専業主婦の設定だから もうちょっとこだわったものを使っていていいんじゃない」とか「その人がどういう人かっていうことを反映するキッチンではない」っていう風に監督がおっしゃって「君ならどう思う?」って言われたので・・・飾りでよく置いてある入れ物にパスタを入れてあるみたいなものを飾りで置かれると思うんですけど キッチンスタジオみたいに見えるから「すいません これは無いと思います」っていうことだけを言わせてもらったことはあります。
飾り直しが入ったので 2時間ぐらい待ちになってそこから撮影したことはあります。 ポトフのレシピ:じゃがいも、にんじん、玉ねぎを加える。 ポトフのレシピ:水・・・800〜1000ml
コンソメ(顆粒)・・・大さじ1
ローリエ・・・1枚
粗びき黒こしょう・・・お好み はらさん:ちょっと薄いって感じる人もいるかもしれないですけど、コンソメは大さじ1にしています。ベーコンの塩味で十分食べられるかなって。映画の中で塩分控えめにする描写があるので 極力塩分少なめで お塩は入れなかったです。 ポトフのレシピ:コンソメ、水、ローリエを加えて煮込む。 はらさん:ポトフのシーンだったり そういったところで家族で食べているっていうことが、茉莉ちゃんだけ特別なものを食べているっていう風には監督の中ではしたくなかっただろうなと私は思っていて。家族で同じものを食べているっていう中でそこが齟齬ないように見えなきゃいけないなと思ってそこは気をつけていきました。 ポトフのレシピ:じゃがいもが柔らかくなるまで15〜20分ほど煮る。キャベツを加え、さらに煮る。 ポトフのレシピ:完成。 映像:はらさんがポトフを器に盛りつける。 テロップ:映画「余命10年」で登場したポトフ 質問:《“料理”とは?》 はらさん:自分の得意なものってなんだろうってずっと探していて。 得意じゃないけど好きなものは料理だなと思っていたので、自分の得意なものを仕事にする術を探していた中で、ずっと料理をしていられるというか。 仕込みも楽しいし、撮影現場も楽しいし、何て言ったらいいんですかね・・・ずっとし続けるもの? 欠かせないものでもあるし、でも自分のことを表現するものって言ったら言い過ぎな気がするので・・・私が “ここに居ていいよ”と言っていただけるためのもの、という感じでしょうか。