商品情報・ストア Feature Hi-Res 10 songs vol.4 [後編] : ハイレゾ10曲
 

2018.1.17Hi-Res 10 songsvol.4 : 樋口泰人
[後編]
_映画批評家・boid主宰

ハイレゾで、聴きたかった10曲

「爆音上映」を手がけてきた樋口泰人さんによる「ハイレゾで、聴きたかった10曲」。引き続き、これまでに爆音上映を行ったことのある映画や、最近公開された映画の中で使われている印象的な曲などを紹介していきます。映画には、なくてはならない音楽があり、そうした音楽そのものの魅力を知ることも、楽しい体験。鮮やかに再現された音は、曲本来の世界観やストーリーを伝えてくれます。

本当にかすかな反響を楽しむのに、ハイレゾは適している

06/10

Carla Thomas
「B-A-B-Y」

from 『Carla (Mono)』

「『ベイビー・ドライバー』の主人公であるベイビーと恋人のデボラがはじめて出会うシーンで、デボラが口ずさんでいる曲。つい先日、お台場で開催した爆音映画祭でもこの映画を上映しています。映画の中ではスタックス盤のジャケットが映ってレコードがかけられているので、爆音上映でもそのスタックス盤の音の印象をできるだけ再現して、象徴的な一曲が生きるように音量や音響をチューニングしました。じつは、カーラ・トーマスを最初にCDで聴いたときには、やっぱり古くさい音だなと感じてしまったのですが、こうしてハイレゾで聴いてみると、ようやく当時の録音環境から生まれる空気感のようなものがつかめて、ノレるようになりますね」

07/10

Sonic Youth
「Nevermind
(What Was It Anyway)
from 『NYC Ghosts & Flowers』

「ソニック・ユースは『デーモンラヴァー』の音楽を手がけるなど、オリヴィエ・アサイヤス作品との関係が深い。それ以前にも『感傷的な運命』という映画が2000年に公開されましたが、このアルバムはほぼ同時期に発表されていて、作品づくりの感性がすごくよく似ていると思いました。映像や音楽の中に、幽霊的なものを浮かび上がらせるというか。過去にどう向き合い、いかに蘇らせるか、ということがテーマになっていますね。過ぎていった時間が、音になっているような気がします。このアルバムにはジム・オルークが参加していて、彼の力によるところも大きいはず。目に見えないものの存在を感じたり、本当にかすかなものを体験するのに、ハイレゾはとても適しているのではないでしょうか」

08/10

Elvis Presley
「Can't Help Falling In Love」

from 『The Best Of Elvis, Vol. 2』

「この曲は、公開されたばかりの『ブレードランナー 2049』で使われています。身も心もボロボロになったハリソン・フォードが、主人公のライアン・ゴズリングとともに、3Dホログラムで映し出されるエルヴィス・プレスリーの歌に聴き入るシーンがあるんですよ。それこそ、20世紀の夢の跡そのものというか。『ブレードランナー』シリーズに込められた、人間や地球に対する想いが表れているようで。これは見るしかない(笑)。エルヴィスの歌に関しては、手回しの蓄音機でSP盤を聴くのが最高だと思います。レコードが発明されてから長い歳月を経るうちに失われてしまったものが、一気に押し寄せてくる。とにかく、声が自分の肌に近いという印象です。それがハイレゾで聴いてみると、また新しい音として聴こえるのに驚きました。エルヴィスの声は、ハイレゾで聴いてもやっぱり圧倒的ですね」

09/10

Simon & Garfunkel
「The Sounds of Silence
(Acoustic Version)
from 『Wednesday Morning, 3 A.M.』

「小学6年生のときに聞いて、この曲カッコいいな〜と思った(笑)。洋楽に目覚めるきっかけになった一曲。小学校の向かいにあった中学校から、下校のときに流れてきていたんです。『卒業』という映画で使われて、大ヒットしていたことは後から知りました。映画の中ではフォークロック調のバージョンが使われていますが、オリジナルは『水曜の朝、午前3時』に収録されているアコースティックバージョン。今回、ハイレゾでオーバーダブされたバージョンとも聴き比べてみましたが、オリジナルのほうの繊細でクリアな音が、僕は好きですね。ヘッドホンで聴くと、とくに音のきめの細かさや滑らかさがわかりました。オーバーダブのほうも、さらに世界観が広がっているようで、いろいろ試してみると面白いと思います」

繊細な音がきめ細かく、滑らか。そこに奥深さがある

10/10

Led Zeppelin
「Immigrant Song」

from 『Led Zeppelin III (Remastered)』

「このツェッペリンの『移民の歌』に関しては、完全に中学時代の記憶が染み付いてしまっていて。当時は音質のよくないステレオで聴いていたから、とにかくバリバリとした音の印象が残っているんですよ(笑)。『スクール・オブ・ロック』では、ジャック・ブラックが車を運転しながら熱唱していましたが、あれでもまだ物足りないくらい。『ドラゴン・タトゥーの女』のオープニングを飾る、トレント・レズナーが手がけたアレンジはまったく別物だから、そういう曲として楽しめるのですが。このオリジナルだけは、どうしても…。ハイレゾで聴いてみると、確かにクリアだし、ドラムの音は優しい印象でした。それはそれとして、自分の中にあるツェッペリンの音にはやっぱり勝てない、ということにさせてください(笑)」

【取材を終えて】 それぞれの曲につくり手の目指した音があり、その音にこそ、メッセージやイメージが託されている。そうした音源を鮮明に再現した音に触れると、曲の世界観が変わったり、視界が広がるような驚きがある。樋口さんに紹介してもらったハイレゾの曲を聴きながら、さまざまな発見がありました。一曲に込められたストーリーが、ある映画にとって欠かせないことがあります。迫力ある音に身を任せて、映画を楽しむ「爆音上映」。それは、音楽のもつ力を、映画を通して体感できる上映でもあるのです。(Hi-Res 10 songs編集部)

moraでのハイレゾ商品の試聴再生はAAC-LC 320kbpsとなります。
試聴再生は実際のハイレゾ音質とは異なります。

取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-A45」、ヘッドホン「WH-1000XM2」で試聴しました。

ウォークマン「NW-A45」についてはこちら

ヘッドホン「WH-1000XM2」についてはこちら

音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています。

ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります。

本ページに掲載している情報は2018年1月17日現在のものであり、予告なく変更される場合がございます。

PROFILE

樋口泰人(ひぐち やすひと) 1957年生まれ。山梨県出身。映画批評の執筆活動を続け、『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』の編集委員を務めた後、1998年に自主レーベル「boid」を設立。書籍やCDなどの企画・制作、映画の配給・宣伝、Webマガジンの編集・発行などを手がける。吉祥寺バウスシアターを拠点に、2004年に爆音上映イベントをスタートし、2008年から「爆音映画祭」をプロデュース。2014年に吉祥寺バウスシアターが閉館した後も、「爆音映画祭」をはじめとする爆音上映企画を、全国各地で展開し続けている。著書に『映画は爆音でささやく 99-09』(boid)、共著書に『吉祥寺バウスシアター 映画から船出した映画館』(boid)など。

爆音映画祭 オフィシャルサイト
http://www.bakuon-bb.net/

Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM) / Design by BROWN:DESIGN


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