商品情報・ストア Sony's feature Hi-Res 10 songs vol.6 [後編] : ハイレゾ10曲
 

2019.1.23Hi-Res 10 songsvol.6 : 原摩利彦
[後編]
_音楽家

ハイレゾで、聴きたかった10曲

音楽家の原摩利彦さんによる「ハイレゾで、聴きたかった10曲」。後編は「静寂へと溶け込む曲」をテーマとして、染みわたるような静けさが魅力的な曲を聴いていきます。わずかな人数による演奏であれ、シンプルな構成の小品であれ、隅々にまで心の行き届いた音楽は、何度でもその感触を確かめたくなるもの。そうした音楽にしっかり向き合えることも、ハイレゾの大きな楽しみです。

試聴に使用した製品:ウォークマン「NW-ZX300」
+ヘッドホン「IER-M7」

消え入る音に惹かれて、
静寂と一体になっていく

06/10

Jóhann Jóhannsson
「フライト・フロム・ザ・シティ」

from 『オルフェ』

「ヨハン・ヨハンソンの作品の中でも、とくによく聴いている曲です。静かなピアノの同じメロディがずっと繰り返されて、そこにストリングスや電子音、ノイズなどが重ねられる。そうした音の組み合わせによって背景が移ろい、シンプルでありながら繊細な世界に引き込まれます。普段はスピーカーで聴くことが多いのですが、このヘッドホンで聴いてみると、ピアノの印象がかなり違う。音の輪郭が、しっかり感じられました。遠くから平面的にしか見えなかった顔が、近づいて横顔まで見えたような印象でしょうか。彼が手がけた映画『メッセージ』のサウンドトラックなども、すばらしかった。まだまだ若いのに、亡くなられてしまったのが本当に残念です。数々の作品に、僕も勇気をもらいました」

07/10

Arcadi Volodos
「Musica callada I Angelico」

from 『Volodos plays Mompou』

「モンポウの作品は、ピアノ曲の小品を主として、とても内省的なものが多いことで知られています。音域もそれほど広くなく、一貫して抑制がきいていて、慎ましいとさえ感じられるほど。本人の人柄がそのまま作品に表れているのではないかな、という気もします。このアルバムは、モンポウの曲を、アルカディ・ヴォロドスというロシアのピアニストが演奏したもの。こういう静謐(せいひつ)な音楽を、このヘッドホンで聴くのも、すごくいいですね。音数が少ないだけに、減衰音や余韻が際立って、静寂と一体になっていくような感覚に近い。ショパンやサティもピアノ音楽を探求し続けましたが、生涯をかけて、ひとつの音楽に情熱を傾ける姿勢には、やはり惹かれるものがあります」

08/10

マティアス・ストリングス:
斎藤真知亜、降旗貴雄、坂口弦太郎、宮坂拡志
「レクイエム ニ短調 K. 626(弦楽四重奏版)
I. Requiem(Introitus, Adagio 〜 Kyrie, Allegro)」

from 『モーツァルト: レクイエム 弦楽四重奏版』

「モーツァルトが、最晩年に手がけたレクイエム。自らの手では未完に終わり、のちに弟子がスコアを補筆して完成させた作品です。そもそも、オーケストラの演奏に合唱や独唱が織り交ぜられる構成であるところを、このアルバムでは4名の弦楽器だけで奏でています。そのこと自体が大きな挑戦であり、原曲への深いリスペクトが感じられる編曲、演奏であると思いました。とくにハイレゾで聴くと、細部にいたるまで意識が張り巡らされていて、最良のスタジオ録音を目指していることが伝わってくる。演奏者の息づかいまで間近に聴こえて、臨場感が募ります。先日、新幹線の中でこの曲を聴く機会があったのですが、窓から見る夜の景色とも相まって、思いがけず、またぐっと心に響いてきました」

09/10

Tenebrae Consort, Nigel Short
「Respond for Compline in Passiontide:
In manus tuas I」

from 『Medieval Chant, Tallis Lamentations』

「このアルバムには、中世からルネサンス期にかけてつくられた聖歌が収録されています。ベートーヴェンやモーツァルトの時代よりも、さらにはるか昔に遡りますが、当時の教会音楽にもとても興味があるんです。なかでもこの曲は、美しいポリフォニーが採用されていて印象的でした。レコーディングは、ロンドンの教会で行われたそうです。このヘッドホンで聴いていると、独持の残響に浸ることができて、本当に教会の中にいるようですね。じつは、このナイジェル・ショート率いるテネブレ・コンソートという声楽隊の作品は、今回はじめて聴いたのですが、いい出会いでした。クラシックにしても、聖歌にしても、あらためてハイレゾ音源を探してみると、意外な発見があって面白いと思います」

録音されたものであることも忘れて、
ただ聴き入る

10/10

スヴェトラーナ・サヴェンコ(ソプラノ) /
Yuri Polubelov(ピアノ)
「ヴェーベルン: 3つの詩 - No. 1. Vorfruhling」

from 『ヴェーベルン: 歌曲全集』

「ピアノとソプラノの独唱のみという、きわめてシンプルな構成。聖歌などを別にすると、普段、声楽曲を聴くことはほとんどないのですが、この曲はすごくよかった。とくにピアノのフレーズは、いまでもそのまま通じるくらい、現代的な魅力にあふれていると思います。初期の作品か、もしくは晩年の作品か。僕は、対極のどちらかに惹かれることが多いのですが、この曲は作品番号もつけられていない、ヴェーベルンにとってごく初期の小品。青春の甘い香りのようなものが残っていることも、古びない理由のひとつかもしれません。録音されたものを聴いている、ということも忘れる。そうした感覚こそ、ハイレゾならではでしょうか。音が消えていくところもきれいに聴こえて、深い余韻が残ります」

【ウォークマン「NW-ZX300」とヘッドホン「IER-M7」を使ってみて…】
「最後に紹介したヴェーベルンの曲で、ウォークマンに搭載されている『バイナルプロセッサー』の効果を確かめてみました。この機能をオンにすると、低音の感触が変わるとともに、音像が広がりますね。とりわけ静謐(せいひつ)な曲ですが、音が豊かになる、という印象です。前編で紹介したベートーヴェンの曲が、オーケストラが演奏する森の中にいるように聴こえたのも、この音響効果が影響しているのだと思います。もうひとつ、このウォークマンに関していうと、制作途中のデモ音源を出先で聴くことが多い僕にとっては、パソコンからのデータ転送が、とても簡単でスピーディーにできることも、かなりうれしい発見でした」

NW-ZX300の本体ソフトウェアがVer2.00より以前のバージョンである場合、「バイナルプロセッサー」を使うにはアップデートする必要があります。NW-ZX300Gは対応済みとなります。本体のバージョンにつきましては、こちらからご確認ください

【Hi-Res 10 songs編集部より】
今回のインタビューは、原さんが拠点とされている京都で、ゆかりのあるホールやカフェをめぐりながら行われました。当日、持参していただいた楽譜のスケッチは、原さんにとって、まさに創作の原点といえるもの(前編のプロフィールの上にある写真で紹介しています)。曲づくりの作業のほとんどはコンピューターで進めるものの、まずは手で書き起こしてみることを大切にしていると、話してくれました。さまざまなプロジェクトに携わり、楽曲を提供していくなかで、いま強く自分に課しているのは、与えられた責任を音楽で全うするということ。探求し続けているのは、自分の音楽ができることにほかなりません。

【原摩利彦さんによるトークイベント&ハイレゾ試聴会 開催決定】
下記のソニーストア 3店舗において、原摩利彦さんにご登場いただくイベントを開催いたします。原さんご自身が手がけた楽曲や音源をソニー製品で試聴しながら、さまざまな音のもつ魅力を、みなさんに感じていただくイベントです。原さんがライフワークとしているフィールドレコーディングによって、このイベントのために作成していただいた音源もご用意していますので、ご期待ください。

ソニーストア 大阪:2月9日(土)
(1)11:30〜12:30
(2)14:30〜15:30
イベント情報はこちら

ソニーストア 銀座:2月11日(月・祝)
(1)13:00〜14:00
(2)15:00〜16:00
イベント情報はこちら

ソニーストア 福岡天神:2月17日(日)
(1)13:00〜14:00
(2)15:00〜16:00
イベント情報はこちら

さらに、ソニーストアの各店舗(銀座・札幌・名古屋・大阪・福岡天神)では、2月1日(金)から2月28日(木)までの間、原さんがHi-Res 10 songsで選曲した楽曲のハイレゾ試聴や、ご自身の手がけた楽曲が試聴できる展示を実施いたします。こちらも貴重な機会となりますので、ぜひお立ち寄りください。

moraでのハイレゾ商品の試聴再生はAAC-LC 320kbpsとなります。
試聴再生は実際のハイレゾ音質とは異なります
音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています
ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります

ウォークマンZXシリーズ
[メモリータイプ]

NW-ZX300シリーズ
ハイレゾの、真の魅力を、ここから

商品情報

ソニーストアで購入すると
64,880円+税〜

ご購入はこちら

ステレオヘッドホン
IER-M7
これが、ステージ上で求められる音。
原音を正確に描き出す高音質

商品情報

ソニーストアで購入すると
74,880円+税

ご購入はこちら

取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-ZX300」、ヘッドホン「IER-M7」で試聴しました

PROFILE

原摩利彦(はら まりひこ) 1983年生まれ。大阪府出身。京都大学に在学中に、音楽活動を本格的にはじめる。2012年、アーティストグループ「ダムタイプ」に参加し、高谷史郎によるパフォーマンス作品の音楽を共同制作。2014年、NHK-FMの番組で坂本龍一と即興によるセッションを行う。2017年、毎日放送「情熱大陸」に出演。2018年には、サニーデイ・サービス「さよならプールボーイ feat. MGF」のリミックス、NODA・MAP「贋作 桜の森の満開の下」の舞台音楽、名和晃平「Biomatrix」のサウンドスケープ、ダミアン・ジャレ「Omphalos」の舞台音楽における坂本龍一との共作などを手がける。近年のソロ作品としては、レコード版のみでリリースした『Habit』、アルバム『Landscape in Portrait』など。現在も京都を拠点とし、ピアノを中心とした自身の作品に加え、さまざまなプロジェクトの音楽制作に取り組んでいる。

原摩利彦 オフィシャルサイト
www.marihikohara.com/

本ページに掲載している情報は2019年1月23日時点のものであり、予告なく変更される場合があります

Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM) / Design by BROWN:DESIGN
撮影協力:山食音


Sony’s feature最新記事はMy Sonyアプリで

Sony’s featureの更新情報はMy Sonyアプリでお届けしています。
新製品の情報や、登録した製品の活用情報なども確認できるソニーの公式アプリです。

おすすめ記事

DJ Licaxxxさんがハイレゾで聴きたかった10曲(後編)

DJを主軸としながら、ラジオパーソナリティーやウェブメディアの編集長を務めるなど、さまざまな活動を続けるLicaxxx(リカックス)さんが、原点である電子音楽の進化を続ける楽しさを感じれる10曲を紹介します。

アーティストのためのサウンドをその手に 『IER-M9』『IER-M7』

ミュージシャンが演奏時に装着したり、エンジニアがステージ音響を確認するために作られているインイヤーモニターヘッドホン。この秋、ソニーが新開発のステージモニター『IER-M9』『IER-M7』。そこに込めた設計者のこだわりを紹介します。

開発者インタビュー アナログレコード特有の音響現象をデジタルで再現「バイナルプロセッサー」

「アナログレコードも音が良い」という声が、近年、古くからのオーディオファンだけでなく、デジタル世代の若いファンからも聞かれるようになってきました。そんな中、2018年秋からソニー製品に搭載されはじめたのが、アナログレコード再生時の、音楽をより好ましい音で聞かせる音響現象を科学的に再現した「バイナルプロセッサー」です。単なるノスタルジーではない、その真の高音質を、長らく“音”と向き合ってきた、ソニーのベテランエンジニアが語ります。

開発者インタビュー さらにハイレゾに迫った「DSEE HX」が登場

楽曲データが本来持っている情報を予測・復元することで、CDや圧縮音源にハイレゾ品質の臨場感をもたらす「DSEE HX」。この技術が2018年秋、ディープ・ニューラル・ネットワークによって、さらなる進化を遂げました。その進化の詳細を、開発に関わったエンジニアたちが紹介します。
カテゴリー
    タグ