商品情報・ストア Feature Hi-Res 10 songs vol.8 [後編] : ハイレゾ10曲

2020.1.15Hi-Res 10 songsvol.8 : mabanua
[後編]
_プロデューサー/ミュージシャン

ハイレゾで、聴きたかった10曲

プロデューサー、ミュージシャンとして活躍するmabanuaさんによる「ハイレゾで、聴きたかった10曲」。後編も、音楽の可能性を切り開くアーティストの曲を聴いていきます。演奏もボーカルも、どこか人間味が感じられるものに惹かれる。曲の中のわずかなズレやゆがみ、ラフな質感こそ、mabanuaさんが大切にしたいもの。そうしたつくり手の個性が表れた部分も、ハイレゾでより鮮やかに。

試聴に使用した製品:ウォークマン「NW-ZX507」+イヤホン「IER-M7」

バックコーラスの聴こえ方で、印象が変わる

06/10

Quadron
「LFT」

from 『Avalanche』

「この曲は、オケ自体はシンプルなのですが、じつはバックコーラスにかなり手が込んでいて。ファルセットのうっすらと伸びるコーラスが入っていたり、声楽が多重になるアレンジがすごい。ハイレゾでは、そうしたバックコーラスもしっかり聴こえて、それによって曲の印象が大きく変わってきます。Rhyeにも参加していたロビン・ハンニバルのバランス感覚が、僕は好きです。アメリカナイズされていなくて、ヨーロッパ的な洗練や、アシッドジャズに通じるニュアンスを感じる。ビートに対して、声楽やメロディのちょっとしたズレを残すところにも魅力を感じます。そうしたわずかな違いの中で、いかに個性を出していくかが、プロデューサーとしての大切な役目でもありますね」

07/10

Leon Bridges
「Bet Ain't Worth the Hand」

from 『Good Thing』

「往年のソウルやR&Bの系譜ながら、リオン・ブリッジズの歌声はほどよく素朴で新鮮。ピッチをちょっと低くして歌ったり、ビブラートをあいまいにしてみたりと、人間味のようなものをコントロールするのもうまい。こうしたオーセンティックな音楽を追求する若いアーティストが登場してくるところが、アメリカの層の厚さですね。この曲については、贅沢に予算をかけた映画音楽のような音像にも驚きました。とくにストリングスの奥行きのある響きを、ハイレゾで確かめてほしいです。ストリングスに関しては、鳴っているすぐそばで録音すると、いい音に録れません。かなり広い空間で、反響も含めて、離れたところから録るのが基本。実際の録音環境まではわからないのですが、広々とした空気感が実現されていると思います」

08/10

ScHoolboy Q
「JoHn Muir」

from 『Blank Face LP』

「最近のヒップホップに多用されている、エレクトリックな機材だけでつくられたトラックは、どうしても同じように聴こえてしまって。やっぱり、サンプリングをベースにしていたり、なにかしら有機的な要素を取り入れたヒップホップのほうが、僕にはグッときますね。スクールボーイQやJ・コール、ケンドリック・ラマーなどは、そういうアプローチを続けている、メジャーでは数少ないアーティストだと思います。この曲にも、アナログレコードを再生したときのような、サーっていうノイズが入っていて、あえて汚しを入れた質感であることが、ハイレゾで聴くとよりわかりやすい。歌詞はたしかにハードコアですけれど、メロウなコードに移るところがあって、あぁ来た来た…と情感があふれてくる、にくい曲です」

09/10

J. Cole
「KOD」

from 『KOD』

「ミュージシャンを実際にスタジオに呼んで、演奏してもらった音源を使って、トラックをつくっていく。J・コールのそうしたメイキング映像を見たことがあって、シンパシーを感じました。ラッパーであるだけでなく、自分でトラックをつくることができ、プロデュースしていく才もある。彼のように、音楽づくりのさまざまなプロセスを自分でできる人が増えてくると、もっと面白くなるのかなと。今回選んだのは、とくに引っかかる一曲というか。音楽のつくり的に、発見がある。少ない音数で、ずっとループしているトラックに、リリックのリズムだけで抑揚がつけられています。ハイレゾで聴くと、その少ない一音一音の質感が、いっそう際立ちますね。パワフルではあるけれど過剰ではない、ギリギリのところで抑制された絶妙なミックスであることがわかります」

音が詰め込まれていても、響きに余裕を感じる

10/10

Carly Rae Jepsen
「ラン・アウェイ・ウィズ・ミー」

from 『Emotion (Deluxe)』

「カーリー・レイ・ジェプセンの曲は、ポップミュージックとして、すごくクオリティが高い。どの曲もキャッチーで、メロディメイカーとしてのセンスが並外れています。しかも、シカゴで開催されているピッチフォーク(・ミュージック・フェスティバル)に出演していたりと、音楽通の人たちにも受け入れられているところがあって。シンディ・ローパーの魅力にも通じるというか。曲にまるで嫌みがないところも、すごいと思います。この曲もとてもポップで、パンパンに音が詰め込まれていますが、再生されている器が大きく感じられると、やっぱり聴きやすい。それほどボリュームを上げなくても、聴きごたえがあります。声で遊んでいる感じ、はしゃいでいるような感じも、よく伝わってきました」

【ウォークマン「NW-ZX507」とイヤホン「IER-M7」を使ってみて…】 
「ウォークマンに関しては、最近のスマートフォンのような操作感に近くて使いやすかったです。タッチパネルの操作画面がアイコンで構成されているから、すごくわかりやすい。タップすべきところを、ひと目で見つけられました。しかも、このタッチパネルは反応が速くて、パッパッと切り替わるのでストレスを感じない。ミュージシャンには、せっかちな人も多いので助かります(笑)。再生している曲のスペックが、画面の上部に表示されるのも、僕にとってはうれしい。ハイレゾ音源でも、FLACやDSDといったフォーマットの違いや、48kHz/24bitや96kHz/24bitといったサンプリングレートの違いを確かめながら聴けると、より楽しいですね」

mabanuaさんが製品開発者とも対談した「LOVE MUSIC」はこちら >>

【Hi-Res 10 songs編集部より】 
音楽をつくるときは、いい音を大きく鳴らせる環境で作業したい、ドラムは絶対に生で叩きたい、といった思いがmabanuaさんにはずっとあったそうです。都内を離れ、自宅にスタジオを新設したのは、自分の音楽をよりリアルに確かめられる空間を求めてのことでした。生演奏と打ち込み、温かさと冷たさ、有機的なものと無機的なもの。そうした相反するものが隔てなく共存する音楽は、どこかやさしい。窓から光の射す心地いいスタジオが、mabanuaさんの音楽が生まれる場所です。

音楽配信サイト「mora」で配信されている曲の中から選曲をしています
「mora」でのハイレゾ商品の試聴再生はAAC-LC 320kbpsとなります。
試聴再生は実際のハイレゾ音質とは異なります
ハイレゾで聴く場合は「mora」で購入する必要があります

NW-ZX500シリーズ

ウォークマンZXシリーズ
[メモリータイプ]

NW-ZX500シリーズ
あらゆる音源を、高純度の描写力で。
ハイエンド・ストリーミングWALKMAN

商品情報

ソニーストアで購入すると
80,000円+税

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IER-M7

ステレオヘッドホン
IER-M7
これが、ステージ上で求められる音。
原音を正確に描き出す高音質

商品情報

ソニーストアで購入すると
74,880円+税

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取材時にはハイレゾ対応のウォークマン「NW-ZX507」、イヤホン「IER-M7」で試聴しました

PROFILE

mabanua(マバヌア) プロデューサー、ドラマー、シンガーなどとして、多岐にわたって音楽活動を続ける。ドラムのほかにも、さまざまな楽器を演奏するマルチプレーヤーである。これまでに、Chara、ライムスター、米津玄師、向井太一をはじめ、数多くのミュージシャンとコラボレーション。トロ・イ・モワ、チェット・フェイカー、マッドリブ、サンダーキャットといった海外アーティストとも共演を果たした。プロデュースした楽曲は、CM、映画、ドラマ、アニメなどにも提供している。現在は、Shingo Suzuki、関口シンゴとともにバンド“Ovall”としても活動。加えて、ビートメイカー・Budamunkとのユニット“Green Butter”、タブラ奏者・U-zhaan とのプロジェクト“U-zhaan × mabanua”、ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文による“Gotch Band”にも参加。ソロ作品としては、2018年に3rdアルバム『Blurred』をリリースした。Ovallの3rdアルバム『Ovall』が、2019年12月4日(水)にリリースされた。

mabanua オフィシャルホームページ
http://mabanua.com/

本ページに掲載している情報は2020年1月15日時点のものであり、予告なく変更される場合があります

Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM) / Design by BROWN:DESIGN


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