2020.10.7
深く大胆な切り込みと、繊細きわまる文様が、ガラスに生き生きと調和する。小川郁子さんが手がける切子の作品には、モダンな美しさが満ちています。都内のご実家に工房を構え、研鑽を重ねた技を駆使して、新たなかたちを探求する日々。その切子づくりの過程とともに、慣れ親しんできた街の風景など、暮らしの中で見つけたものを「DSC-RX100M7G」で記録していただきました。
「写真に関しては、私は本当に素人なので。普段はスマートフォンで撮るくらいで、こうしてデジカメを持ち歩いて撮るのは何年ぶりだろう、というほどでした。でも、いざ使い始めてみると、簡単に撮れてすごく楽しい。自分でつくった切子を撮ってみると、あらためて、ガラスっていいなと思いました。光が当たっていても、当たっていなくてもきれい。少し暗い場所で撮っても、陰影がとても美しく写る。うれしくなって、たくさん撮りたくなりました(笑)。ガラスの色味はとくに、自分が思い描く以上に鮮明に撮れる印象です。いつも見かける風景もドラマチックに撮れたり、早速いろいろな発見がありました」
DATE_2020.07.08 CAMERA_DSC-RX100M7G
DATE_2020.07.04 CAMERA_DSC-RX100M7G
「切子づくりの素材となるガラスの原型は『生地』と呼んでいて、吹きガラスの作家の方々につくっていただいたものです。生地はそのままでも十分きれいなだけに、さらに美しくするには、どんなデザインがいいだろうかと考えていきます。実際には、生地に油性ペンで書き込んだり、見本切りといった作業を経て、型紙を起こしていくことが多いですね。その次に、粗ずりから始まるカットの工程、さらに磨きの工程へと進みます。カットをしている動画は、姪っ子が撮ってくれました。このときは、角溝(かくみぞ)という平らな形状のダイヤモンドホイールを使っています。カットすることそのものが、私はとにかく大好きで。こうした作業の様子を、クローズアップして撮ってみるのも面白かったです」
DATE_2020.07.08 CAMERA_DSC-RX100M7G
「1つずつ息を吹き込んでつくられたガラスの生地には、どうしても気泡やひずみが含まれるので、それをどう取り除くか、どう生かしていくか、ということも鍵になります。そうした意味では、節を取り除いたり、木目を生かしていくような、天然の木材を使った作品づくりにも通じるところがあるかもしれません。カットする必要のないきれいな部分を余白として残したり、表と裏でアシンメトリーにして両面を楽しめるようにするなど、1つの切子に3カ所くらい見どころをつくるように心がけています。この動画では、さまざまな角度から切子を撮ろうと、自分なりに粘ってみました(笑)。ガラスの輝きが、動画でも本当に美しいですね」
「これは高尾山に行ったときの写真です。この日は小雨がパラパラ降っていて、空気がしっとりとして、植物の緑や花の色がとても鮮やかでした。使い始めたころはオートモードで撮っていたのですが、カメラの操作にもだんだん慣れてきて、ピクチャーエフェクトの機能を使ってみたら、すごく面白くて。一緒に行った友だちのひとりが赤い傘をさしていたので、〈パートカラー〉でその赤だけを残してみました。ほかにも〈ミニチュア〉や〈トイカメラ〉など、それぞれ独特のムードに変えられるモードも好きで、日常的な風景もいろいろと撮ってみました。仕事を終えて帰るのはいつも夜中になってしまうのですが、夜景もきれいに撮れてうれしかった。写真を撮る楽しさが広がるようですね」
※小川郁子さんには、デジタルカメラ「DSC-RX100M7G」を使って撮影していただきました(インタビュー時の写真は除く)
※本ページに掲載している情報は2020年10月7日時点のものであり、予告なく変更される場合があります
小川郁子(おがわ いくこ) 切子作家。1973年生まれ。東京都出身。上智大学に進学するとともに、江東区の森下文化センターで開かれていた江戸切子教室に通い始め、切子の第一人者である小林英夫に学ぶ機会を得る。卒業後、小林に弟子入りし、9年間の修練を経て2005年に独立。2010年には日本伝統工芸展において日本工芸会奨励賞を受けるなど、数々の受賞歴をもつ。現在も都内で創作を続け、ギャラリーや百貨店などで個展を開催している。2020年10月31日(土)〜11月8日(日)には、六本木の「SAVOIR VIVRE」にて個展が開催される。
Edit by EATer / Photography by Kiyotaka Hatanaka(UM)[interview] / Design by BROWN:DESIGN
料理家 冷水さんが撮る、日々の風景「RX100 ダイアリー」
旬の食材を活かした、やさしい料理がファンの多い冷水希三子さん。定期的に更新している彼女のインスタグラムには、日々の料理が並び、その料理を楽しみにしているフォロワーの方がたくさんいらっしゃいます。そんな冷水さんがRX100M3を使い撮影した、日々の写真を紹介します。