商品情報・ストア Feature 積み重ねた理論と音楽の魅力を表現 ウォークマンの“音楽体験”に新たな価値を加える最新UI/UX
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開発者INTERVIEW(開発者インタビュー)

積み重ねた理論と音楽の魅力を表現
ウォークマンの“音楽体験”に新たな価値を加える最新UI/UX

担当エンジニアが語る
最高の操作感、最高体験への想い
ウォークマンのUI/UX、
徹底解説!!

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これまでウォークマンが追求してきたものは高音質だけではありません。音楽を意のままに再生できる使い勝手の良さや、より没入感を得られる世界観作りも、ウォークマンが目指す“体験”には欠かせないものです。ここではそんなウォークマンの“体験”がどのような想いのもとに生み出され、磨き上げられてきたのかを、長らくその開発を指揮してきたUI(ユーザーインターフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)設計リーダーが語ります。

MEMBER

寺井の写真
UI/UXチームリーダー
ソニー株式会社
寺井
POINT 01
POINT 01

直観的に、気持ちよく
音楽操作できるUIを追求

インタビュー風景の写真

まずは寺井さんがウォークマンの製品開発においてどういった役割を果たしているのかを聞かせてください。

寺井:私は2000年代からウォークマンの開発に携わっており、現在はUI/UXの設計リーダーとして、2022年3月に発売されたフラッグシップモデル『NW-WM1ZM2』や、2023年1月に発売の『NW-ZX707』『NW-A300シリーズ』など、幅広いモデルを担当しています。

UI/UXの設計リーダーとはどういった仕事なのですか?

寺井:届けたい価値はなにか? どのような体験で届けるか? というコンセプトの定義からはじまりますが、中心となるのが、そのために必要な新しい機能やUIの提案と、それを具現化するための仕様設計を行うチームをリーディングすることが仕事です。また発売後は、開発に携わっているメンバーのひとりとしてウォークマンの魅力を広く皆さんにアピールするといった活動もしています。

「新しい機能の提案」というのは具体的にはどのようなことを提案してきたのですか?

寺井:「機能」というとちょっと違うかもしれないのですが、2013年に発売された当時のフラッグシップモデル『NW-Z1』で、徹底的に音質にこだわったウォークマンをやろうと声を上げた言い出しっぺの一人ということになっていますね。それが後に、ウォークマン初のSignature Series『NW-WM1Z』(2016年発売)に繋がり、最新フラッグシップモデル『NW-WM1ZM2』や、ZXシリーズの最新モデル『NW-ZX707』に繋がっていきました。

寺井さんは今日まで受け継がれてきた高音質志向モデルの流れを生み出した一人なんですね! ちなみにウォークマンにおけるUI/UXとは、画面に表示されるソフトウェアのことを示しているのでしょうか? それともソフトウェアも含んだ、製品全体としての使い勝手のことなのでしょうか?

寺井:ハードウェアとソフトウェアを含めた全体としての使い勝手、つまりユーザビリティですね。実際、これまでの製品でもボタンの配置などハードウェアの設計について、必要に応じて要望を出したり調整してもらったりしています。とは言えやはり中心となるのはソフトウェアを中心とした部分で、Android搭載ウォークマンでは「W.ミュージック(ダブリュー・ドット・ミュージック)」アプリのUI/UXということになりますね。

今回はそのW.ミュージックアプリのUI/UXについていろいろ聞かせていただきたいと思っています。まずはこのアプリの基本的なコンセプトについて聞かせていただけますか?

寺井:ユーザーが音楽を聴いている時にしたいことを直観的に行えるようにすることを一番大事にしています 。W.ミュージックアプリでは、それを実現するために基本となる「再生画面」を中心とした十字構造のUIを用いています。社内では「ソファーロジック」と呼んでいる考え方に基づいて、よく使う機能へ直観的にアクセスできるようにしています。

ソファー、ですか?

寺井:はい。「ソファーロジック」では、部屋でソファーに座ってリスニングしているイメージをもとに、上下左右の4方向に機能を配置しています。たとえば上方向にフリックすると表示される「ライブラリ」は、ソファー背後の頭上にあるCDラックに手を伸ばして再生したい盤を取り出してくるイメージ。再生画面の左に配置された「再生リスト」は、再生される曲が確認できるジャケットの裏表紙。右側には大好きな曲やアルバムにすぐに手が届くよう、CDなどがサイドテーブルの上に山積みされているような使い勝手。そして足下、すなわち下画面には、いろいろな音作りができる機器が積まれた「音質設定」があるというイメージになっています。

再生画面を中心とした「ソファーロジック」で直感的な操作が可能に

なるほど!ただ漠然と配置されていたわけではない、と。機能の配置にそんな思いが込められているとは思ってもみませんでした。そうして現実空間になぞらえることで、それぞれの機能の位置関係が覚えやすくなりますね。

寺井:そうなんです。これ、今まであまりお伝えしてこなかったことなのですが、実はそういう抽象的なロジックで作り込んでいます。さらに、この「再生画面」では、楽しさの演出として音楽再生中の背景に色が付くようにしていますが、それだけではなく一時停止中には消えるようになっているので、今音楽を再生しているのか、一時停止しているのかも、ぱっと見でわかりやすくしました。

見た目が華やかになるだけでなく、実用的でもあるというのはデザインとして秀逸ですね!この色は再生する曲によって変わるようですが、どのようにして決めているのですか?

寺井:技術的には再生している楽曲のジャケット画像から色を拾ってきてそれを背景に反映するということをやっています。ただ、単純なルールで機械的に処理するとアルバムによってはイメージ通りの背景色にならないということもあるんですよね。あまりに違和感が大きくなると音楽に没頭する邪魔になってしまいますから、ジャケット画像から色を拾う時のパラメーターを細かくカスタマイズし、最も違和感の小さくなる調整パターンを模索しました。最終的には関係者たちが自分のお気に入りのジャケットを持ち込み、実際にどうなるかの表示を皆で見比べながら、最もしっくりくる色をピックアップしてくれるものを投票で選んでいます。

インタビュー風景の写真

単純にジャケット画像で一番多く使われている色を選ぶというようなものではないんですね。

寺井:はい。細かすぎるかもしれませんが、こうした積み重ねが“体験”を向上させていくと考えているので手は抜けません。なお、こうしたソファーロジックなどのUIは、ウォークマンの最新フラッグシップモデル『NW-WM1ZM2』以降に大きくブラッシュアップしたもので、私はこれをW.ミュージックアプリ、第二世代のUIと定義しています。

そして、最新モデル『NW-ZX707』と『NW-A300シリーズ』では、ここからさらに「お気に入り」機能を強化しています。「お気に入り」は、自分の好きな曲をサイドテーブルにいつも置いておくイメージと説明しましたが、その置き方は人それぞれじゃないですか。厳選した曲を置く人もいれば、アルバム単位、好きな曲リスト単位で置く人もいますよね。ですので、今回は「曲」「アルバム」「プレイリスト」それぞれの形でお気に入り登録することができるようにしました。好きな音楽を好きな形ですぐに呼び出せるので、それぞれのスタイルに合った使い方ができると思います。

これはうれしい機能アップですね。ほかに最新モデルで進化した点はありますか?

寺井:もちろんあります。『NW-ZX707』と『NW-A300シリーズ』では、「再生画面」の再生ボタン付近を左右にフリックすることで、曲の送り戻し操作ができるようになりました。かつてからジャケット写真をフリック操作することで曲送りを行うUIは存在していますが、ウォークマンではこの操作をほかの機能に利用しています。そこで、他の画面の下部に配置されているミニプレーヤーでの操作感覚を「再生画面」でもできるようにしたいと考えて実現したものなんですよ。

フリック操作でサッと曲を変えられるのは、やはり気持ち良いですもんね。

寺井:これまでの「再生画面」では、わかりやすくボタンだけでの操作に限っていたのですが、どうすれば違和感なくフリックで操作できるか、ミニプレーヤーと位置的関係や、ソファーロジックの操作との両立なども考え、かなり試行錯誤して作りこみました。操作時のアニメーションなどにもこだわって、デザイナーに細かく作り込んでもらっています。すごく気持ちよく動きますので、ぜひ、実機を触って試してみていただきたいですね!

POINT 02
POINT 02

製品ごとにUI/UXを
細かくカスタマイズして最適化

インタビュー風景の写真

今回、『NW-ZX707』と『NW-A300シリーズ』が第二世代のUIを搭載したことで、Android搭載モデルについては一通り最新世代のUI/UXに対応したことになりますね。

寺井:その通りです。ですので、それぞれの先代モデルである『NW-ZX500シリーズ』や『NW-A100シリーズ』をお使いだった場合、UI/UXの面でも特に大きな進化を実感していただけるはずです。なお、第二世代のUIは、『NW-WM1ZM2』のものをベースに製品個々の方向性に合わせて少しずつカスタマイズしているので、それぞれ細かいところが違っています。そこまで劇的に異なるわけではありませんが、それぞれのターゲットユーザー像や画面サイズなどに合わせて最適化しています。

具体的にはどう違っているのでしょうか?

寺井:『NW-ZX707』は、画面サイズが『NW-WM1ZM2』と同じ5.0型のため、基本的な部分は大きく変わらないのですが、120ステップで細かく音量を変更できるボリューム調整ダイアログや、UIの随所で用いられているスイッチなどの色を、『NW-ZX707』の見た目の特徴にもなっているヘッドホンジャック周りの金属パーツの色に合わせました。これによってハードウェアとソフトウェアが一体感をもって感じられるようにしています。

本当だ! 『NW-WM1ZM2』の金色とは微妙に異なる色味になっているんですね。

寺井:もちろん、『NW-A300シリーズ』でも同様の作り込みがなされており、こちらは3色の本体色に合わせてそれぞれのUIの色味を調整しています。

機種ごとではなく、それぞれのカラーごとにちゃんと色を合わせてくれるというのは所有者を喜ばせてくれそうです。

寺井:なお、『NW-A300シリーズ』については、より製品コンセプトに即した使い心地を実現すべく、見た目に加えて機能面にも細かく手を入れています。

たとえば大きなところでは「音質設定」画面を、Aシリーズのターゲットユーザー像に合わせてプリセットを中心としたかたちに作り替えました。『NW-ZX707』のものと比べて細かい設定はできなくなっているのですが、それだけに『NW-A300シリーズ』の一回り小さな画面でも誤操作なく選べるようになっています。また、「ライブラリ」画面のアイコンについても、高級感を追求した従来のものから、より楽しげに感じられるものに変更しました。

『NW-ZX707』のヘッドホンジャックにあわせたカラー(左)
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『NW-A300シリーズ』では従来のライブラリーアイコンを一新したデザインに(右)

『NW-ZX707』のヘッドホンジャックにあわせたカラー(左)
『NW-A300シリーズ』では従来のライブラリーアイコンを一新したデザインに(右)

なるほど、確かにずいぶんと受ける印象が変わりますね。アイコンがポップになって親しみやすさを感じます。

寺井:これもデザイナーにいくつも案を出してもらって作り込んでいったんですよ。ぜひ、こういった細かいところも確認していただければと思います。

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ここまで、Android OS上で動くW.ミュージックアプリのUI/UXについてお話をおうかがいしましたが、アプリ以外の点で工夫したことやこだわったことはありますか?

寺井:Android搭載ウォークマンで、より音楽専用機らしさを演出するため、Androidのホーム画面をカスタマイズしています。素の状態のAndroidのホーム画面って、Chromeなどのアプリのアイコンがずらっと並んでいるのですが、それだとなんだかスマートフォンみたいで、せっかく専用機を買ったのに……って気分になってしまいますよね。そこで、それとは別にウォークマン専用のホーム画面を作って、そちらでは音楽再生以外の機能が見えないようにしています。

こ、細かい(笑)。

寺井:2つのホームは左右フリックで簡単に切り換えられるほか、初期設定で起動時に表示される画面をどちらにするかを選べるので、専用機らしさを味わいたい人はウォークマン専用のホーム画面を、スマートフォン感覚でWebサイトやYouTubeなども楽しみたい人はAndroid標準のホーム画面を選んでいただければ。もちろん、ウォークマン専用のホーム画面にふだん使っている音楽ストリーミングサービス専用アプリを置いていただくなどといったカスタマイズも可能です。

POINT 03
POINT 03

“遊び心”にあふれたUXも
大切なウォークマンらしさ

インタビュー風景の写真

そのほか、ウォークマンのUI/UXを開発するにあたって、まだ表に出していない開発秘話のようなものがありましたらぜひ聞かせてください。

寺井:『NW-WM1ZM2』『NW-WM1AM2』で初搭載し、密かにご好評いただいていたエージングカウンターを『NW-ZX707』にも搭載しています。これは、ウォークマンを購入してから累計何時間再生しているかを計測してくれるというもの。大きなコンデンサーを搭載したウォークマンで本来の音質を楽しむためには一定時間通電させてコンデンサーを安定させる必要があるのですが、その目安が200時間なんですね。ただ、それをユーザーに数えていただくのは不親切だと考え、カウンター機能を内蔵しました。ちなみにエージングはステレオミニ端子、バランス端子それぞれで別に行わなければならないため、エージングカウンターも2系統用意しています。

このクラスの製品はエージングで明確に音が変わるので、カウンターでその進行状況を確認できるのはうれしいですね。

寺井:購入後のエージングはちょっとした儀式みたいなものなのですが、それ自体を楽しんでもらいたいという意図と、時間がかかることなので進捗感がないと楽しみも半減してしまいますからね。また、エージングが終了すると、ちょっとだけ面白いことが起きるのですが、この機能、当初は仕様書に書いていませんでした。実はリーダー陣のちょっとしたおもてなし心を形にしたもので、暫くは社内でも内緒にしていたというエピソードがあったので、発売時にも、お客様にはお知らせしませんでした。(笑)

昔のパソコンソフトで流行ったイースターエッグ(隠し機能)っぽいですね(笑)。

寺井:そうなんです。ちょっとした遊び心で、まずは身内から驚かせようと黙っていたんですよ(笑)。ぜひご自身の目でご確認ください。

遊び心といえば、ウォークマン40周年(2019年)のタイミングに発売された『NW-ZX500』『NW-A100』に搭載されていた、まるでカセットテープを再生しているかのようなスクリーンセーバーも話題になりました。この機能は最新モデルに搭載されているのでしょうか?

寺井:もちろんです。再生しているソースのクオリティに応じて、CD音質以下の音源ではノーマルやハイポジションテープ、高品位なハイレゾ音源ではメタルテープなど、全9種類のテープが表示される仕組みになっているので、いろいろな音源を再生してみて、自分が昔使ったテープに再会するのも楽しいかと思います。

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カセットテープ世代のユーザーが当時を懐かしむのはもちろん、若いユーザーにも新鮮に感じてもらえそうですね。

寺井:ちなみにこの映像、CGなどではなく実写映像なんですよ。社内の有志から当時のカセットテープをかき集め、社内の初代ウォークマンに装着して、再生している様子を撮影することでスクリーンセーバー化しました。

妙にリアルだと思っていたらこれ、実写なんですか?

寺井:実はそうなんです。本当はこんなに手間をかけるつもりはなかったのですが、いつの間にか話が大きくなってここまでのものを作り込んでしまいました(笑)。特に、5.0型ディスプレイを搭載した『NW-WM1ZM2』や『NW-ZX707』などではほぼ実寸大になるので、パッと見た感じは本物のカセットテープが回っているように感じていただけるはずです。インデックス表示も懐かしのインレタシールを再現するなどリアルに仕上げています。これ、当時オリジナルテープを作っていた世代の人には喜んでもらえるだろうと確信しています。

POINT 04
POINT 04

良いUI/UXを生み出すには理論と、
理論で説明できない魅力の双方が必要

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最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

寺井:ウォークマンに限らず、全ての製品は「価値」と「使いやすさ」の両方が必要です。機能や性能的な価値があっても使いにくかったらダメですし、価値のないものが使いやすくても意味がないですよね。さらに「価値」には、単になにか問題を解決できることだけではなく、楽しく魅力的であることも含まれます。

そう考えていくと、理屈を積み上げていくだけでは良いUI/UXは作り出せないことがわかります。きちんとした理論化と、それでは説明できない魅力。その双方をバランスよく取り入れた形で設計していくことが求められているんです。

私たちは音楽が大好きで、ウォークマンが大好きで、それをもっと楽しんでもらえるはずだという想いで、長らくウォークマンの体験を磨き上げてきました。そこに込められた私たちのメッセージをぜひ感じていただければと思います。よろしくお願いいたします!


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