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日本カメラ

第12回
ソニー ワールド フォトグラフィー アワード 2019
授賞式レポート

α Universe editorial team

4月17日から、英国ロンドンで開催された授賞式と受賞作品展の模様を、キュレーター・映像作家の小原真史さんと日本カメラ編集部がレポートする。

世界最大規模の写真コンテスト

ロンドンのサマセットハウスで開催されているSony World Photography Awards(以下、SWPA)の展覧会を訪れた。もともと貴族の邸宅だったこの建築物は、大小さまざまな白い壁の部屋で仕切られているため、写真の展示にも適している。しかしながら、風景やスポーツ、ポートレイト、建築、ドキュメンタリーといったカテゴリーのバラエティに富む295点もの写真が整然と展示されているのには、驚かされた。ロンドンに本拠を置き、世界中で写真のもつ文化的価値向上を目的に活動する団体WPO(World Photography Organisation)が、応募のあった膨大な数の写真を管理しているのだという。デジタル(Web)での応募という条件が可能にしたイベントだとも言えるだろう。世界最大規模のこのコンテストは、今年で12回目を迎え、応募者は約6万8000人、応募写真は全部で約32万点にもなる。キャリアや地域、年齢に関係なくすべての写真家に門戸が開かれているという意味では、ラディカルかつ民主的な賞ではないだろうか。多くの観客の目に触れるだけでなく、専門家からなる審査員や(欧州を中心とする)世界中の写真関係者、プレスなどと直接会い、交流する機会が得られることも応募者にとっては、大きなメリットだろう。

受賞作品展が行われているサマセットハウス。中庭では「アースデイ」の関連イベントが開催されており、近くで環境運動「絶滅への反逆」のデモが行われていた。

額装された写真から、壁にピン留めされているもの、ライトボックス、モニター投影などさまざまな仕様の写真がサマセットハウスの白い壁面を美しく飾る。

ショーアップされた授賞式に会場は大盛り上がり

翌日、市内のホテルで開催されたディナーを兼ねた授賞式の光景には、またしても驚かされた。タキシードとドレスに身を包んだプレスや写真関係者600人以上が集まった会場で、各部門の受賞作品がマルチスクリーンに次々と投影されていく。照明やスモーク、音楽、ナレーションを駆使した演出も圧巻だ。呼び出された受賞者は、歓声を受けながらステージに上がり、スピーチを行うのだが、世界中から集まった写真たちが互いに称え合う姿は、写真を通じた国際交流の場のようにも見えた。

出席者たちが「年間最優秀賞」受賞者を予想しながらディナーを楽しんでいる。華やかな雰囲気で授賞式が進行する。

年間最優秀賞も決定!

プロフェッショナル部門の受賞者から選ばれる「年間最優秀賞」は、気候変動に翻弄されるインドの農民を撮影したイタリア人写真家フェデリコ・ボレッラに贈られることとなった。地球温暖化のような環境問題が国境を越えて、個人の生を脅かしてしまうことをテーマにした作品だ。今回、ストーリー性重視のものから、社会的なメッセージ性の強いものまで多様かつ数多くの作品が集まり、多くの受賞者たちが「ストーリー」や「narrative(物語)」という言葉を口にしていたのが印象的だった。特定の言語に限定されない写真という視覚言語の力が再評価されようとしているということなのか、それとも事実をありのままに伝えるという写真の根源的な特徴が出たということなのだろうか。いずれにしても、現代写真の一つの動向を垣間見ることができたように思う。本賞の魅力として、総額3万USドルの賞金やソニーの最新カメラなどの副賞などもあるだろうが、ステップアップや新作制作のための支援が行われる?ソニー・グラント?という仕組みがあり、受賞後も相互の関係が続くことも付言しておきたい。「特別功労賞」受賞者となった写真家ナダフ・カンダーがインタビューで述べていたように「メーカーが写真文化を支援していく良いサイクルが生まれていく」のだ。受賞者の一部は、翌年同じ場所で1年間の成果を再び展示する。

「年間最優秀賞」に輝いたイタリアのフェデリコ・ボレッラ。「ほくらは同じ惑星に住んでいる」とスピーチした。

2019年間最優秀賞
Federico Borella(イタリア)

プロフェッショナル部門の受賞者たちへのインタビュー。自作のコンセプトや今後の展望について熱く語る。

ナショナルアワード日本部門賞1位
石戸俊夫 インタビュー

――撮影場所と対象を教えて下さい。
2018年のロシアW杯の日本代表の試合の後に渋谷に集まった人々を撮影しました。4年前の時と同じような状況になることが分かっていたので、一脚にカメラを付けて待っていたのですが、木の上に追い立てられるように登り、一脚と手を伸ばして撮影しました。隣にいた人のストロボの光が入ってこのような効果が得られました。偶然と必然とが重なっています。
――一枚だけで勝負というのは難しかったですか?
組写真のように強弱を組み合わせて、より印象を強めるアプローチができないことが難しかったです。
――普段は何をされているのですか?
写真とは別の仕事をしていますが、この1年は撮影の時間が多くとれました。人が集まる渋谷は、面白いことが起こるので、よく撮影に行きます。
――SWPAの展覧会を見て、どう思いましたか?
サマセットハウスという素敵な場所でSWPA展の一部として自作が展示されたことを光栄に思い、圧倒もされました。展示作を見て刺激になりましたし、まだ知らない色々な写真を見て勉強したいという気持ちになりました。授賞式を見ていつかここに立ってみたいという意欲が出てきました。今回のロンドン滞在は宝物のような経験です。
――今後はどのような活動をしていきますか?
毎日顔を洗ったり、歯磨きをするような当たり前の感覚として、写真を撮っていきたいですね。

石戸俊夫「Victory」

ハービー・山口 選評
「渋谷の交差点の群衆です。イベントに因んでの群衆ですから日常の混み合いとは違った人数です。その様子をストロボとブレを使うことで見事な緊張感や興奮を表現しています。ただストレートに撮るだけだと混み合っているだけが写るのですが、ひと工夫したことで見飽きない写真になりました」

WPO代表のスコット・グレイ(右)。SWPAの運営と展覧会のキュレーションを手がける。

日本部門賞2位
高村涼介

高村涼介 「Kyoto, Jul 2018」

ハービー・山口 選評
「さり気ない日常の路地裏。そこに道路標識に登っている女性の後ろ姿。彼女は何をしているんだろう?そう思わせてくれるだけでこの写真の価値はあります。まったりとした構図の中のこの摩訶不思議さがたまりません。これは演出したものか、リアルなのか、様々な混乱がユーモアとともに駆け巡ります」

日本部門賞3位
萩原賢一郎

萩原賢一郎「wild meal」

ハービー・山口 選評
「馬の顔をこうしたアングルとフォルムで撮影したことで、新鮮な馬のポートレイトになりました。モノクロのトーンと空の質感などにも気配りがあり、構図的にも丁寧に仕上げられています。そしてポートレイトの基本の1つは瞳にピントを合わせることですが、この馬の大きく優しそうな瞳に確実にフォーカスされていて、馬の性格までもが捉えられています」
ナショナルアワードとは・・・
一般公募部門の10カテゴリーに応募のあった作品から、日本を含むナショナルアワード実施国各国の専門家で構成される審査員がベストの1枚を見出して表彰するナショナルアワード。ソニー製デジタルカメラが贈られ、受賞作品はロンドン・サマセットハウスで行われる写真展で展示されます。日本賞の審査員は写真家のハービー・山口。
文=小原真史
写真=石戸俊夫/編集部
最後に受賞作品の一部をご覧ください。

プロフェッショナル部門入賞作品より

2019プロフェッショナル部門ポートレイトカテゴリー1位
Alvaro Laiz(スペイン)
2019プロフェッショナル部門スポーツカテゴリー1位
Alessandro Grassani(イタリア)
2019プロフェッショナル部門テーマ(identity)カテゴリー3位
Edward Thompson(イギリス)

一般公募部門入選作品より

2019一般公募部門最優秀賞
Christy Lee Rogers(アメリカ)
2019一般公募部門建築カテゴリー入選
Jennifer Bin(スイス)
2019一般公募部門建築カテゴリー受賞者
Philippe Sarfati(フランス)
2019一般公募部門ストリートフォトグラフィーカテゴリー入選
Carole Pariat(フランス)
2019一般公募部門クリエイティブカテゴリー受賞者
Martin Stranka(チェコ)

特別功労賞
「これまで写真文化の発展に顕著な功績のあった写真家を讃える。過去の受賞者にはマーティン・パー(2017)、エリオット・アーウィット(2015)、ウィリアム・クライン(2012)などが名を連ねる。今年はイギリスの現代写真を代表する写真家ナダフ・カンダーが選ばれた。

© Nadav Kander courtesy of Flowers Gallery

ソニー・グラント受賞作家

2019プロフェッショナル部門ランドスケープカテゴリー1位
Yan Wang Preston(イギリス)
2018ソニー・グラント
Alys Tomlinson(イギリス)

Sony World Photography Awards 2020年度応募要項

●プロフェッショナル部門
プロでもアマチュアでも応募可。5~10点の組写真とその説明文を審査し、全10カテゴリーごとに1位から3位を選出。さらに各カテゴリー1位の中からプロフェッショナル部門最優秀賞=年間最優秀賞を決定する。
年間最優秀賞 賞品:現金25,000USドル/ロンドン授賞式への出席(フライト代、宿泊費)/ソニー製デジタルカメラ/SWPA2020年鑑図録収録/サマセットハウスでの作品展示

●一般公募部門
誰でも応募可で、単写真を審査。10カテゴリーそれそれで優勝者1名と最大15名の入選者を選び、さらに優勝者10人の中から部門最優秀賞を選出。また応募のあった日本人写真家の作品から「日本部門賞」が選ばれる。(審査員:ハービー・山口氏)
一般公募部門最優秀賞 賞品:現金5,000USドル/ロンドン授賞式への出席(フライト代、宿泊費)/ソニー製デジタルカメラ/SWPA2020年鑑図録収録/サマセットハウスでの作品展示

●ユース部門
応募締め切り時点で12~19歳のフォトグラファーなら誰でも応募可。1つのテーマに沿って制作された単写真を審査し、部門最優秀賞と最大10名の入選者を選出。
ユース部門最優秀賞 賞品:ロンドン授賞式への出席(フライト代、宿泊費)/ソニー製デジタルカメラ/SWPA2020年鑑図録への収録/サマセットハウスでの作品展示

●学生部門
全日制コースで写真を学ぶ30歳以下の学生なら誰でも応募可。審査は与えられたテーマに沿って2段階で実施。1次審査では3~ 5点の組作品を審査し、10校が2次審査に進む。2次審査では5~10点の組作品を審査し、優勝校が決定。 最初に所属校の登録が必要。
賞品:1次審査通過者は全員にソニー製デジタルカメラが贈られロンドンでのポートフォリオレビューに招待されます(フライト代、宿泊費)。さらに学生部門最優秀賞所属校に対して3万ユーロ相当のソニー製カメラ機材を贈呈

詳細・応募
worldphoto.org/
各部門カテゴリー区分、応募スケジュール、ユース/学生部門のテーマなどは公式ウェブサイトで適宜アップデートされる。
Information 受賞作品展開催中
作品展「ソニー ワールド フォトグラフィー アワード 2019」
◎会期:2019年6月1日(土)〜23日(日)
◎会場:銀座ソニーパーク
作品展「第12回ソニー ワールド フォトグラフィー アワード 2019学生部門受賞作品展」
◎会期:2019年6月7日(金)〜20日(木)
◎会場:ソニーイメージングギャラリー銀座

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