2022年1月19日(水)に配信された宇多田ヒカル初の有料配信スタジオライブ「Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios」は、CineAltaカメラ VENICE、CinemaLine カメラFX3をはじめとする、ソニーグループのさまざまな機材によって撮影されました。
素晴らしいライブ映像がどのように撮影されたのか、監督David Barnardと撮影監督Marcus Domleoのインタビューを中心としたクリエイティブの裏側をぜひご覧ください。
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(タイトル)
Sony Supports Hikaru Utada Live Sessions from Air Studios
(レコーディングスタジオで準備をしている様子)
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(監督 David Barnard)
ヒカルのマネジメントから打診があり、ミーティングを設定していただいて事前の話し合いをしました。
真っ先に尋ねたことの一つが、撮影場所は決まっているのかどうかです。
すると、北ロンドンの Air Studios という、よく知っている名前が出てきました。
映画のスタジオなら広くてよかったんですが、レコーディング用スタジオというのは 狭くて、とにかく撮影しづらい。やっかいな環境です。
いつもなら、自分のやり方が確立している ソニーのF55 や ARRI を使うところですが、今回は VENICE を使ってみたいと思いました。いろいろ評判を聞いてたからです。
特に魅力を感じたのは、被写界深度の表現がすごく綺麗なこと。
被写体がとても近い場合、浅い被写界深度を使いこなすことは簡単じゃありませんが、撮影監督としては、フォーカステクニックで視線を誘導する腕の見せどころでもある。フルフレームセンサーの能力をうまく生かすことが鍵だと思いますね。圧倒的な没入感が出せるからです。
スタジオには、いろいろな装置とか周辺機材が山ほどあるから、
注目したい部分にフォーカスを合わせて際立たせることが絶対に必要です。
その意味で VENICE は完璧でした。
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(撮影監督 Marcus Domleo)
それに、デュアル ISO も大きなメリットです。
ヒカルに当てたメインの照明は綺麗で明るさ控えめの HUDSON SPIDER。
光量は物足りませんが、ぜひ使いたかった。そうなるとデュアル ISO が要ります。
デュアル ISO のおかげで、ISO 500 と 2500 の違いをほとんど感じさせない映像が撮れたし、照明選びの自由度が高いのはいいですね。ザラつきなどの画質低下も起きにくく、なかなか便利でした。
狭いところに大勢の人が入る現場では 発熱が問題になりますが、デュアル ISO なら控えめの照明で撮影できます。
タングステンや HMI は必要ありません。みんなを疲れさせないためにも大事なことです。
長丁場だし、特にヒカルは歌いっぱなしですから。VENICE のカラーサイエンスは本当にうまく実装されていますね。
ほとんどデフォルト設定のままで肌の色味が綺麗に出ます。
今回の仕事はシンプルに撮る方針で進めました。
カラフルさを盛ったりグレーディングに手間をかけたりせず、素直な映像を見せようと。
それが、VENICE では 特に何もせず実現できました。
あまり設定を変えず、大したグレーディングもしていません。
ハイライトのロールオフもいい感じのシネマルック。映画用ハイエンドカメラに期待する要素をほとんど満たしてますね。
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(監督 David Barnard)
ここまでラッシュを見た印象は、全部すばらしいの一言です。
美の才能を持って生まれてきたカメラですね。
そこにある才能が、スイッチを入れればすぐ自分のものになってしまう。
得られる美しさに、なんというか本当にぴったりくる手応えがある。
まるで自分がゾーンに入った感覚になれる。そんな表現ツールです。
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(撮影監督 Marcus Domleo)
ほかには、FX3も使いました。
FX3 はコンパクトだから、VENICE を入れられない場所や FX6、FX9 さえ入らないような狭い場所でも活躍できます。
FX3 のうち1台は、広い画の撮影用です。
そんなに重くないからわりと簡易なカメラリグで支持できますが、当日はフロアーに設置して、ヒカルを広角ローアングルで撮ることにしました。
もう1台はコントロールルームで、デスク前のサウンドプロデューサーを背後から撮りました。
VENICE と FX3 は両方フルフレームなので、撮影は全てフルフレームレンズです。
(監督 David Barnard)
ただ、カラーマッチングは…
(撮影監督 Marcus Domleo)
そう。カラーサイエンスの違いはあるし解像度も同じではない2機種だけど、それでもなお、最高の組み合わせでしょう。
メイキングも FX3 で撮っていますよね。
(監督 David Barnard)
はい、使いました。
なにしろポータブルで、ここぞという場面に 突っ込んでいって撮れるからです。スタジオでも FX3 はその強みを発揮して、すごく親密な雰囲気のセッションを追求するヒカルの姿を驚異的にうまく捉えてくれました。
(撮影監督 Marcus Domleo)
小さいから雰囲気を壊さないで済みます。
(監督 David Barnard)
アーティストは、カメラが近づいていくと戸惑ってしまうこともあるんですが、FX3 では綺麗な映像が撮れました。
(撮影監督 Marcus Domleo)
こんなフルフレームでドキュメンタリーを撮れるのはいいですね。
ドキュメンタリーでありつつ映像美も遜色がない。
(監督 David Barnard)
ソニーのF55を使い続けてきたからわかります。あの確かなステップを経たからこそ、新世代のすばらしいソニーのカメラがあるんだと。
ソニーは凄いことをやってるんじゃないかな。
(宇多田ヒカルが歌っている。そして歌い終わる。)
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(文字表示)
Filming Equipment Provided by Sony Group Corporation/Sony Europe B.V.
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Sony CI
宇多田ヒカル『Face My Fears (English Version)』Live ver.
宇多田ヒカル『Find Love』Live ver.