法人のお客様ラージセンサーカメラ 事例紹介 映画『キングダム2 遥かなる大地へ』

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映画『キングダム2 遥かなる大地へ』

撮影監督 佐光朗 様(J.S.C.)/ 撮影助手(チーフ) 岩見周平 様(J.S.C.)

過酷な撮影現場でも安定した信頼感、VENICEとともに開拓したい新たな表現

映画『キングダム2 遥かなる大地へ』(原作:原泰久・主演:山崎賢人)の制作にあたり、CineAltaカメラVENICEが使用され、2022年7月15日から全国東宝系にて公開されます。
※「崎」は正式には「たつさき」

今回は、本作品の撮影監督である佐光朗 様および撮影チーフ岩見周平 様に、本作品の撮影現場における撮影秘話やVENICEの使用感などをお話しいただきました。

撮影監督 佐光朗様 様(J.S.C.)
撮影監督 佐光朗 様(J.S.C.)
撮影助手(チーフ) 岩見周平 様(J.S.C.)
撮影助手(チーフ) 岩見周平 様(J.S.C.)

VENICEの良さはレンズ前に集中できる安心感

佐光様 今回VENICEを使うというのは、過去の経験からこの作品に適していると考えた上で、監督とプロデューサーに伝えました。今まで長編でVENICEを5作品、その間にフィルムで1作品撮っていますが、VENICEは一度も故障なく使えています。それまでいろいろ他のデジタルシネマカメラも使いましたが、不安定さのあるカメラだと、一発勝負のシーンで安心できず、複数台用意することがありました。信頼性が低いと、どうしても余計なことに気を使わなくてはならなくなります。撮影部としてはレンズ前に集中したいのでVENICEになりました。VENICEはシンプルなのも魅力です。さまざまな制約を考えずに作品に入れます。その点でも、レンズ前に集中させてもらえます。
もちろん、VENICEで撮れる質感も理由です。VENICEの登場前は、ソニーのシネマカメラのトーンが苦手で、フィルムカメラで伝統のある海外メーカーのデジタルシネマカメラを好んで使っていました。しかし、そのカメラもスキントーンにはどうしても光学フィルターを1枚かけたくなるところがありました。VENICEはそのままで使いたいと感じる画が撮れるのが魅力です。

VENICEを使う、という提案に対して、プロデューサーのOKはすぐに出ました。一方で監督にはすぐに納得はしてもらえませんでした。私は前作(キングダム1)には関わっておらず観客の立場だったのですが、前作では海外メーカーのデジタルシネマカメラを使っていたので、その安心感や、VENICEに変えることでトーンに違いが出てしまう可能性を気にされていました。また、今回はフィルムで撮りたいという希望も持っておられました。そこで、フィルムカメラとVENICEで比較のためのテスト撮影を行い、仕上がりを見てもらいました。

この「キングダム」は紀元前の中国の春秋戦国時代を描いた日本の人気漫画が原作です。監督は今回、「中国を描く日本映画」ということで、今までの日本映画とも中国映画とも違う表現に挑戦したい、という希望を持っておられました。そこで、VENICEで可能なラージサイズ(フルサイズ)撮影も含めて、「いろんなものに積極的に挑戦しよう」ということで、ドローンによる空撮シーン以外は全てVENICEで撮影することでGoサインをいただけました。

2K仕上げでもわかる6Kクオリティ

佐光様 作品としては『キングダム1』と同様に、2Kシネマスコープサイズでの仕上げの作品になりますが、撮影は6K 3:2の上下切りで行いました。記録はX-OCN XTで行っています。作品によってはX-OCN STで撮ったこともありますが、今回は合成が非常に多く、後で加工をする前提の作品です。加えて、後から一部を切り出して(画面サイズをトリミングして)使うようなことも想定して、最高のクオリティで残せるXTで行いました。普通にそのまま見ても、2K仕上げを2Kで撮るのと、2K仕上げを6Kで撮るのは違いがわかります。

レンズについては、ZEISSのSupreme Primeをメインに、回想シーンでは独特の味が出せるKOWAのアナモフィックレンズを使いました。カメラは概ね常時2台で、一部シーンでは3台使いました。だいたいのシーンで3台のうち1台は、次のシーンの前準備に回すような使い方が多かったです。

内蔵NDがなければ撮り終えられなかったシーンも

岩見様 監督は絞りを開け目の被写界深度の浅い画がお好きな方です。そこで、マットボックスには濃度0.6のNDフィルター(1/4 ND)を常時入れた状態で、あとは内蔵NDフィルターを切り替えながら使いました。マットボックスのNDフィルターはレンズの保護も兼ねていました。

ターレット式の内蔵NDフィルターは一度使うと手放せないです。現場のスピード感は内蔵NDがないと確実に落ちると思います。内蔵NDがあれば、現場の光の変化などにも速やかに追従でき、余計なことを考えなくて済みます。作品中に森の中のシーンがあるのですが、実際の撮影現場では雨や曇りになったり、晴れて直射日光が入ったり、と、コロコロ天気が変わりました。内蔵NDがなければ、とても予定どおりには撮り終えられなかったと思います。

ISOはデイ・ナイトではなく現場の状況で使い分け

佐光様 ISO感度についてはデュアル・ベースISOを生かして、全篇をISO 2500で撮ってみたいと思ったのですが、皆に反対され(笑)、基本はISO 500で撮影しています。ナイトシーンでも、戦う兵士の力強さなどを表現するために強めのキーライトを当てるなど、コントラストの強い照明を多用したのでISO500のままで撮影したり、時にはISO250に設定感度を下げて撮影したりしています。一方で、ろうそくの灯を活かしたナイトシーンではISO 2500を使ったほか、日没が迫った現場のデイシーンではISO 2500も使っています。従ってデイは500、ナイトは2500という使い分け方ではなく、ISO 500をベースとしつつも、その撮影現場の状況に応じて臨機応変にISO 2500を使いました。

長編をVENICEで撮るのは5作目でしたので、使い込んできた結果、「これは照明を増やさなくても2500で撮れば後で(ポストプロダクションで)調整できる」という肌感覚が掴めてきています。経験則では、そういった自然光が落ちてきているような場面では、照明を当てるよりもベースISOを2500に切り替えたほうがいい仕上がりになると感じています。撮影というのは、どうしても“生もの”なので、「その時のテンションで撮り切りたい」みたいなことがあります。そういう場面でデュアル・ベースISOは欠かせないものになっています。

エクステンションと超小型ジンバルの組み合わせで複雑なカメラワークを克服

佐光様 今回は国内作品では大作ということもあり、騎馬戦のオープンロケではクレーンに乗っての撮影やDJI Ronin2との組み合わせが多く、光学ブロックを分離して使えるエクステンション(VENICEエクステンションシステム CBK-3610XS)の出番は多くありませんでした。しかし、複雑なカメラワークが求められるアクションシーンではRonin Sとエクステンション、スチルレンズの組み合わせで撮影を行っており、このような超小型ジンバルが使えたのは、やはりエクステンションで光学ブロックを小さく軽くできたおかげだと思います。

HSは6Kフルサイズを活かして

岩見様 HS撮影(ハイスピード撮影)(=ハイフレームレート撮影、HFR)は、監督があまり多用される方ではないので、もっぱら“キメ”のカットが中心となりました。

佐光様 監督の要望では5倍(120fps)のフレームレートでやりたい、といった場面もありました。しかしVENICEで24fps×5倍=120fpsをやろうとすると、4Kの2.39:1になってしまい、サイズも小さくなってしまいます。できるだけ6Kフルサイズのクオリティで残した方がよいのではないか、ということで、監督とも相談して臨機応変に対応をしました。元のスピードに戻す必要があるショットでは整数倍のフレームレートでなければ困りますが、そうでないショットであれば、それにこだわる必要性はありません。『キングダム1』で使ったカメラも同様の制約はあったので、監督には理解してもらえました。

岩見様 結局、作品がクランクアップする頃には、元のスピードに戻す必要がないショットは全て「6Kフルサイズで撮れる上限の90fps」といった形に落ち着いていました。

佐光様 フレームレートでは譲ったものの、「6KフルサイズのHS」という強みで、トータルではいい表現ができたと思います。

VENICEに新しい撮り方の可能性を発見

佐光様 今回の『キングダム2』では、多数の馬を使って撮るようなシーンは中国で撮影を行いました。コロナの状況もあって、我々は現地に行くことが許されず、現地スタッフに頼んで撮影をしてもらう形にせざるを得ませんでした。機材としては、VENICEとSupreme Primeというところは同じだったのですが、撮ってもらった上がりとしては、画がとてもアンダー(露出不足)だったりとか、画角がワイドすぎたりとか、そういった場面が多々ありました。そういったシーンは全て、ポストプロダクションでの後処理で修正したのですが、意外とイケたことに驚きました。露出を大きく持ち上げても気にならず、ワイドで撮ったものを切り出しても(画角をトリミングしても)違和感のない仕上がりにまとめられました。

切り出しについてはいいレンズを使ったことも功を奏していたと思いますが、今回の経験で、撮る段階で決め打ちするよりも、後処理を前提にした撮り方もあるのかも知れない、という可能性を感じました。フィルムの時代から撮ってきた自分たちにはない感覚でしたが「そういうのがアリなんだ!」という印象です。ラチチュードの広さ、解像度の高さをはじめとするVENICEのポテンシャルを改めて実感しました。

防塵性とメンテナンス性の高さに安心

岩見様 今回の『キングダム2』は、作品全体に渡って騎馬戦が多い作品でした。そのため、土埃舞う撮影シーンが多く、スタジオ内でも土埃を意図的に立てて撮影を行ったりしていました。特にスタジオ内で埃を立てると、屋外と違って埃の逃げ場がなく、ローアングルの撮影ではカメラがまさに埃まみれになります。カメラはビニールなどをかけて保護はするのですが、それでも防ぎきれるものではなく、「これ、大丈夫かな…?」と感じました。通常は、カメラの内部清掃は機材レンタル会社の業務範囲ですが、現場でも清掃したほうが良いだろうということになり、機材レンタル会社に、現場でやって良いVENICEの分解清掃方法を教えてもらい、だいたい2日に1回程度の頻度で内部の清掃を行いました。

基本的にシネマカメラは現場で分解する前提にないものが多いですが、VENICEは分解できる範囲が他のカメラよりも広く、何よりも分解して自分の目で確認できることが安心感につながりました。最終的には、今回の撮影では埃によるトラブルなどは一切なく、無事に撮影を終えることができました。単なるカメラの防塵性の高さだけでなく、NDフィルターまでもが内蔵されていて、埃に晒されることがない強みも改めて実感しました。

カメラが良くなって蘇る、古いレンズの良さ

佐光様 VENICE 2も既に登場していますが、VENICE 2の8Kモデルで実現しているラチチュードの拡大には魅力を感じます。一方で、ファイルサイズの増加や後処理の負担増などの課題もあると思っています。しかし、今回使ったKOWAのアナモフィックレンズは、フィルムだと解像感が足りなく感じるのですが、VENICEの6Kフルサイズで撮ると良い具合に映ります。「カメラが良くなったから活きてくる古いレンズの味」みたいな、忘れられたものを蘇らせられるところがデジタルにはあることに気づきました。8Kにもそういった可能性があるかもしれません。これからもデジタルの後処理だけでは出せない味を大切にしたいと思います。

既成概念にとらわれない表現の開拓を

佐光様 VENICEで最初に長編を撮った頃に比べて、VENICEの知名度は確実に上がり、友人もVENICEを使う人が増えました。当時はVENICEを知らないプロデューサーが多かったですが、今は広く知られています。今回、プロデューサーもVENICEでの仕上がりに満足しておられましたし、最初は首を縦に振らなかった監督も仕上がりを見て「VENICEいいね」と気に入ってくれました。

今後は、全篇をベースISO 2500で撮ることにもチャレンジしてみたいと思っています。ISO 500はフィルムでもできることでしたが、ISO 2500で撮れるのはデジタルならでは、です。ISO 2500が合う作品というのがあるかも知れない。そういった可能性を感じます。これからもVENICEをとことん使い込んで、既成概念にとらわれることなく、新しい表現を開拓してみたいと思っています。

映画『キングダム2 遥かなる大地へ』公式サイト

https://kingdom-the-movie.jp/別ウィンドウで開きます

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