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松本眼科 松本 惣一 先生 | メディカル関連機器 お客様事例/液晶モニター

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松本 惣一(まつもと そういち)先生

1989年 ロンドリーナ大学医学部 卒業
1990年 ロンドリーナ大学眼科 入局
1992年 大分医科大学眼科 入局
1998年 大分医科大学大学院医学系研究科 医学博士
           大分大学医学部眼科学講座 文部教官助手
2010年 帝京大学医学部眼科学講座 講師
2014年 帝京大学医学部 准教授
2015年 徳島大学医学部 臨床教授
2017年 松本眼科 常勤医師
           帝京大学医学部 非常勤講師
           埼玉医科大学医学部 客員教授

私がこのソニーのHDビデオカメラMCC-1000MDと出会ったのは、まだ発売前の開発時であった。眼科臨床(外来や手術)の映像で、色調や画質を最適化するため、医療現場に於いて数回に渡って使用した。衝撃的だったのは、今まで使った医療用HDビデオカメラと比較にならないほど高感度で鮮やかな映像を映し出したことであった。これはソニーが開発した独自の技術である”Exmor R”によるものであった。そのためMCC-1000MDがローンチされるとの情報が入るやいなや迷わず2台購入予約した。

-高感度カメラ:3D Heads-up Surgeryでの活用-

(図1)この高感度HDビデオカメラは、被写界深度を拡大するために開口部の絞りを狭めても、明るさの損失を最小限に抑えて画像を映し出す。

その2台のカメラの用途は、手術顕微鏡に取り付けてシンクロさせ3Dモニター(LMD-X550MT, ソニー製)と組み合わせて、3D映像として利用することであった。この予想をはるかに超える高感度なこのカメラの特徴を是非手術で活かしたいと思ったのであった。近年、3D Heads-up Surgery (HUS)は、その最大の特徴である深い焦点深度と高感度が得られるようになり、眼科分野でも多くの施設が積極的に採用するようになった。従来、一般的な手術顕微鏡での手術は光量を上げないと術者は十分な明るい術野は得らなかった。しかしHUSはそこを克服したのであった。最近、本邦では眼科手術、例えば白内障や緑内障など主たる手術は局所麻酔下(点眼や結膜下注射で麻酔)で痛覚のみコントロールして行うことが殆どとなって来たが、このため患者は視覚を有するまま手術を受け、患者は耐えきれないほどの眩しい顕微鏡光源を見続けなければならなくなり、これは患者にとって大きな苦痛であった。そこで、私はこのMCC-1000MDを2台顕微鏡に取り付け手術を行うことにした。行ってみて分かったことは、HUS顕微鏡の光源はほんの数パーセント使うだけで十分に明るい鮮やかな映像が得られることであった。そのお蔭で患者は全く眩しさを感じることなく手術を受けられるようになったのである1)(図1)。

ソニー製のMCC-1000MDと3D4K55インチ医療用モニター(LMD-X550MT, ソニー製)を3Dシステムとして利用するもう一つのメリットとして、他社のユニット型3Dシステムより映像の遅延が少なく、よりリアルタイムな映像で手術が行えるようになり安全性や快適性が増すことが挙げられる。かつ、従来品と比べ鮮やかで自然な色合い、そして高解像度で、それに加え高感度であるという特徴を持っている。

眼科分野ではHDカメラは一般に、外来で使うスリットランプや手術顕微鏡に取り付けられており、患者や家族への病態説明や所見の映像記録に使われるもので必須である。従来の医療用CMOSセンサーを搭載したHDビデオカメラは、まだまだ低感度で眼科診療に適さなかった。それを克服したのが、このMCC-1000MDで、素晴らしい感度を持ったカメラである。

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=pWLtAjsGKqE&t=24s

-3D外来 スリットランプ-

特にスリットランプの映像はスリット光以外の部位は暗くなり感度不足のカメラでは映らない現象(黒つぶれ)が現れ、使いづらい時があった。そこで私は、”Exmor R”という特殊な構造を有する裏面照射型CMOSセンサーを搭載したMCC-1000MDを今度はスリットランプにも取り付けた。結果は言うまでもなく、前に使っていたI社のCMOS HDカメラと比べて鮮明で自然な色合い、そして前眼部全体の所見が鏡筒を覗いた際と良く似ている所見が得られるようになった。また、鏡筒と遜色ない所見が得られることから、スリットランプにも2台のMCC-1000MDを取り付け、現在はスリットランプも3D HUS顕微鏡として使っている。

眼科医は一般診療ではスリットランプを覗く時間が多く、姿勢による影響で頸椎や腰椎を傷めることは少なくない。これらの職業病の予防にも高性能ビデオカメラを3Dヘッドアップで使用し解決するなど、今までにない方法での活躍が期待される。

-高感度カメラからの恩恵・未来-

近年、手術室を含め、あらゆる医療機器のデジタル化によって機能性や用途範囲が大きく進化している。ソニーは以前から医療を支える高性能の映像機器(ビデオカメラ、ビデオモニター、プリンター、映像記録装置など)を積極的に開発し専門分野を問わず世界中の医療現場を支えて来た。「デジタル機器の眼」であるCMOSセンサーやビデオカメラはどの医療システムにとっても最も重要な機器といっても過言ではない。ソニーはCMOSセンサーにより医療用ビデオカメラの業界をリードする技術力と開発力を有しており、今後、眼科分野を含めより低侵襲、より正確で効率な治療を可能とするビデオシステムプラトフォームを構築し続けることが期待される。

(松本惣一先生と奥様の治恵先生)

私は、このビデオカメラMCC-1000MDを知り、これを使い始めてから見えてきた眼科医療の将来は明るいと確信している。特に私のように初老の術者、すなわち老眼に悩み始める年齢になると、高倍率条件でのアナログ顕微鏡では術野の焦点深度は大変浅くなり、ピント合わせを頻繁に行う必要があり、これにより疲労が蓄積し効率や正確性が低下してしまっていた。この様に、手術の腕や技術は問題なくても見えづらいことで自信を無くしてしまう術者は残念ながら多い。このようなビデオカメラの開発によって、私のような年齢のドクターでも若手と遜色ない視機能を維持し続けることで熟練された外科医の現役寿命を伸ばしてくれることが何よりも嬉しい。

これがきっかけで、この度新しい手術施設を増築することにした。ソニー製のビデオカメラとモニターでオールデジタル化した手術施設を設計し、現在、3,4か月後の完成に向けて建設中である(手術室完成図を以下に示す)。プレミアム白内障手術に専用デジタル顕微鏡とガイダンスシステムや術中wave front analyserを使った術中屈折解析を導入し、遅延のない術野の映像に解析情報をオーバーレイして表示することで、より正確な手術を実現できる。硝子体手術では術中OCTを搭載したデジタル顕微鏡で黄斑部・硝子体手術でも術中組織断面所見が3D画面にオーバーレイ表示されることで、より多くの情報でサポートしてくれ、術者はより適切な処置が実施可能となる。このようにデジタル化した手術の根幹を支えてくれるビデオカメラ(MCC-1000MD)は大変心強く、これからの4K高画質も含めさらなるソニーの開発を多いに期待して止まない。

1) Celso Soiti Matsumoto,"Heads-Up 3D Surgery under Low Light Intensity Conditions: New High-Sensitivity HD Camera for Ophthalmological Microscopes," Journal of Ophthalmology, vol. 2019, Article ID 5013463, 6 pages, 2019.

文献掲載サイト https://www.hindawi.com/journals/joph/2019/5013463/

手術室 完成図
松本眼科外観
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